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第1章 魔女と仲間達
第12話 魔女、冒険者になる
しおりを挟む今日は、冒険者になるためにギルドに登録しようと思う。冒険者であることを証明できるようになったら、多少は動きやすくなる。
『わたしが人型になった時は、わたしも冒険者になりたいな~』
リュビアには先日のように幻影魔法をかけ、小鳥の姿で私の肩に乗っている。私達は宿を出て、ギルドの前までやってきた。先日のようにカウンターの前に並んでいると、同じ受付の女性が対応してくれた。
「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者になりたいのですが……」
「まあ! ありがとうございます! それでは、別室で手続きを行わせていただきますね」
まるで、私の言葉を待っていたかのような対応の速さだ。勧められるままに別室に移動する。
『まるで、ラーシェが冒険者になりたいと言うのを待っていたかのような対応だね』
『そうだね。私がヒュドラの抜け殻を持っていたのと、上級魔物の素材を多量換金したのが原因かな』
ギルドは優れた冒険者を求めるものだ。自分が優れていると言いたいわけではないが、一人で上級魔物を討伐できる私が冒険者になることは、ギルドの利にもなる。
私は受付の女性は後ろを見て別の人を呼んだ。すると、一人の男性がやってきて私の前に立つ。先端が尖った細長い耳の、エルフ族だ。
「こんにちは。私はライナスと申します。フロンティア冒険者ギルドの、副ギルド長です」
「初めまして。私はラーシェリアです。冒険者の登録、お願いします」
「ラーシェリアさん。お会いできて光栄です。ではさっそく、別室にご案内させていただきますね」
まさか、副ギルド長が対応してくれるとは思わなかった。彼の佇まいは紳士的で穏やかだが、かなりの実力者であることがうかがえる。彼に案内され、私はホールではない別の場所に移動した。ホール内は冒険者達が絶えず話す声が響いているが、この廊下に来ると静かになる。
『副ギルド長って、偉い人じゃないの? そんな人が対応するなんて、ラーシェ、VIPだね!』
リュビアの言葉に苦笑いを浮かべながら、ライナスさんの後について部屋に入った。座るように促されたので、ソファーに座る。リュビアを肩に乗せ続けるのは悪いので、手で包み込むように下ろして膝の上に乗ってもらった。
『冒険者になるのって、面倒な手続きみたいなのが必要なの?』
『私が知る限りでは、特になかったけど……今はどうなっているのか分からないな。昔は、名前と年齢を言うだけでなれたんだけど』
遥か昔のことなので、様式が変わっている可能性の方が高いだろう。年齢を問われた場合……どうやって答よううか。見た目に添った年齢で答えるのが妥当だろうか。考えていると、ライナスさんが紙を一枚持って対面に座った。
「お待たせしました。こちら、利用規約書となります。確認できましたら、署名をお願いします」
差し出された紙を受け取り、ざっと目を通す。全部で十四条ある。
第1条、登録の義務。ギルドの定める手続きと費用をもって登録し、ギルドカードの発行を受けること。無登録の活動は認めない。
第2条、身分証明。ギルドカードは、常時携帯すること。ギルド職員または公的機関からの要求があった場合、速やかに提示すること。
第3条、ランク認定。冒険者のランクは、ギルドが定める基準に基づき認定される。不正な昇級、改ざんは厳禁とする。
第4条、資格の維持。理由なく一定期間活動実績がない場合、資格は自動的に凍結またはEランクに降格される。
第5条、クエストの遵守。受注したクエストは、その内容、期限、達成条件を厳守し、最後まで誠実に遂行する義務を負う。
第6条、情報報告の義務。クエスト達成時、魔物の生態や危険区域に関する新たな情報を得た場合、速やかにギルドに報告すること。
第7条、素材の優先買取。クエストを通じて得られた特殊な素材や希少な情報は、まずギルドに持ち込み、鑑定・買取の交渉を行うこと。不正な外部への売却を禁じる。
第8条、辞退とペナルティ。やむを得ずクエストを辞退する場合、その理由を明確に報告すること。不当な理由、または無断での辞退はペナルティの対象となる。
第9条、一般市民への不干渉。一般市民や公的機関への不当な暴力、脅迫、強要を厳禁とする。街の治安維持に積極的に協力すること。
第10条、私闘の禁止。ギルド内、および街中での許可のない私闘、決闘を厳禁とする。争いが生じた場合は、ギルドまたは衛兵の仲裁に従うこと。
第11条、盗品の売却禁止。盗品、および違法に得られた物品(禁制品、密輸品など)をギルドを通じて換金することを厳禁とする。
第12条、ギルド施設の利用。ギルドの施設を利用する際は、他の冒険者や職員に敬意を払い、清潔に利用すること。
第13条、危険の受容。冒険活動に伴う怪我、病気、または死亡について、ギルドは基本的に責任を負わない。危険は自己責任で受容すること。
第14条、救護の利用。負傷または病気の場合、ギルドが提携する神殿や薬師の紹介を受けることができるが、費用は原則として自己負担とする。
上記、全14条項を熟読し、内容を理解し、その遵守を誓約します。
年月日:_______年_______月_______日
署名:________________________________
変なことは書かれていない。私は署名し、手を止めた。
「…………」
『ラーシェ。どうしたの?』
『……日付がわからない』
情報不足で恥ずかしいが、ライナスさんに尋ねるしかない。
「すみません。今日の日付を教えていただけますか?」
「天神歴水月十日になります」
『天神歴? 水月? おしゃれな響きだね』
感謝の言葉を告げ、日付を書いた。リュビアが不思議そうに首を傾げている。また後で、暦について説明しよう。紙をライナスさんに手渡すと、彼は署名欄に目を向け、微笑んだ。
「ありがとうございます。それでは、ギルドカードを作成しますね」
彼は立ち上がって、棚にある一つの魔導具を持ってきた。
「ギルドカードについて、説明させていただきますね。こちらが、カードになります。魔導具で魔力を登録することで、偽装と他人による使用を防ぐことができるのです。特定の魔導具によって所有者の情報を読み取ることができるので、身分証明にも利用できます」
たしかに、魔力で管理するのが最も効率的で確実である。魔力の情報がこんな小さなカードで読み取れるとは、技術も進んだものだ。魔力量が測られるようではないので、その点は安心できる。
「では、こちらの魔石に手を触れてください」
彼の指示に従い、微かに光を発する魔石に手を触れる。魔導具によって私の魔力の波動が読み取られている感覚がする。この固有の波動を記録して、所有者を区別するのだろう。
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