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第23話 副業しよう

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「何か働いた方が良いかなぁ~」

「ご主人様、突然どうかされたのですか?」

「ちょっと暇で…」

屋敷のお風呂も改修し終わったし…。

「マスターは侵略者を殲滅されているではありませんか」

「でも不定期だし…」

忙しくないと不安になるのは異世界人となった僕でも同じなのかもしれません。
前世ではいつも何かしらやることがあって忙しかったよな…。

「ではご主人様、セックス増やしときますね~」

「“お薬増やしときますね~”みたいな言い方はやめてよ」

それにそのヤルという意味でもありません。

「でもマスターにとってセックスは大事なお仕事ですよ」

「そうなんだろうけどね…」

既にさくら、玲、エロフ達、ビルマ、レイアと、アイ達を除けばパートナーが14人もいて、その内エロフの5人は受胎もしています。

「では旅にでも…。結局まだ本格的に旅をしていませんよ」

「そうだけど、忙しかった後に行くから楽しいんだよね~」

「マスター、いつからそんな面倒くさい性格に…」

「マオ、ひどいな~」

マオの言いたいことも分かりますが、何かをして出会う機会が欲しいと思うのです。

玲にも知り合いはいると思うけれど立場上繋がりは限定的だろうし、可憐さんは“女”になっていてもここでは未成年だからね。
友達へ繋がっていくのもちょっとマズい気がします。

「では、高級エステサロンなんかどうですか? この世界では美容意識が高いようですし、ご主人様も様々な女性を覚醒できますよ。訪問エステなら色んな所に行けそうです」

「なるほど!」

「『ゴッドハンド・シャルル』なんてどうでしょう? 一日限定一人の予約制にして超高級にしてみましょうよ」

「あくどい商売になりそうだな」

「マスターの能力なら当然ですよ。一回一億円でも払う金持ちはいますよ。玲さんの事を考えると数億でも安いぐらいですよ。命まで救われたのですから…」

「そう考えるとそうか…」

こっちの金銭価値はまだよく分かりませんが、街の食べ物が予想の2~3倍になっているのは知っています。

「でも…、行き着くところは何になるんだろうね…?」

「ジゴロかもしれませんよ~。又はヒモ…」

(うっ…、今でも貢いでもらっているようなものだしなぁ)
「……うん、当分はエステティシャンで良いか…」

一瞬前の世界のように公衆浴場を運営してみても良いかと思いましたが、個人的な出会いや触れ合いが無いものな…。
公衆浴場は手間も掛かるので保留です。

早速玲に相談し、訪問エステを初めてみることにしました。
最初は渋っていましたが、あくまで副業だと伝えるとなんとか理解してくれました。

一回一億円という料金にも驚いていましたが、「考えたら安いぐらいね…」とマオの予想通りの事を言っていたぐらいです。



XX XY



とりあえず京都限定で広告を出して3日後、まさかの予約が入りました。

指定されたホテルへアイとマオを連れて向かいます。
訪ねる直前に【結界】内でアイが白色、マオがピンク色の露出度の高いナース服に着替えるので怪しさ満載です。

アイ達に言わせると、相手が驚くような恰好で肌を見せるのは心理上効果的なんだそうです。
本当かな…?

コンコン、コン。

ガチャ…。
「……、あなた達が『ゴッドハンド・シャルル』の皆さんですか…?」

「はじめまして、和久様。私がシャルル、こちらは助手のアイとマオになります」

ドアの隙間から訝しそうに全身を眺められると、何とか部屋の中へ入れていただき、向かい合ってソファに座ります。

まぁ、当然の反応だよね。
一回一億円のエステなんだから…。



「まさかあんな冗談なような広告があるのですね」

両隣りの女性はなんて恰好なの…、でも、とっても艶やかで瑞々しい…。
三人共リーマンみたい…。

「ご理解して予約していただいたのでは…?」

この和久という女性も玲と同じような和服美人です。
着物の為体型はまだ分かり辛いですが…。

「もし男性である私が気に入らなければキャンセルしてくださってもかまいませんよ。広告には男性のエステティシャンが施術するとは書いていませんでしたから…」
「あっ、私達はリーマンではありませんから…」

