58 / 105
57
しおりを挟む「アン、、ナ、、、?」
ラフマの王から離された話。
王妃の名前はアンナ?
「あぁ、我が愛しい妻の名はアンナだ。アンナが後悔していることなのだ。ルーチェという国では初子が男であると災いが起きるという意味のわからない宗教を信じきった王族が初子であるルイを城に幽閉し、さらには暴言も吐いているという。アンナも初めはその宗教の教えを信じていたがルイを育てるうちにそんなの間違っていると思い何度も王に抗議していたそうだ。おそらくそれで消されかけた。」
ラフマの王が語るのはルーチェの話。
「だから我々は一刻も早くルイを救い出さなければならない。アンナがそばにいない10年間あの国でルイがどうなっているか分からない。それに私はアンナをあれほどまでにボロボロにしたあの国を許すことができない。だから、そなたたちに邪魔されたくないのだ。分かってくれ。」
「ラフマ国王っ、、アンナに、、会わせてもらえませんかっ。」
「そなた、リユベ語が出来るからと調子に乗るでない。我が愛しき妻をそう簡単に他人に合わせるわけがなかろう。それに、何故呼び捨てにする。許されると思うのか。」
殺気の籠った目線に何も言えなくなる。怖い、足がガクガク震え今すぐここから逃げ出したくなる。
「ラフマ国王、私はこのルイの婚約者で王太子のセドリックと申します。私から一つお話しさせていただきたいことがございます。」
「なんだ、」
セド、、、?
「お2人の馴れ初めを聞きましたので私たちのもと思いまして。今から10ヶ月ほど前のことです。私はある国の王女の誕生日パーティーに参加した際、このルイに一目惚れしました。しかしルイはその国では生まれてないことにされており両親からもひどい言葉を投げつけられ実の妹弟からも暴力を受け、アレルギーがあるのにも関わらずそれを食べさせられ命の危険に陥りました。そんなルイを2ヶ月ほど前、その国から救い出しました。ルイは男だから。そんな理由で酷い目にあっていたんです。ルイが初子であり、男であるから国に不幸が訪れるのだと自分たちの無能を全てルイのせいにしていました。」
ラフマ国王の目が見開かれる。
僕を、ルイを凝視する。
「ルイの名は今はルイ・アスバルです。あの国に戸籍がなかったのでこの国で作りました。ですがルイには、実の親から名乗るなと言われたもう一つの名前があります。」
「そなたの名は、、っ、、
ルイ・レストか?」
「はいっ、アンナはっ、、僕にとってっ、、ぅ、、、」
「アンナをここへ連れてくる。待っておれ。」
さすがは獣人、声を出す前にもういない。人間の20倍の身体能力、か。
人間が獣人に使う言葉ではないと思うけど、早く、早く来て。もっと早く。
アンナは本当にあのアンナなの?
死んでしまったと僕には伝えられていた。でも生きていたの?僕の大事なアンナ。
「ルイ、ドアの近くで待っていよう?」
急に知らされた事実に頭が混乱しているままだったがセドがそうして少しでもあんなと早く会えるようにドアの近くまで連れて行ってくれた。
なのでドタドタと走る音が聞こえてくる。1人のものではなく大勢のもの。
「レオ!なんなんですか急に!!みんな気になってついてきてしまいましたよ?いいんですか?」
「いいんだ!!アンナをどうしてもここに連れてこなきゃいけなくてっ!!」
そんな会話が聞こえた直後、綺麗な女の人を腕に抱いたラフマ国王がドアを勢いよく開けた。
---バンッ
「・・・・・・」
誰も何も言わない。
アンナに一歩近づくと僕の顔を見たアンナが目を大きく見開き涙を浮かべる。
それを見たラフマ国王がアンナを下ろし、背中をトンと押した。
僕の背中もセドに押された。
それが合図だったかのように僕とアンナは抱きしめ合った。
「っ、、ルイ様?」
「ぅん、、っ、、アンナぁ、、っぅぁ、」
「ルイ様っ、、ぅ、、ごめんなさぃ、、っあなたを置いて行ってっ、ごめんなさいっ、、ぅ、、」
ここに来てからも何度も涙は流したけれどもこんなに声を出して泣いたのはいつぶりだろう。
「ルイ様、大きくなられましたね。アンナにお顔をしっかり見せてください。」
「アンナ、あのね、僕ね、18になったよ!あのね!セドがね!助けてくれたの!!」
これまでのことを話したいのになかなか言葉がうまくつながらない。この、アンナの温もりが心地よくてアンナに抱きしめられたまま泣いて話してを繰り返した。
312
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
公爵家の次男は北の辺境に帰りたい
あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。
8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。
序盤はBL要素薄め。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる