錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第百六十四話 ヴァンパイアの王

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「公爵級のヴァンパイアを強制的にテイムするなんて貴方はバケモノですね」

「命令だ、今すぐ作戦を止めろ」

「デュークヴァンパイアが命ずる。 全ての作戦を停止し、住処へと戻りなさい」

悔しそうな顔をするデュークヴァンパイア。
まぁ、負けたんだからそうだろうな。

すると、遠くから歩いて来る年老いた男がやってくる。
その姿には気品があり、高貴な人な事だろうと言うのが分かる。
しかし、通常有り得ない事にその男は高濃度の魔素を放っている。 まるで、魔王の様に。

「我が配下達が急に謀反を起こしたと思えば人類への侵攻でしたか。 デュークよ、見損なったぞ。 そして、英雄殿。 ご活躍は聞き及んでおります。 我はヴァンパイアキング…全てのヴァンパイアの王にございます」

威圧は解かずに俺は返答する。

「ご丁寧にありがとうございます。 私はアストレア王国で伯爵位を賜っているテイル・フォン・マーガレットです。 このデュークヴァンパイアの話が正しければ、帝国や教国にも侵攻していたようですが? 貴方は無関係だと?」

「そうです。 信じて貰えるかは分かりませんが我々は人類と敵対するつもりはなかったのです。 一部の者達による謀反のせいで侵攻が行われてしまったようですが」

俺はテイムしたデュークヴァンパイアに問いかける事にした。

「おい、デュークヴァンパイア。 それは事実か?」

「えぇ、そうです。 足止めもしたはずだったんですが、無駄に終わりましたね」

このヴァンパイアは生かしておく必要もないだろう。

「英雄殿。 そのヴァンパイアは逆賊の頭になります。 宜しければ、処断の程お願い出来ませんでしょうか?」

飛んできたのは思いもかけない言葉だった。
庇うで無く悪を断罪すると言う姿勢は確かなものだろう。

「その前に幾つかこいつから聞いておかないといけないのでそれから考えます」

「寛大なお心感謝致します」

「デュークヴァンパイア、答えろ。 お前の背後にジンと言う奴が居るか?」

「ふふふ、お答えいたしません」

明確な否定。 テイムの権限が効かないなんて事はありえないはずだが。
デュークヴァンパイアの魂自体に鑑定を使用する。
そこには精霊の残滓…見た事が無い物が存在していた。

「答えないんじゃなくて、答えられないのか。 そこの記憶を書き換えられているのか。 操られてる…みたいな感じか」

「そうですか。 記憶を書き換えたり、私を操ったりした者が居るのですね」

デュークヴァンパイアは憑き物が落ちた様に落ち着いた口調になる。
念の為もう一度鑑定をする。

「精霊の残滓が無くなっている?」

ヴァンパイアキングが驚いている。

「あの精霊がまさか我らに害をもたらした…と?」

「えぇ、悪に染まった精霊…ジン。 異世界の精霊らしいです」

「異世界…まさか地球の!?」

「その通りです。 なぜ、地球をご存じなのですか?」

ヴァンパイアキングが重い口を開く。

「前の勇者のクロキ殿に我々は助けて頂き、お話をした事があります。 その時に…」

なるほど。 人類に敵対しない事を選んだヴァンパイア達は討伐されなかったのか。

「事情は分かりました。 心強い人を今呼びますね」

聞こえてるだろ。 至急来てくれ。 フォンドニア嬢?

(先輩は人使いが荒いですねぇ)

ブン。 その音と共に現れたフォンドニア嬢。
え、神だからって転移使えるの!?

「ヴァンパイア一族に私の祝福を。 これで、いかなる悪意も魂に届かないでしょう。 テイル様? これでいいのですかね?」

「助かったよ」

デュークとキングは何が起きてるのかさっぱり分かっていないようなので端的に説明する。

「彼女は地球で一番凄い神で、ヴァンパイア一族に祝福を授けたみたいです。 これでもう怖いものはない様です。 デュークヴァンパイア、君の使役を解除する」

その後はヴァンパイア達は自分達の住処へと帰る事を誓い、全てのヴァンパイアを連れて帰って行った。
その間も俺はずっと誰かに見られている事に気付いていた。

あれがジンなのだろうか。
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