「そ…それは…」

リーマンじゃないって…。

「……」
明らかに迷っているようです。
どうやって納得させればいいかな…。

「ご主人様の施術を受けられると、おそらく一億円でも安く思われるかもしれませんよ」
「それにある努力を続けていただくと状態も維持できると思います」

「なんですって…!? そんな馬鹿な…」
「シャルルさんの施術はカスタムではありませんよね?(ご主人様?)」

「もちろん、使用するのは私の両手のみ、器具は使いません」

「だ…男性に肌を触れられたことがなくて…」

「そればかりは私に言われましても…」
「分かりました。今回は和久様が初めてのお客様ということで、料金は和久様に決めていただくことにします。施術後、私達の能力に見合った料金をお願いします」

「そんなこと…」
「わ…分かりました。そこまでおっしゃるのならシャルルさん達に任せてみたいと思います」



XX XY



「お母様、ただいま戻りました」

「お帰りなさい、菊子」

「お母様、その姿は…!? めずらしく着物ではないのですね?」

「どうですか? 見違えたでしょう。フフ…」

さすがにアイ様やマオ様のような服は持っていませんが、何だか普段着ない服を着たくなりました。

そして…冗談みたいな店名と料金でしたが、シャルル様はまさに神の手をお持ちなのです。

今から思えばどうしてあんな広告を見て予約をしてしまったのか自分でも理解できませんが、商家としての直感が働いたとしか思えません。
本当に自分を褒めたい気分です。

「お母様、カスタムされたのですか!?」

「そんなことする訳ないじゃない。いつもカスタムはいけないと言っているでしょう」

商人としては馬鹿な事をしたと言われるかもしれませんが、シャルル様に料金は納得した金額で良いと言わせてしまった自分を戒めるために料金を2倍払いました。

例え2億円払ってカスタムしたとしてもこれほど艶やかで若々しくならなかったことでしょう。
見た目だけじゃなく本当に身体が生まれ変わったようなのです。

それに今後はアイ様からいただいた『性典』に沿って日々訓練すればこの状態が維持できるそうなのです。
2億円でも安かったかしら…。

「それなら一体どうされたのですか?」

「エステよ」

「エステ…?」

エステティックサロン…?

少し前にお母様とは少し違いますが可憐様も見て分かるほど艶やかに女性らしくなっておられたのふと思い出します。
可憐様はスパだとおっしゃっていましたね…。

「私も体験してみた~い」

「ば…馬鹿な事を言わないの。菊子はまだ若いでしょ。それに超高級なんだから…」

「お母様がそんなに高額なお金を払ってもニコニコしているなんて信じられませんよ」

いくらか知りませんが、無駄なお金を払うことを嫌がられるのに…。

「菊子、無駄なお金は使ってはいけませんが、価値を見極めてお金を使う事は商家の者として大切なのよ」

マオ様がおっしゃるにはオプションが後2つもあるそうです。
どんなオプションなのかしら…。

とりあえず『性典』を読みつくし、全てを理解するまで訓練しなければならないと言われました。
その為に陰核…、クリトリスの皮も剥いてくださったのですから…。

そして、下腹部に施された何か…。
ここに紋様が現れればオプションの依頼が出来るそうなのです。



XX XY



「アイ、マオ、『性典』と【淫紋】って…」

前世でトリス達パートナーと作っていた女性器の観察についての『手引書』が『性典』になって、【淫紋】はあんなことの為に創って欲しいと言っていたのか…。

イッた回数がカウンター表示されるようにした方が良かったんじゃ…と思いましたが、それでは確かに面白みがないか…。

「前世で皆さんと作った大切な『手引書』ですから『性典』として使わないともったいないですよ~」

「【淫紋】も良いアイデアでしょ? 皆さん一生懸命に訓練されますよ。パートナーにされる為の口実にもなりますからね」

「いや、確かに商売上手というか、目標があって良いけれど…」

誰もかれもパートナーにしようとは思っていないんだけれど…。
既に屋敷のメイド達にも同じことをしているそうです。

「それよりまさか、倍の2億円を払われるとわね、驚いたよ」

「ご主人様なら当然ですよ。料金をお客様に決めさせるのは良かったかもしれませんね」

「マスター、これは絶対口伝てでお金持ちに広がりますよ~」
「クリ剥きもオプション料金を取れば良かったかもしれませんね~」

「まぁ、そこはどうせ触れる所だから良いじゃない」

軽い気持ちで始めましたが、様々な女性を覚醒して喜んでもらえるなら侵略者と戦闘するより何十倍も楽しめそうです。
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