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第一話
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生まれつき目が見えなかった。 別にそれは苦ではなかった。
身体を動かす事は好きだったし、感覚もどんどん鋭くなっていくのが分かった。
五歳の時に受ける洗礼の儀では司祭から剣聖と賜り、期待と失望の入り混じった声を一様に浴びることとなった。
その日から毎日毎日木剣を振り続けた。 走り回って子供とは思えないくらいには足腰も鍛えた。
時には、たまたま見つけたはぐれのスライムなんかも斬ってみた。
気が付けば音、匂い、魔力、殺気、風の流れ全てが手に取るように分かるようになっていたのは思わぬ収穫であった。
きっと目が見えていたらもっと世界は鮮やかであろうことは分かる。
しかし、俺にはこの感覚すべてが色なのだ。
「おい、ユーグス。 いつもいつも一人で剣ばっかり振って楽しいのかよ。 ちょっと洗礼で良い思いしたからって良い気になりやがって!」
「そうだそうだ!!!」
「別に。 良い気にはなってないけど。 目が見えない俺が居たら迷惑だろ?」
「っ!!!」
風切り音。
きっと木の棒を振っているのだろう。
長さとしては俺の使っている木剣よりは短い。
軽く木剣でいなし、胴を小突く。
「喧嘩をするつもりは無いし、大事にするつもりは無い。 退いてはくれないか?」
「てめぇ…!!!」
「っこ、ここは引こうぜ」
大人しく退いていく二人。
正直、感覚的には分かるものの目が見えている訳では無いので手加減と言うものが難しい。
相手を怪我させなくて済んだのは良かった。
…ところで、あいつらは何と言う名前だったか。
普段から街の子供と関わる機会も少なく、なんなら親とすら殆ど話さなくなってしまった為に全然周囲の事が理解出来ていない。
正直自分の事で手がいっぱいだ。
自分は今十歳だ、ここで怠けてしまってはきっと将来誰かが居ないと…と思うとゾッとしてしまう。
正直言ってしまえば先ほどの事で興がさめたので、日頃の疲れを取る為にも一旦家に帰りたまには両親と話をしてみよう。
ガヤガヤと周囲がざわついている。
家に着くとただいまと言う前に怒号が飛んできた。
「ユーグス! お前! ヴェルト君とクルス君を怪我させたんだろう! 何をやっているんだ! 日頃から剣ばかり鍛えて人の心を無くしたのか!」
「え? 父さん、一体なんのこと?」
「さっき、ヴェルト君とクルス君がお前に木剣で殴りつけられたって駆け込んできたんだ! 彼らの親はこの街の領主の騎士団員だぞ? 自分が一体何をしたと思っているんだ!」
「さぁ。 やってもいない罪に問われるのなら、俺が騎士団全員を相手にするから剣を頂戴よ」
「この期に及んで嘘をつくのか! 出て行け! お前はうちの子じゃない! サーシャはさっきからずっと部屋で泣いているんだぞ!」
十歳の自分の子供よりも、自分の妻…ね。
「分かった、出て行くよ。 お世話になりました」
俺は風の音、草の揺れる音、動物の鳴き声などを頼りに道を歩み進めて行く。
たった一本の木剣を腰に携えて。
身体を動かす事は好きだったし、感覚もどんどん鋭くなっていくのが分かった。
五歳の時に受ける洗礼の儀では司祭から剣聖と賜り、期待と失望の入り混じった声を一様に浴びることとなった。
その日から毎日毎日木剣を振り続けた。 走り回って子供とは思えないくらいには足腰も鍛えた。
時には、たまたま見つけたはぐれのスライムなんかも斬ってみた。
気が付けば音、匂い、魔力、殺気、風の流れ全てが手に取るように分かるようになっていたのは思わぬ収穫であった。
きっと目が見えていたらもっと世界は鮮やかであろうことは分かる。
しかし、俺にはこの感覚すべてが色なのだ。
「おい、ユーグス。 いつもいつも一人で剣ばっかり振って楽しいのかよ。 ちょっと洗礼で良い思いしたからって良い気になりやがって!」
「そうだそうだ!!!」
「別に。 良い気にはなってないけど。 目が見えない俺が居たら迷惑だろ?」
「っ!!!」
風切り音。
きっと木の棒を振っているのだろう。
長さとしては俺の使っている木剣よりは短い。
軽く木剣でいなし、胴を小突く。
「喧嘩をするつもりは無いし、大事にするつもりは無い。 退いてはくれないか?」
「てめぇ…!!!」
「っこ、ここは引こうぜ」
大人しく退いていく二人。
正直、感覚的には分かるものの目が見えている訳では無いので手加減と言うものが難しい。
相手を怪我させなくて済んだのは良かった。
…ところで、あいつらは何と言う名前だったか。
普段から街の子供と関わる機会も少なく、なんなら親とすら殆ど話さなくなってしまった為に全然周囲の事が理解出来ていない。
正直自分の事で手がいっぱいだ。
自分は今十歳だ、ここで怠けてしまってはきっと将来誰かが居ないと…と思うとゾッとしてしまう。
正直言ってしまえば先ほどの事で興がさめたので、日頃の疲れを取る為にも一旦家に帰りたまには両親と話をしてみよう。
ガヤガヤと周囲がざわついている。
家に着くとただいまと言う前に怒号が飛んできた。
「ユーグス! お前! ヴェルト君とクルス君を怪我させたんだろう! 何をやっているんだ! 日頃から剣ばかり鍛えて人の心を無くしたのか!」
「え? 父さん、一体なんのこと?」
「さっき、ヴェルト君とクルス君がお前に木剣で殴りつけられたって駆け込んできたんだ! 彼らの親はこの街の領主の騎士団員だぞ? 自分が一体何をしたと思っているんだ!」
「さぁ。 やってもいない罪に問われるのなら、俺が騎士団全員を相手にするから剣を頂戴よ」
「この期に及んで嘘をつくのか! 出て行け! お前はうちの子じゃない! サーシャはさっきからずっと部屋で泣いているんだぞ!」
十歳の自分の子供よりも、自分の妻…ね。
「分かった、出て行くよ。 お世話になりました」
俺は風の音、草の揺れる音、動物の鳴き声などを頼りに道を歩み進めて行く。
たった一本の木剣を腰に携えて。
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