297 / 385
第二百九十六話
しおりを挟む
「お前の名前はディープインパ…」
これ以上言ったら駄目な気がしたので言い辞める。
馬は首をぶんぶんと上下に振り始める。
喜んでるのか拒否ってるのか分からんな…。
モゾッと動く気配を感じる。
「ブッブッブー(置いてかないで!!!)」
「背中からアルが出て来た!? なんでっ!?」
「ブッブーブブー(服の中にずっと潜伏してたから…)」
えぇ…。 俺ってこんなデカいアルの存在に気付かなかったの…。
もうなんか凄い気配の消し方だな。
「ほぅ、アル様は凄いお力にございますな。 爺も見習いたいですな」
いや、貴方も大概ですよ。
そう思っていると眼前に怪しげな気配を感じ取った。
俺達はショートカットするために違うルートで移動していたので、先に出た人達がこれに出会っていないのは幸いだろう。
「ぐぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「な、なんだあれ」
ブチブチと不快な音を立てて蠢く其れ。
触手の様なモノが動く度にブチブチと耳にへばりつく様な音が鳴る。
不気味を体現した様なその異形は…。
「これは、人…ですな」
「何が起きているんだ」
「た…す…け…」
俺達は息を呑んだ。
人としての意識がまだ存在するのだろうか。
「うぎゃああああああああああああああああ!!!」
触手がこちらへと向かい伸びて来る。
明確に感じ取る殺意。 喰い殺そうとする意志。
即座に馬を降り、抜刀…全てを斬り落とす。
「いびゃああああああああああああああああ!!!」
耳を刺す其れの鳴き声。
痛覚があるのだろうか? だとすれば一思いに楽にしてやるしか選択肢は無いのだろうか。
ちらりと横目でキングを見やると馬を即座に退避させている。
この距離ならば大丈夫か…と思った瞬間脚締め付けられた感覚を感じ取る。
「地面から触手!?」
即座に斬り離す事は出来たがこれで一瞬も気が抜けない状態に陥ってしまう。
弱点が観えない。
俺の眼で視えないとなるとかなり厄介だ。
見たところ先ほど斬った触手は再生を成している。
核があるのか? それとも再生出来なくなるまで斬るか…。
いや、あれは人だ。 流石にずっと斬り続けるのは気が引ける。
となると…残すは…。
「アル! 馬をもう少し離して大人しくさせておいて! キング! 奴の気を引いててくれ!」
「何をなさるおつもりで?」
「ちょっとした危険だよ」
キングは少し困った顔をしながらも「致し方ありませんな」 と飛翔する。
近付きながら飛翔するキングに即座に反応する異形。
しかし、其の触手を避けながら飛び、本体を傷付けない様に触手のみを爪で落とすのは流石の技だ。
さて、これなら。
刀を鞘に…。
それを媒体として身体強化を発動。
縮地…。
触れ合えるだろう距離まで一瞬で間合いを詰める。
異形は反応出来ない。
鞘に入れた刀の先端で異形に触れ、錬成する。
パラパラパラと崩れ行く異形。
それが消えゆく中、微かに何かを言っている事に気が付く。
「ありがとう」
魔王の時と同様に、人と何かに分離出来ると思っていたが無理だった。
「助けられなくてごめんよ…」
「坊ちゃまはあの者を救いましたぞ。 今の声はきっとそう言う事なのでしょうな」
「そう…か」
「ブルルル! ヒヒィン!!!」
馬が俺に近付き顔を一舐めする。
俺の顔は唾液でべっとべとだ。
「ブッブッブー(この子も元気出せ! と言ってるね)」
「そうか、ごめんよ。 とりあえず早く皆と合流しよう」
顔を魔法で洗い、馬をまた走らせる。
流石にそのまま走って行ったら気持ち悪がられるだろうからね…。
これ以上言ったら駄目な気がしたので言い辞める。
馬は首をぶんぶんと上下に振り始める。
喜んでるのか拒否ってるのか分からんな…。
モゾッと動く気配を感じる。
「ブッブッブー(置いてかないで!!!)」
「背中からアルが出て来た!? なんでっ!?」
「ブッブーブブー(服の中にずっと潜伏してたから…)」
えぇ…。 俺ってこんなデカいアルの存在に気付かなかったの…。
もうなんか凄い気配の消し方だな。
「ほぅ、アル様は凄いお力にございますな。 爺も見習いたいですな」
いや、貴方も大概ですよ。
そう思っていると眼前に怪しげな気配を感じ取った。
俺達はショートカットするために違うルートで移動していたので、先に出た人達がこれに出会っていないのは幸いだろう。
「ぐぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「な、なんだあれ」
ブチブチと不快な音を立てて蠢く其れ。
触手の様なモノが動く度にブチブチと耳にへばりつく様な音が鳴る。
不気味を体現した様なその異形は…。
「これは、人…ですな」
「何が起きているんだ」
「た…す…け…」
俺達は息を呑んだ。
人としての意識がまだ存在するのだろうか。
「うぎゃああああああああああああああああ!!!」
触手がこちらへと向かい伸びて来る。
明確に感じ取る殺意。 喰い殺そうとする意志。
即座に馬を降り、抜刀…全てを斬り落とす。
「いびゃああああああああああああああああ!!!」
耳を刺す其れの鳴き声。
痛覚があるのだろうか? だとすれば一思いに楽にしてやるしか選択肢は無いのだろうか。
ちらりと横目でキングを見やると馬を即座に退避させている。
この距離ならば大丈夫か…と思った瞬間脚締め付けられた感覚を感じ取る。
「地面から触手!?」
即座に斬り離す事は出来たがこれで一瞬も気が抜けない状態に陥ってしまう。
弱点が観えない。
俺の眼で視えないとなるとかなり厄介だ。
見たところ先ほど斬った触手は再生を成している。
核があるのか? それとも再生出来なくなるまで斬るか…。
いや、あれは人だ。 流石にずっと斬り続けるのは気が引ける。
となると…残すは…。
「アル! 馬をもう少し離して大人しくさせておいて! キング! 奴の気を引いててくれ!」
「何をなさるおつもりで?」
「ちょっとした危険だよ」
キングは少し困った顔をしながらも「致し方ありませんな」 と飛翔する。
近付きながら飛翔するキングに即座に反応する異形。
しかし、其の触手を避けながら飛び、本体を傷付けない様に触手のみを爪で落とすのは流石の技だ。
さて、これなら。
刀を鞘に…。
それを媒体として身体強化を発動。
縮地…。
触れ合えるだろう距離まで一瞬で間合いを詰める。
異形は反応出来ない。
鞘に入れた刀の先端で異形に触れ、錬成する。
パラパラパラと崩れ行く異形。
それが消えゆく中、微かに何かを言っている事に気が付く。
「ありがとう」
魔王の時と同様に、人と何かに分離出来ると思っていたが無理だった。
「助けられなくてごめんよ…」
「坊ちゃまはあの者を救いましたぞ。 今の声はきっとそう言う事なのでしょうな」
「そう…か」
「ブルルル! ヒヒィン!!!」
馬が俺に近付き顔を一舐めする。
俺の顔は唾液でべっとべとだ。
「ブッブッブー(この子も元気出せ! と言ってるね)」
「そうか、ごめんよ。 とりあえず早く皆と合流しよう」
顔を魔法で洗い、馬をまた走らせる。
流石にそのまま走って行ったら気持ち悪がられるだろうからね…。
1
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる