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第17話 アンジーの不安

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「ちょっと二人とも昨日は急に居なくなって…って、何があったの!?」

昨日までとは違うビルマとレイアがそこにいました。

「獣人の本能でちょっとね…」

「種族の問題で所用が…」

「二人とも何を訳の分からないことを…。何でそんなに艶やかで瑞々しいの…」
「それに二人とも服装も少し変わって…」

ビルマとレイアの露出が減った気がします。
俊成って二人の胸やお尻をチラチラ見ていたんだよね…、私の身体には気にもかけないのに…。

「良いインナーが手に入ったの…。こっちの方が動きやすいし防御力も高いのよ」

「私も同じです。とっても身体にフィットするのですよ」

シャルル様からいただいた“スライム”は形も思うがままで今はボディースーツにしています。
下着も必要ないし、それに着けたまま女性器の訓練もできるのです。

まさかこんなに凄い魔道具があるなんて…。
それも常にシャルル様から魔力が供給されているのです。
俊成なんて足元にも及ばないわね。

「もう、俊成たちも探していたわよ。同じことを聞かれるから…」

「アンジーも俊成が好きなら頑張りなよ」

「ちょっとビルマ…、いきなり何を言って…」

「私達は地球人とは種族が違うからね…。何となく興味本位で俊成に付いてきたけれど、今では地球にきて幸運だったと思うよ…」

「ほんと、そうね…。アンジーは人族なんだから地球での人生を大切にね」

「ちょっと、どうしたの二人とも…」

二人がどこか恥ずかしそうに、でも達観したようにふけっています。



『緊急、緊急…、鳥取砂丘に侵略者が現る。俊成組は至急殲滅に向かわれたし』



「うそ~、昨日帰って来たばかりなのに…」

「「……」」



司令室に向かうと一宮さんと俊成、ドドンパも来ています。

「アンジー、それにビルマとレイア、昨日は一体どこへ…って、え~っ!?」

「驚くのは分かるけれど失礼ね…」

「いや、二人とも驚くほど綺麗になっているから…」

「俊成、私と二人を見比べないでください!」

ただでさえ二人より体型も良くないのに明らかに私だけが老けて見えます。
同い年なのに…。
それどころか一宮さんの方が私より若々しいし…。

「とりあえず、俊成組が揃ったから殲滅に向かってもらうわよ」

「帰って来たばかりなのにな…」



プシュ―――ッ。

「一宮さん、僕達が行こうか?」

「シャルル様達がですか~!?」

「俊成組は昨日帰って来たところだから…」

「そ、そうだね、僕としてもシャルル組にお願いしたいかな…。僕達ならすぐに殲滅出来るけれど、お手並み拝見なんてね…」

「「ちょっと俊成、シャルル様に失礼よ!」」

「どうしてビルマとレイアまで様付けなんだよ…」

二人がシャルル君を見る目が昨日とは全然違う気がする…。

「ではシャルル様、アイ様、マオ様、お願いできるでしょうか?」

「もちろん」
「良いですよ~」
「たまにはアレ以外の運動もしないとね」

「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」

僕は俊成君達に見えないように【世界応答】を発動させると、地図を見ながら鳥取砂丘に転移します。



XX XY



「どうしてこんな目立つところに攻めてくるんでしょうね」

「本当だね…。でも一度侵入されたらやっかいな場所だけれどね」

緑化が進み、砂丘面積は少なくなっているようです。
(なんだかオアシスみたいだな…)

「マスター、どうしますか?」

「この間の【風刃】は失敗だったからな、ちょうど砂地だからアイとマオで大きな落とし穴を掘ってくれる? 侵略者達を穴に落としたら僕が【火球】で焼却するよ」

「さすがご主人様、良い方法ですね。飛び散りませんし一網打尽です」

「マオ達も飛び出そうなGがいたら穴に落としてね」

「「はい」」



XX XY



「ただいま~、前回より立地が良くて簡単だったよ…」

そう言いながら帰ってきた司令室はさくらの部下を含めシーンとしていました。
掘った穴は元に戻してきたはずだけどまずかったのかな…。

「ば…馬鹿な、1万とはいえ侵略者達をこんな短時間で殲滅だと…」

落とし穴を掘って落として燃やして終わりですが、魔法の威力が桁違いです。

アイさんとマオさんは土属性の魔法だけじゃなく氷属性の魔法まで使っていたよな…。
シャルル君の火属性魔法の威力はまるでナパーム弾のようだったよ…。

「俊成、これは参ったな…。まさか一匹たりとも触れさせぬとは…」

(おっ、ドドンパさんが初めてしゃべった…)

