錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第三百三十五話

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--side獣王---


「伝統ある彼らが動き出した…か。 獣人である我らは人族の領域ではほぼ絶滅しかけていると言う。 ならばこの船乗るしかあるまいな?」

「当たり前だろう? 坊ちゃん? いや、獣王バーン様。 貴方ならきっと人族だろうと…」

「我ら獣人は魔法に乏しい、しかし、風の魔法に覚えのある我ら兎人族、鳥人族であれば…」

王、バーンと呼ばれた者は深く考え込む。 仲間が大切。
彼ら獣人族は『今代』 において種族の垣根を越えて、皆で手を取り合い共存し野生の獣を狩り、葉を啄み、均衡を保ちつつあった。
そこで鳥人族に人族の街の偵察をしばしば行ってもらっていた。

結果としては我々の存在は忘れ去られている。
しかもかなり昔に。
先代の獣王達が派手にやらかしたことさえ知らないのだ。 呑気なものだ。 良い身分だ。 俺達だって酒とやらを飲んでみたい。
あの香辛料とやらで味付けされた串焼きなる肉を頬張ってみたい。
皆一同に思っているはずだ。 それを誰かが口に出してしまえば全てが崩れてしまう。
きっと分かりきっている。

だからこそ。 だからこそ俺達は待っていた。 大いなる救世主の存在を。




「人族の使者であるヴァンパイアの化身コウモリーヌ十三世で御座います」

「…え?」

「失礼ですが、少し前に代替わりをされた様ですね?」

丁寧な言葉に王として俺は返事を返すしかなかった。

「あぁ、だが…」

「分かっています。 貴方の世代がこちらを排除しようとしなかった事や人族の生息圏に対し偵察を行って居た事を含め大体の事情はね」

その氷の様な眼差しに俺は背筋が凍った様な思いをする。
全て分かっていたんだ。
分かっていて黙認されていたんだ。

「彼ら。 いえ、ユースティティア領民は貴方達に迫害された者、暴力を振るわれた者…えぇ、言葉では表せないほどの傷を負った者達が居ます」

あぁ、知っている。 むしろ見て来た。
俺は止めて来た。 間に入って止めた事もある。

「ですが対価を求める…と言うのも陛下は望んでいません」

「「「「「へ????」」」」」

歯を食いしばって聞いていた俺の臣下達の獣人と声が重なる。

「えぇ、陛下であるテイル・フォン・マーガレット様は神族です。 そして私はヴァンパイア。 知っての通り領地…いえ、王国には神、精霊、妖精、龍、人、魔物、ドワーフ、エルフ、動物…様々な種族が共存しています」

「あ、あぁ」

「属国になれとは言いません。 同盟を組んで頂けませんか? もしくは友好国として。 ただ、ひとつ。 貴方方の敵でもある始祖…。 アレの討伐を少数で今決行中です。 この話を聞いた上で色々精査する事はあるでしょう。 答えはごじt「いや、友好国として、マーガレット王国と、アストレア王国を認める事とする!正式な書面は追って沙汰をしよう! しかし、今この場に居る全てが証人だ!」

「では、恐れながら、陛下…なぜアストレア王国まで?」

「そんなの決まってるじゃないか!!! あのマーガレット王の出身地だからだよ!!! おい、皆、カウカウの肉を用意してユースティティア領に届けてやれ!!! きっと喜ぶさ!!!」


ここから獣人と人族の深い絆が生まれて行くことになるのであった。
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