118 / 567
第118話 魔法の練習
しおりを挟む
ある日、庭にメルモアお姉ちゃんとエリオンお姉ちゃんがいるのが見えました。
今日は暖かい方だとはいえ、まだ寒い季節です。
「お姉ちゃん達、何しているの~?」
「「あっ、シャルル様…」」
「エリオンの魔法の練習に付き合っているんですよ~」
「エリオンお姉ちゃんもちゃんと練習しているんだね」
「ひどいです、シャルル様。こう見えて私もコツコツ練習しているんですよ」
キルシッカに言われてからですが…。
「エリオンもシャルル様のお役に立てるように頑張りたいのだそうです」
「へぇ~、そういってもらえると嬉しいな…、ちょっと見てて良いかな?」
「もちろん良いですよ。その方がエリオンも身が入るでしょう」
「それで、今日は何について練習しているの?」
「はい、エリオンはカラードじゃありませんが、魔力は比較的ある方なのです。ただ、やっぱり精度と制御が弱くて…、それについての練習です」
「じゃあ、エリオン、最初から…」
「はいっ!」
「……」
メルモアお姉ちゃんと、エリオンお姉ちゃんが掌に【火球】を作り出します。
エリオンお姉ちゃんの【火球】は一般的だとは思うのですが、横で作っているメルモアお姉ちゃんのと比べてしまうと全く違いました。
メルモアお姉ちゃんの【火球】は綺麗な形の球なのですが、エリオンお姉ちゃんのそれは外部の影響を受けたり、集中力の問題なのか形が球に定まらず、時々火の球がユラっと崩れるのです。
「ほら、エリオン、球の形が崩れてきているわよ。球になるように集中して!」
「は、はい」
「……」
エリオンお姉ちゃんは少し想像が上手く出来ていないようです。
続けてメルモアお姉ちゃんは【火球】を出来るだけ小さくするように言っています。
たぶん、使用する魔力を最小限に抑えることか、又は圧縮することを教えたいのでしょう。
エリオンお姉ちゃんも頑張って【火球】を小さくしようとしていますが、ある程度のところでポシュッと【火球】が消えてしまいました。
「あ~ん、また消えちゃいました。本当に制御が難しいですね」
「ちょっといいかな…」
「はい、シャルル様」
「エリオンお姉ちゃんはちょっと炎の想像が出来ていないみたいだね」
「はい…?」
「もし、球の中に火がついたらどうなると思う?」
「そ、それは球の中に灯って…、明るくなります…」
「そうだね。じゃあその火が灯った時、炎の大きさはどうなるの? 球の内部に納まるように小さくなるの?」
「それは…、その炎が球の内部に沿って球の形に…、ハッ! もしかして…」
エリオンお姉ちゃんは気付いてくれたのか再び掌に【火球】を作り出しました。
その【火球】は先ほどとは違い、球の形に合わせて炎が渦巻いて回転しているように見えます。
「あぁ~、なんとなく分かったような気がします」
「そうそう、良いよ、エリオンお姉ちゃん。炎の勢いごと球の形にしてあげるんだ」
「シャ、シャルル様、エリオンの【火球】が綺麗な球状になってきました…」
「うん、出来たじゃない…。その炎の動きが想像出来るようになったら、練習していくと小さくも出来るようになるよ」
「はいっ!」
「メルモアお姉ちゃんが教えたかったのはたぶん威力の上げ方でしょ?」
「シャルル様、そんなことまで分かっておられたのですか!?」
「うん、同じ力だとすると、球が小さい方が威力は大きくなるからね」
「エリオンお姉ちゃん、【火球】を小さくしようとするなら炎を弱めるんじゃ無くて、エリオンお姉ちゃんのお気に入りだったワンピースに、お姉ちゃんの大きな胸をギュッギュッと隙間無く詰め込んで収めていくような想像をするんだよ」
僕は胸の前に両腕を寄せ、押し潰すような仕草をしてみせます。
「なんだかすごい例えですが、シャルル様のおっしゃりたいことはなんとなく分かります」
「まぁ、小さくするのはすぐには上手くいかないかも知れないけれど、綺麗な形の【火球】を作る練習をしていたらきっと分かってくるよ」
「分かりました。頑張って練習します」
「シャルル様、なぜそんなことがお分かりになられたのですか?」
「それはね、バルゼ領で盗賊に襲われた時に首領だったという火属性のカラードの人が、【火球】から火を細長くて鋭い形に変えて攻撃してきたからなんだよ」
「【火球】じゃシエラお姉ちゃんの【水盾】に防がれて意味が無いと思ったんだろうね」
今から思えば意外に機転のきく首領だったようです。