「「さすがです、シャルル様」」

「どう、俊成君。シャルル様って様付けで呼びたくなるでしょ」

「くっ…(さくらさんまで…)」
「でも、僕達が劣っているとは言い難いな…。シャルル君達は全員魔術士で僕達とは戦い方のスタイルも違うからね」

「そうそう、俊成組の方が人数も多いからね。僕達はたまたまだよ」
「中国・四国地方は俊成組で安全が保たれているんだから…」

「わ…分かっていれば良いんだよ」

(フフ…、シャルル様は大人ですね~)

気に入りませんがシャルル様には京都の本部に居てもらわないと困りますからね。
俊成君に拗ねてもらっても困りますか…。

「一宮さん、今晩はアレをお願い出来るかな…」

宝条家は高級旅館と同等、それ以上ですが毎日同じところに居るのも飽きてしまいます。
今日は久しぶりに戦ったので違う所で美味しい物を食べてリラックスしたいと思います。

「アレですね。お任せください」



XX XY



「ドドンパ、シャルル君が言っていたアレってなんだろうな…」

「あの話の流れからすると、何かご褒美なのだろう…。彼等達のルーティーンのような物があるんじゃないか? 俊成も戦闘の後は踊り子のいる所へ行っていたではないか」

「なっ!?」
(ドドンパ、何を言って…)

「俊成、そんないかがわしい所へ行っていたの!?」

「アンジー、別に娼館に行っていた訳じゃないんだから…」

「でも、色んな女性が裸同然で踊っている場所なんじゃ…」

「ドドンパもつまらない事を言うなよ~」

「俊成もこの国にはそういったところがほとんど無くなっているからつまらないと言っていたじゃないか…」

「もう~、俊成って本当にいやらしいわね」

「いや…、そ…それより…ビルマとレイアはまたどこへ行ったんだ?」

「もぅ、誤魔化して~。ビルマは獣人にとって何か良い場所を見つけたそうよ。レイアも友人が出来たみたい…」

「レイアに友人だって!? 女性なら仲間として紹介してもらいたいな…」

「もう、余計な詮索をすると嫌われるわよ。どうせ私はアイさんやマオさん、レイア達みたいに綺麗じゃないわよ!」

「誰もそんな事を言っていない…」

「俊成の考える事はお見通しよ」

「そうだぞ俊成、お前もシャルル君の様に男を磨かないとな…」

「ドドンパはどうなんだよ」

「俺は余計な事は言わないし、今のところ女性にも興味はない。それに若返ったとはいえ中身はおっさんだからな…」

(私のこれからの人生は一体どうなるんだろう…)

今朝の二人は艶やかで女性らしくて綺麗だったわ…、羨ましい…。



XX XY



「どうしてビルマとレイアもいるんだよ」

「私はシャルル様の雌だから…」

「私もシャルル様のパートナーですから…」

「シャルル様、すいません。二人がアレについてしつこく聞いてくるもので…」

「まぁ、仕方がないか…」

ビルマは本能的に従順、レイアも見た目に反してドMでした。
やっぱりエロフの性なのかな…。

「二人とも序列は守ってくださいね」

「ハハ…、ビルマ、レイア、アイとマオ以外に序列なんてないからね。皆が僕を想ってくれることにも順番なんてないよ…」

「「良かった(です)」」

「そんなぁ~。私がこの世界で最初のパートナーなのにぃ~」

「さくらも大切なパートナーの内の一人だから…ね」

今晩は熱海に来ています。

もちろんさくらのおかげで一般人では宿泊できないような高級温泉旅館です。
水平線と一体になったかのような露天風呂が有名だそうで楽しみです。
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