錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第九十七話 万能薬

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「その話本当だな?」

国王陛下は流石に嘘だろ?って顔でこちらを見て来る。
それはそうだよね。 文献には古の錬金術師がその生涯をかけて聖剣を制作し、勇者へと道を切り開いたとされていたからね。
それは理由が簡単なんだよね。 高純度の金属も高純度の核となる宝石や魔石も存在が殆ど無かったから。

「テイル、答えなさい」

「はっ!」

俺は先の説明をかいつまんで話し、錬金術師にはその不純物を取り除く力がある事や鍛冶師にはそれを活かした武具の制作が可能な事を示した。 そればかりか他の生産職の可能性も話し始めた。

「なんと…」

周りの貴族達は呻いていた。 そんな知らない知識をたった一人の少年が知って陛下に教えた。 しかも悪用される可能性のある貴族たちの目の前でだ。 ましてやそれが勇者なのだから、もう、呻くことしか出来ない。
陛下がザッっと立ち上がる。

「ワシの…いや、余の誤った認識を正してくれたこと礼を言う。 そして、その知識を以て、ここの、いや、この国の頭の硬い貴族連中を正してやってほしい。 そして、この場で聖剣を披露し、その性能を見せる事をその先駆けとして欲しい。 宰相、聖剣の持ち込みの許可を!」

「はっ! リーマス! テイル様のマジックバッグを持ってきなさい」

「ただちに!」

あ、マジックバッグごと持ってくるのね。 ならばいい機会だし『アレ』渡しておくか。

「こちらに」

「ありがとうございます。 では、まず、陛下と王妃様方にこちらを」

そっと差し出したのは万能薬エリクサー。 錬金術師・・・・薬師・・しか作る事の出来ない薬だ。

「ふむ、聖剣ではないのか。 これは?」

「テイル、答えなさい」

「こちらは万能薬になります。 ある程度まで進行してしまった不治の病でも治せますし、即効性の毒でもがいていても一瞬で治ります」

全員が『は?』って言った。 綺麗にハモったね、歌唱コンクールにでも出ようか。

「伝説の中の薬では無いか! 何を出鱈目を言っておる!」

これは宰相の返答を待つ必要は無いな。

「いえ、出鱈目には御座いません。 では、一本試してみましょうか」

一同が目を見張り衛兵達が俺に剣を向ける。 それもそのはず。
俺が今取り出したのはひとさじで人を殺せる毒。 禍々しい紫に薄く発光することから用いられる事はあまりない。

「これを私が飲みます」

そう言って毒の瓶を飲み干す。 苦しい…、吐血が止まらない。
皆が一斉に悲鳴を上げる。 待っていたんだこの時を。
そうして、万能薬に手を掛け飲み干す。
俺の身体は何事も無かったかのように元通りだ。

「万能薬には失った血を再生させる効果もあります。 ですので、四肢欠損などをしていても効果はありますし、治ります。 なんなら今度は腕を斬り落としましょうか?」

ここまで行くと不敬かな?

「よい、財務! 万能薬を買い取れ! 払えるありったけを払え! あれにはそれだけの価値がある!」

「お待ちください陛下!!!」

俺は慌てて止める。 ここからが勝負なんだ。

「なんだ?」

「テイル、答えなさい」

「その万能薬は一本は今使ってしまったので九本ですが差し上げます。 ですが、宮廷薬師達は薬師の天職ですよね? 素材さえ揃えば作れますよ?」

「なんと!? 宮廷薬師達と鑑定の出来る者を呼べ! 今すぐにだ!」

「はっ! 直ちに!」

魔王も勿論討伐するけど、この国から不遇職を無くしてやる。
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