錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第七十話 いつか見た花火

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数日間帰ってこないテイルにしびれを切らし始めるマルディン家。

「とうとう野垂のたれ死んだか!!!」

「サイドよ、止めておきなさい」

父が止めに入る。 そこに慌てた様なノックの音が鳴り響く。

「なんだ!」

「クリスエル公爵家から布告がありました! テイルお坊ちゃまを保護すると! そちらが武力でテイルお坊ちゃまを取り返す、妨害する等の行為が見られた場合はマルディン家に対し戦争を起こすと…。 王家捺印なついんの書状付きで送られてきました」

「な!? クリスエル公爵家があの出来損ないを!?」

「そして、国王からの通達です。 至急、錬金術師を集め王城へと招集せよとのことでした。 理由はおっしゃっていませんでした」

何故今になって不遇職を優遇ゆうぐうするのか?という疑問が頭をよぎるが、彼は錬金術師が勇者であった事を知っていたうちの一人である。

曖昧あいまいになっているのは記憶の改変だろうか? だが一つ分かる事は、セバスに関する記憶が一切抜け落ちているという事。

サイドもそうだ。
セバスに関する記憶がない。

ルルファ達侍女メイドももちろん同様だ。

だが、記憶に違和感はある。 しかし、今はテイルをどうするかだ。
公爵家は戦力的にも上なのでこちらからは手を出す事が出来ない。

中でもテイルへの怨嗟えんさを募らせている者が居るようだ。
しかし、そのことに誰も気付かない。 否、気付けない様操作されている。

今は出来損ないを集めて国王に差し出す事だけを考えれば良い。
どれだけ集めようとも、勝てないのだから。

心から不快な笑みが溢れ出す。
サイドはそれを見、下卑た笑みを投げかけて来る。

なんだ? なにがおかしい?
まぁいい。

「そこの騎士よ。 我が領の錬金術師を全て募るのだ」

「は! かしこまりました!」


そして国王の元へと錬金術師が集められていく。

「主宰よ、かのドーラ様の言うことをどこまで信じておる?」

「私が主宰になる前は、あの時の国王陛下同様戦場にも出ました。 三賢者やドーラ様と肩を並べて戦ったこともあります。 その際ドーラ様は仰っておりました。 龍族は嘘が嫌いだと。 私は信じる価値があると思いますよ、特にあのテイルと言う少年の事は」

「そうか、ならばワシも信じよう。 あの者も民だ。 そして、魔族の脅威きょういから国を救える一筋の光だ」

外の広間に錬金術師が沢山集まる。 中からは「俺達は見世物じゃない!」などの声も上がる。
そして、壇上に国王が上がる。 皆、静かになった。
それもそのはず。 救国の英雄である国王の御前で軽口を叩ける者など居ないのだ。

「錬金術師は不遇だった。 それは間違いである。 かの聖剣製作者も、前勇者クロキ殿も天職は錬金術師である。 皆、誇りに思っていい。 そして、魔王の脅威が再び迫ろうとしている。 聖剣を再度作ろうとし、そして、無詠唱で戦い、剣術も長けているそんな少年が居る。 彼の名はテイル。 元マルディン家を継ぐ予定だった男だ。 彼は錬金術で魔法を再現し、無限に射出し、無詠唱で放つ術を皆に教える事が出来るという。 この国の、いや! 世界の危機だ! 君達の力が必要なのだ! 頼む、ワシらに力を貸してくれ。 国王として、一人の男としての願いだ。 これは王命ではない」

ぽつ、ぽつと人が去っていく。

彼らにも不遇職とはいえ仕事があるのだ。
魅力的な話だが命をけるには覚悟が足りないものが多かった。

最終的に残ったのは十名余り。
テイルが登壇する。

「ご紹介にたまわりました。 テイルです。 今からお見せするのは錬金術を使ったファイアボールの応用版。 通称、花火です」

テイルは天へと手をかかげる。

魔素が収束していきファイアボールを作り出す。 そして、テイルは天に向けそれを射出し、祈る動作を見せた。

「ご覧ください。 これが、錬金術なのです」

その刹那、言葉を待っていたかの様にファイアボールが弾け、七色にきらめいた。
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