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第二章 強くなろう

恩返しがしたい(2)

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「お姉様は、治療魔法の腕が良かったので、エクセラ神から固有スキルを付与されたのです」
「固有スキルですか!?」

 13人の内の2人目! 固有スキル仲間だ!

「固有スキルのお話は少し後にさせていただきます。
 ……姉の名は、セイラ・ホーノワースと申します。わたくし達、親に捨てられた孤児なのです。孤児院の職員様に助けられ、孤児院に入りました。わたくしにとってお姉様は、唯一血の繋がった家族でした。その為、ずっと一緒にいたのです。
 わたくし達は、治療魔法が得意でした。わたくし達を育てて下さった孤児院にお礼をする為にも、怪我をした方々の治療をしていました。お姉様は、わたくしよりも治療の腕が良く、11の時に、固有スキル『聖女』を手に入れたのです」

 『聖女』。響きから、治療に特化したスキルだと想像できる。

「ある日、お姉様が固有スキルを手に入れたことを耳にしたのか、教会の方が孤児院にいらっしゃいました。その方は、国王様の署名がある紙をお持ちでした。内容は、お姉様が教会お抱えの「聖女」になる、というものでした。
 わたくしは勿論反対しました。しかし、国王様の署名があるとなると、孤児の立場である逆らうことは不可能です。お姉様は、王都へ登城しました。
 ――その日から、わたくしはお姉様に会えていません」

 私は思わず、フォークを机に置いた。
 
「何度もお姉様に会いたいと思い、王都の教会本部に参りましたが、何を言ってもお姉様に会わせていただけることはありませんでした。
 わたくし、本当にお姉様に会いたくて、会いたくて――」

 セアサーラちゃんは、声を詰まらせて、涙を流す。
 ――唯一の家族と会えなくなる。それは、どれだけ心苦しいことだろう。

「教会とは……そんな冷たいものだったのか?」

 ナオヤ君は怒りを滲ませている。ホムラは黙って、傍にあった水を飲んだ。
 しゃくりを上げて泣いてしまったセアサーラちゃんを、私は強く抱き締める。

「とても辛かったですね。寂しかったですね。家族に会えないことは、何よりも悲しいことです。それに耐えて頑張ってきた貴女は、とても強いです」

 優しく頭を撫でてあげる。妹弟にしてあげていたように。
 私は、そばにいる。貴女はひとりじゃないんだよ。
 そう、囁いて。

「レ、イカ様……」

 セアサーラちゃんは、私の胸に顔を埋めて、泣いていた。
 それを、私は優しく慰めていた。

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