「それはシエラから少し聞きました。おそらく【火矢】でしょうね」と、言いながらメルモアお姉ちゃんは掌に作った【火球】を細く変形させました。
「そうそう、そんな形だったよ」
メルモアお姉ちゃんによると、魔力量と訓練によって同時に何本か【火矢】が作れるそうです。
「こうすると【火球】よりも威力が上がって、数本に一本はシエラお姉ちゃんの【水盾】も貫いていたからね」
「そういえば、メンテールからも聞いたのですが、シャルル様はその【火矢】や武器を素手で払われたとか…」
「うん」
「本当にそんなことが…」
「試してみようか?」
「そんな、もしものことがあれば…」
「大丈夫だよ、何かあってもトリスお姉ちゃんもいるし」
僕はずっと黙って観ていたトリスお姉ちゃんの方を一度向きます。
「じゃあ、威力を落として…」
「せっかくなんだからメルモアお姉ちゃんの本気を見せてよ」
「そんなぁ~」
「ごめんね嫌なことをさせようとして…、でも僕もちょっと試したくてね」
僕はメルモアお姉ちゃんから少し離れて前に立ち、危害を受けることをダメだと一応再認識しておきます。
「いいよ~、放ってみて~」
「本当に…、本当に大丈夫なんですよね~?」
「大丈夫だから、本気でね」
「では、いきますよ~」と、言いながら一本の【火矢】を作り出し、こちらに向けて放ってきました。
ビュン!!
僕はこちらに向かってきた【火矢】に右腕を突き出し、それを正面から受け止め握り潰します。
「そ、そんなぁ~。まさか、受け止めるなんて…」
「シャルル様~、大丈夫ですかぁ」と、トリスお姉ちゃんも慌てて駆け寄ってきます。
「どう、大丈夫だったでしょ」
「もう絶対にこんなことさせないでくださいね!」
「でも、さすがメルモアお姉ちゃん。盗賊たちの【火矢】より早くて威力もあったよ」
「頼もしいお姉ちゃんがいて、僕もとっても安心だよ」と、ニコッと笑っておくのでした。
今日は暖かい方だとはいえ、まだ寒い季節です。
「お姉ちゃん達、何しているの~?」
「「あっ、シャルル様…」」
「エリオンの魔法の練習に付き合っているんですよ~」
「エリオンお姉ちゃんもちゃんと練習しているんだね」
「ひどいです、シャルル様。こう見えて私もコツコツ練習しているんですよ」
キルシッカに言われてからですが…。
「エリオンもシャルル様のお役に立てるように頑張りたいのだそうです」
「へぇ~、そういってもらえると嬉しいな…、ちょっと見てて良いかな?」
「もちろん良いですよ。その方がエリオンも身が入るでしょう」
「それで、今日は何について練習しているの?」
「はい、エリオンはカラードじゃありませんが、魔力は比較的ある方なのです。ただ、やっぱり精度と制御が弱くて…、それについての練習です」
「じゃあ、エリオン、最初から…」
「はいっ!」
「……」
メルモアお姉ちゃんと、エリオンお姉ちゃんが掌に【火球】を作り出します。
エリオンお姉ちゃんの【火球】は一般的だとは思うのですが、横で作っているメルモアお姉ちゃんのと比べてしまうと全く違いました。
メルモアお姉ちゃんの【火球】は綺麗な形の球なのですが、エリオンお姉ちゃんのそれは外部の影響を受けたり、集中力の問題なのか形が球に定まらず、時々火の球がユラっと崩れるのです。
「ほら、エリオン、球の形が崩れてきているわよ。球になるように集中して!」
「は、はい」
「……」
エリオンお姉ちゃんは少し想像が上手く出来ていないようです。
続けてメルモアお姉ちゃんは【火球】を出来るだけ小さくするように言っています。
たぶん、使用する魔力を最小限に抑えることか、又は圧縮することを教えたいのでしょう。
エリオンお姉ちゃんも頑張って【火球】を小さくしようとしていますが、ある程度のところでポシュッと【火球】が消えてしまいました。
「あ~ん、また消えちゃいました。本当に制御が難しいですね」
「ちょっといいかな…」
「はい、シャルル様」
「エリオンお姉ちゃんはちょっと炎の想像が出来ていないみたいだね」
「はい…?」
「もし、球の中に火がついたらどうなると思う?」
「そ、それは球の中に灯って…、明るくなります…」
「そうだね。じゃあその火が灯った時、炎の大きさはどうなるの? 球の内部に納まるように小さくなるの?」
「それは…、その炎が球の内部に沿って球の形に…、ハッ! もしかして…」
エリオンお姉ちゃんは気付いてくれたのか再び掌に【火球】を作り出しました。
その【火球】は先ほどとは違い、球の形に合わせて炎が渦巻いて回転しているように見えます。
