錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第二百十一話 暴走族

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マキナは私室に居るのか。
一体何をしているんだろうか。

「テイルったら…あんまり構ってくれないのちょっと酷いと思うのよねぇ…」

今入ったらマズイが…どうする…。
すると丁度良い所にマキナ付きの侍女が来たじゃないか…人柱になってもらおうじゃないか。
侍女の方にそっと近寄り、声を掛ける。

「マキナの部屋に行きたいんだけど、勇気が無くてさ…ちょっと手伝ってくれない?」

「畏まりました」

侍女はマキナの私室をコンコンとノックし伺いを立てる。

「旦那様がマキナ様にお会いしたいそうなのですが…。 何やら特別なご事情だそうで…」

「どうしたのかしら…。 まぁ、テイルが来る分には入室を断るつもりはないんだけれど…。 通して貰える?」

「畏まりました」

侍女が俺の元へと戻って来て部屋へと通される。
マキナとはこの世界に来てからは一番古い付き合いになる為少し緊張する。

「どうしたの? 珍しいわね?」

「あぁ、渡したい物があってね。 これなんだけれど」

若干淡い水色をしているが透き通っている長杖だ。

「綺麗ね…。 これは?」

「皆の専用武器を開発していてプレゼントしていたんだけれどね。 マキナは氷が得意でしょ? 割と前から研究はしていたんだけれど…。 【怠惰】とマーリン様の助力があって完成した決して溶ける事の無い氷から作られた杖だよ。 銘はだよ。 耐久性や付与の都合上そのサイズになってしまったんだけれども…。 ちなみに【怠惰】曰く神話級どころか、それは神級だってさ」

「嬉しいんだけれど、テイルのやる事にいちいち驚くのはやっぱりやめた方が良いわね」

呆れないで貰ってもよろしいでしょうか。

「握りにくくないかな? 魔力の通りとかはマキナの物に合わせてあるんだけれど」

「うん、違和感は全くない。 魔力の通りもスムーズ過ぎて怖いくらいね。 そう言えば皆に武器を用意したって事はナールムちゃんにも?」

「いや、武器は要らないだろうと思ってねぇ…。 一応、面白いモノはプレゼントしたけれど…」

「何よその口ぶり」

ははは。 と笑って誤魔化そうとする俺。
だってねぇ。
魔石で動く…ねぇ…。

「まぁ、ね。 本人は喜ぶだろうけど…と言うか携わってくれたエメリーのお父さんとエルンス、【怠惰】はとても楽しそうだったし」

「テイル…また色んな人を巻き込んで…。 どんな物を作ったのよ」

「簡単に言うのなら…そうだなぁ…魔石で動く鉄の馬?」

「…人工的なゴーレムみたいなイメージかしら?」

あぁ、確かにそれは近いかもしれないなぁ。
こいつはゴーレムだぁとか言ってた気がしなくもない。

「その認識であながち間違いは無いと思うよ。 バイクって言うんだけど。 まぁとんでもなく燃費は悪いから気軽に乗れる物にはならなかったけどね」

「なら良かったわ。 そんな物が出回ったら世の中が壊れちゃう」

「いやぁ、流石に分かってるよ。 と言うか…物を動かすのに消費する魔力が大きすぎて世界を動かす程の物にはならないよ。 精々子供達の心が動くくらいだろうね」

「それなら良いのだけれど」

ドガッシャアアアアン!

庭から盛大な破壊音が聞こえて来た。

「オラオラオラァ! 破壊王ナールム様のお通りダァ! 夜路死苦!」

「あいつ、自分の神力を無理矢理魔力に変換して強制的に常時魔石に流し込んでやがる…止めないと…」

「テイル? なんなのアレ? 世界を動かす程の物は渡して無いんじゃ無かったの?」

「いや、あいつが全部悪いんだ」

「ヒャッハー!!!」

もうだめだ。 我慢ならん。

「おい、そこの暴走族! 逮捕じゃああああ!」

ナールムに渡したバイクは無事に没収されて、封印された後に大切に保管される事になったのだった。

俺に現行犯逮捕されたナールムは終始反犯行を否認していた…。
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