盲目の剣聖はドラゴンの家族になりました

いいたか

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第二話

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あれから数刻歩いただろうか。
後ろから馬車の音が聞こえてくる。 想定よりも遅いな。

「貴様がユーグスだな。 我らが騎士団の子息を傷付け逃亡した罪を償ってもらう。 大人しく連行されるが良い」

「俺は無実の罪で捕縛される謂れは無いんだけど?」

「罪人は皆そう言う。 致し方ないな、多少は手荒にしても構わん! かかれ!」

大人数の武装した敵勢力相手は初だ。 手が震える。
緊張か? 恐怖か? 悦びか?
先ずは動け!
相手は真剣、こちらは木剣…更には体格の差もある為まともに打ち合えば確実に負ける。
ならば!
駆けて駆けて敵を動かす。
敵同士が密集した所で一旦隙を作る。
大きな隙に対して横凪に振りかぶる騎士、きっと新人なんだろう。 あの騎士の甲冑の肩の留め具の擦れる音で横に凪ぐ事は最初から分かっていた。
だから敵を一か所に寄せた。

結果は同士討ち。

頭を使わない剣士なんて子供の遊戯以下だ。
それすらも出来ないで騎士を名乗るなど言語道断だな。
ここで退いてくれれば俺もこれ以上戦う必要は無いのだが。 早く別の街で身分証を作り宿をとらねばいけないから…。

「き、貴様! 貴様が認めて、捕まっていれば十分な証拠になる! 貴様が無実であろうがなかろうが関係は無いのだ!!!」

そう言う事か。
最初からそのつもりであったか。
ならば俺も全力で相手をするしか!

「話は全て聞かせて貰った。 聞けば無実の少年を捕縛しようとしたそうだな」

「なんだ貴様は!」

追っ手の騎士団が吠える。

「ほう、不正を働きながらも自分よりも階級の高い騎士に対してその態度を取れるのか。 流石だな。 ルーヴァルト家の騎士団にはここで消えて貰うのも良いか」

「消える…だと!? 貴様一人で何が出来…」

俺には分かった。
馬と一心同体になり、舞う様な剣技…もはや剣舞ともいえる其れで先ほどから偉そうな口調で話している奴以外の四肢を落として行く。

「武闘派のルーヴァルト家がこのザマでは私はいつまで経っても隠居出来ないではないか…」

そうぼやいたのもはっきりと聞こえた。
この人は本気では無いのだ。
実力者なんて言う簡単な言葉で済む人間ではない。

何者なのだろうか…。

「ルーヴァルト家騎士団の副団長で相違ないな?」

「は、はい…」

先程までの威勢はどこへ行ったのだろう。

「殺すのは容易だが、処理も面倒だ。 それに子供の前だ。 主の前に連れて行くこととする。 そこで全て洗いざらい吐いて貰う。 そうすれば命だけは助かるやもしれんな?」

「ははぁ!」

俺は威圧感に自分が震えている事に気が付く。

「少年よ、怖がらせてしまったか?」

「大丈夫です」

「強いな。 先ほどの立ち回りも良かった。 目が見えないのだろう? 普通の者なら気付けない程に様々な感覚が鋭いのだな。 このゴミを主の所に届けるついでだ。 街まで送ろう。 馬の背に乗るのは初めてだろう?」

「はい!」

行商人が引いている馬の足音を遠巻きに聞いていたくらいだったのでとても気分が高まっていくのが分かってしまった。
我ながら子供っぽくて恥ずかしい…。

「ははは。 子供らしくていいではないか。 街に着いたら冒険者ギルドと良い宿を教えよう。 不届き者を捕まえる手伝いをしてくれた礼だ少しの金は出させてくれ」

「で、ですが!」

「大人からの好意は受け取っておきなさい?」

「はい…」

初めて人のちゃんと温かみに触れられた気がした瞬間だったのかもしれない。
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