「あぁ~、なんとなく分かったような気がします」
「そうそう、良いよ、エリオンお姉ちゃん。炎の勢いごと球の形にしてあげるんだ」
「シャ、シャルル様、エリオンの【火球】が綺麗な球状になってきました…」
「うん、出来たじゃない…。その炎の動きが想像出来るようになったら、練習していくと小さくも出来るようになるよ」
「はいっ!」
「メルモアお姉ちゃんが教えたかったのはたぶん威力の上げ方でしょ?」
「シャルル様、そんなことまで分かっておられたのですか!?」
「うん、同じ力だとすると、球が小さい方が威力は大きくなるからね」
「エリオンお姉ちゃん、【火球】を小さくしようとするなら炎を弱めるんじゃ無くて、エリオンお姉ちゃんのお気に入りだったワンピースに、お姉ちゃんの大きな胸をギュッギュッと隙間無く詰め込んで収めていくような想像をするんだよ」
僕は胸の前に両腕を寄せ、押し潰すような仕草をしてみせます。
「なんだかすごい例えですが、シャルル様のおっしゃりたいことはなんとなく分かります」
「まぁ、小さくするのはすぐには上手くいかないかも知れないけれど、綺麗な形の【火球】を作る練習をしていたらきっと分かってくるよ」
「分かりました。頑張って練習します」
「シャルル様、なぜそんなことがお分かりになられたのですか?」
「それはね、バルゼ領で盗賊に襲われた時に首領だったという火属性のカラードの人が、【火球】から火を細長くて鋭い形に変えて攻撃してきたからなんだよ」
「【火球】じゃシエラお姉ちゃんの【水盾】に防がれて意味が無いと思ったんだろうね」
今から思えば意外に機転のきく首領だったようです。
「それはシエラから少し聞きました。おそらく【火矢】でしょうね」と、言いながらメルモアお姉ちゃんは掌に作った【火球】を細く変形させました。
「そうそう、そんな形だったよ」
メルモアお姉ちゃんによると、魔力量と訓練によって同時に何本か【火矢】が作れるそうです。
「こうすると【火球】よりも威力が上がって、数本に一本はシエラお姉ちゃんの【水盾】も貫いていたからね」
「そういえば、メンテールからも聞いたのですが、シャルル様はその【火矢】や武器を素手で払われたとか…」
「うん」
「本当にそんなことが…」
「試してみようか?」
「そんな、もしものことがあれば…」
「大丈夫だよ、何かあってもトリスお姉ちゃんもいるし」
僕はずっと黙って観ていたトリスお姉ちゃんの方を一度向きます。
「じゃあ、威力を落として…」
「せっかくなんだからメルモアお姉ちゃんの本気を見せてよ」
「そんなぁ~」
「ごめんね嫌なことをさせようとして…、でも僕もちょっと試したくてね」
僕はメルモアお姉ちゃんから少し離れて前に立ち、危害を受けることをダメだと一応再認識しておきます。
「いいよ~、放ってみて~」
「本当に…、本当に大丈夫なんですよね~?」
「大丈夫だから、本気でね」
「では、いきますよ~」と、言いながら一本の【火矢】を作り出し、こちらに向けて放ってきました。
ビュン!!
僕はこちらに向かってきた【火矢】に右腕を突き出し、それを正面から受け止め握り潰します。
「そ、そんなぁ~。まさか、受け止めるなんて…」
「シャルル様~、大丈夫ですかぁ」と、トリスお姉ちゃんも慌てて駆け寄ってきます。
「どう、大丈夫だったでしょ」
「もう絶対にこんなことさせないでくださいね!」
「でも、さすがメルモアお姉ちゃん。盗賊たちの【火矢】より早くて威力もあったよ」
「頼もしいお姉ちゃんがいて、僕もとっても安心だよ」と、ニコッと笑っておくのでした。
12
あなたにおすすめの小説
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
女神を怒らせステータスを奪われた僕は、数値が1でも元気に過ごす。
まったりー
ファンタジー
人見知りのゲーム大好きな主人公は、5徹の影響で命を落としてしまい、そこに異世界の女神様が転生させてくれました。
しかし、主人公は人見知りで初対面の人とは話せず、女神様の声を怖いと言ってしまい怒らせてしまいました。
怒った女神様は、次の転生者に願いを託す為、主人公のステータスをその魂に譲渡し、主人公の数値は1となってしまいますが、それでも残ったスキル【穀物作成】を使い、村の仲間たちと元気に暮らすお話です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる