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第一章 まさかの幽霊
転生(5)
しおりを挟むふぅとため息をついて、空を見上げた。
――ん?
空からもふもふの生き物が駆け下りてくる。一瞬雲かと見間違えたくらいもふもふ。
そのもふもふは私の目の前に来て、私と同じように城の屋根の上に座り込んだ。
近くで見たら、ただの毛玉じゃなくて、もふもふなわんちゃんみたいだ。だが頭から二本の角らしきものが生えていて、しっぽから青い炎が出ている。
なんじゃこの生き物は。
『むむっ、そなたなんと無礼なことを考えておる! 我を崇めるが良い!』
もふもふを観察していたら、神様の声が聞こえた時のように頭の中に声が響いた。
また神様ですか!?
『我はご主人様とは違うぞ! 名はエクランドリーという! 偉大なる幻獣である』
幻獣? ペガサスとかドラゴンとかそんな感じの生き物のことだろうか。このもふもふが?
『だから無礼と言うておる!』
もふもふが口を開けてうがーと私に唸る。可愛い。
で。何故私の元に幻獣さんが?
『ご主人様に頼まれたのだ。チキュウとやらから転生した人間がちょっとした誤りで死んでしまったらしくてな。その人間がそなたか?』
ええきっと。転生直後に死にました。
『やはり人間とはか弱い』
もふもふさーん。鼻で笑わないでください。結構転生直後に死んだことはモヤモヤしてるんですよー!
話戻しますけどあなたのご主人様って神様ですか?
『そうである。我のご主人様は、偉大なる創造神エクセラ様だ。ご主人様が創った世界のため、この世界の名は「エクセラ」。そして我はもふもふなどではなくエクランドリーだ!』
へぇ、エクセラ様……。
『偉大なる創造神エクセラ様である!』
訂正。偉大なる創造神エクセラ様。
『うむ。よろしい』
それでエクランドリー様は偉大なる創造神エクセラ様に何を頼まれたのですか? スキルの使い方の説明とかこの世界のこととか色々教えてくださったら嬉しいですけど。
『強欲であるな。しかし我が教えるのはご主人様がそなたに与えられた固有スキルだけだ』
スキルってなんスか?
『それらの説明は我がしなくても間に合う! とりあえずそなたの固有スキルを発動するのだ』
そのスキルの発動の仕方がわからないです。
『強く思うのだ!』
さっき強く思って恥ずかしい思いしたところですよ! そして強く思ってもスキルが発動した形跡なかったですよ!
『ふっ。まだまだ未熟であるな』
むむ……。しかし何も言い返せない!
『もう一度やってみると良い。そのスキルがどのように発動するのか想像しながらだぞ?』
想像しながら……。スキル『検索』ってどんなスキルだ?
検索っていうくらいだから、調べることができるのかな。色々。単語とか……。
検索といえばグーグル先生だよね。おっけーグーグル、検索かけて! とでも言えば発動できるのかなる
『チンたら考えておらず試してみるが良い!』
わかりましたー。
頭の中でスキル『検索』がどのように発動されるのかを想像し、それを形に出すように、言う。
スキル『検索』!!
するとびっくり! 手の中にタブレットが出てきたではありませんか!
ポチリと電源を入れると、検索画面が出てくる。アプリとかないんだね。検索だけできるタブレットだと思っていいのかな?
あ、ちなみに何故スマホじゃなくてタブレットを思い浮かべたかと言うと、私がタブレット愛用者だったからである!
ドヤっ。
『どーでもいいこと考えるでない!』
あ、すみません。
ほんでこれからどうすればいいんですか? 検索かけてみる?
『我にはそなたが今見えているものが見えん。スキルは己にしか見えぬものだ』
へー。このタブレット私にしか見えないんだ。
ていうか、検索しかできないタブレットって、タブレットじゃないよね。愛用者だったから余計に思う。
これはタブレットではない!
別の名前をつけてやろう。
お前の名は、「ケンパト」だ! ちなみに由来は「検索するパット」から来ている!
『だからどうでもいいと言うておる! さっさと検索して見ぬか!』
あ、すみません。
というか何を検索すれば?
『スキルのことでいいのではないか?』
かしこまりましたー。
えーっと。まず、検索ボックスをタッチする。すると下に文字を打つキーボードが出てきた。
私が普段使用していたキーボードタイプ! 説明難しいけど、上三つにあ、か、さ、が並んでいて、例えばあを長押しして上にピってやったらうが出てくる、みたいな。
キーボードで、スキルと打つ。文字変換が出てこないから、ひらがなで「すきる」と打つ。
検索ボタンをポチッとな!
すると、起動時間は一切なく、バッと検索結果が出てきた。
でも、普通の検索とは違って、色んなサイトに飛ばされることはなさそう。初めから結果だけがでている感じ。
今だったら、一番上に「スキル」という文字か出て、その下に説明が書かれている。
【スキル】技量や力量がある一定値に達すると神から与えられる。
ほうほう。じゃあ私はなんかの技能または力量が一定値に達したのかな?
『違う! ご主人様の温情で与えられた固有スキルである! そなたはなんの技能も力量も一定値に達しておらん!』
キビシー。
えっと、固有スキルだっけ? 検索かけまーす。「こゆうすきる」、っと。
【固有スキル】世界でただ一人が持つスキル。神が承認することでのみ手に入る。
神様……偉大なる創造神エクセラ様が承認してくださったおかげで手に入ったスキルなのか、『検索』は。
『そうである。感謝せよ!』
はいはい。アリガトウゴザイマス偉大なる創造神エクセラ様。
『感謝の気持ちがこもっておらんぞ!』
ははー。心からの感謝を申し上げます。
応援ありがとうございます!
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