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第一章 まさかの幽霊

レベルを上げたい(4)

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「レイカさん。おひとりですか? なんの装備もしておられませんが」
「はい」

 性格にはホムラもいるけどね。

「本当におひとりで? 危険ですよ」
「はい」

 お姉さんは心配そうに私に何度も尋ねる。私はこくんと頷き続ける。
 ホムラもいるから大丈夫だよ。

「……分かりました。お気をつけてください。では、転移陣へご案内します」

 受付のお姉さんからバトンタッチをして、案内のお姉さんに代わる。
 案内された場所には、大きな魔法陣らしきものが。
 すげー。ロマンに溢れてる。魔法陣カッケー。
 他の迷宮探索の人達の様子を見る。男の人6人グループが転移陣の中に入る。すると、転移陣がピカっと光って、彼らの姿が消えた。
 わーお。一瞬。転移魔法もはたから見たらこんな感じなのかな?
 
「次の方」

 おっと、次は私か。
 とことこと転移陣の中に入る。周りの人達が、私を見て色々話しているみたい。
 『聴覚強化』で話の内容を聞く。
 ふんふん。装備もなしで大丈夫なのか? とかあんな子供が? とか1人で入るのか? とか聞こえてくる。
 だーかーらーホムラもいるから大丈夫なの。
 フンと鼻を鳴らして、転移陣に目線を移す。
 なんかよく分からない文字とか線とかが描かれている。『翻訳』でも読めないんだ。特に意味の無い文字なのかな?
 と思っていると、足元から光が出てきた。
 転移するぞー。
 あの浮遊感がするのかなーと思い、予め目を閉じておく。
 周りの空気が少しひんやりする、と感じて、目を開ける。
 なんとびっくり。眼前には洞窟らしからぬ廊下が広がっている。横にも広いし縦にも広い。突き当たりは見えない。
 『視覚強化』使っても見えないってどんだけ広いねん。
 ところどころ扉があって、色んな場所がありそう。正に迷宮! 普通に迷いそう。
 周りを見て誰もいないことを確認。

「ホムラー。周りに誰もいないよ」

 炎花に話しかけると、返事をするようにピカリと光り、目の前にホムラの姿が出てくる。

「ほとんど皆同じタイミングで転移しているのに誰もいないね」
「ランダムだからな。迷宮内には幾つか転移陣があり、そのどこかに転移することになっている。帰る方法は層の変わり目にある転移陣を使うか、転移陣を見つけて戻るかの2パターンしかない。戻る場所はさっきの受付の転移陣だ。行きとは違うものだが。まあ、レイカなら転移魔法で行けるけどな」

 ホムラは私に説明してくれる。へー。そうなんだ、と相槌を打つ。
 じゃあとりあえず、この場所覚えておけば大丈夫かな。転移魔法使えるけど怪しまれたくないしね。
 ケンパトを取り出して、『探索』を発動する。
 お? 地図が変わっている。しかも現在地しかない。
 もしかして今までのヤツ消えちゃった!?
 と慌てていたら、右上にもうひとつ地図を発見。それをタップするとその地図が大きくなる。今までのヤツだ。よかったー。
 でもこれ万能だな。迷宮用の地図ができるってことなんだね。
 ケンパトを消してグッと手を握り、やる気を高める。

「じゃあ行こっか、ホムラ」

 ホムラは笑って頷いてくれた。

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