伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

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「今すぐって訳じゃない。それに、君の望みは叶えたいって思ってる。だから1つの可能性として頭に置いていて欲しいっていうだけだ。今は体のことを1番に考えて?」

「はい。」

そうは言ったものの俺の頭の中はぐちゃぐちゃでどうしたらいいのかもよくわからない。子供達に会いたいっていうのはずっとずっと考えていたことだけど一緒に生活できるなんて思ってもみなかったから。

「はい、終わり。楓、まずは飯を食え。息子も起こしてやれ。お前ら2人分の食事運ばせるから、しっかり食えよ?まあ、お前はあんまり量食えねえと思うが息子との食事初めてだろ?俺らは出とくから2人で話しながら食え。」

「はやくん・・・。わかった。」

理玖さん以外はみんな部屋を出た。園長先生はまたお見舞いに来るからねと言ってくれて俺の頭を撫でて部屋を出ていった。

「優がもし泊まらないって言ったら俺が連れて帰るよ。俺の家近くだから。ま、そんなことはないだろうけどさ。」

「分かりました。優、優起きて?」

優の体を揺すり起こそうとするがなかなか起きてくれない。そういえば施設にいた時も小学生はなかなか起きてくれなくて大変だった。

「優、ご飯食べよう?ね?」

「ん、、、」

目をこすりながら起きる姿はまだまだ子供で可愛くて、起こしたくなくなってしまうけど優と一緒にご飯が食べたいから少しだけ心を鬼にして優の体をゆすった。

「ん、、ママ?」

ぎゅっと抱きついてきたので驚いたが、すごく不安そうにママと呼ばれて驚いた。

「うん、俺ここにいるよ?」

「ママ・・・夢じゃない?」

「夢じゃないよ。優、俺ちゃんとここにいるよ。」

「良かった。俺何回もママの夢見ていたから今回も夢なのかと思って怖かった。」

「優・・・。もう離れないよ、俺優といたいからね。」

「うん!ママ大好き!!」

「これなら俺は帰っていいかな。優、先生が優もここに泊まっていいって言ってくれてるけどどうする?ご飯も出るって。」

「いいの!俺ここに泊まる!!ママと寝る!!」

「じゃあ俺は帰るよ。また明日優の着替えとか持ってくるから。優、持ってきて欲しいもんあるか?」

「あ、宿題やんなきゃいけないからランドセルごと持ってきて欲しい。」

「了解。じゃあ楓君、俺は帰るね。優をよろ、、いや、なんでもない。」

優をよ、、?何を言いかけたんだろうという疑問はあったがまたこの部屋には俺と優の2人きりになった。

「優、今からご飯来るみたいだから一緒に食べようか。俺は動けないからベッドの上で食べるけど、優はどうする?」

「俺このベッドの横の机で食べる!これならママの近くで食べれるから!」

「いいの?その椅子固くない?あっち側にソファもあるけど。」

「いいの!!」

「優、ありがとう。あとお願い1つしていい?」

俺は優にベッドを起き上がらせてもらうように頼んだ。ご飯を食べるためにベッドを起き上がらせたかったけど、ベッドが広くて少し動かないとボタンに届かなかった。

「ママ、ベッド起き上がるよ?」

動かす前に声をかけてくれるなんて本当に優しい子だな。紳士的というか、将来はモテモテだろうな。

「ねぇママ!これからはこのベッドのボタン押すの俺の役目にしていい?俺が毎回やりたい!!」

「優がやってくれるのか?それは嬉しいな。」

「決まりね!!他にも俺にできることがあるなら言ってね!!俺ママのために何でもするから!」

そう言ってくれたのが嬉しくて俺はまた涙が出てしまった。すると優はソファのところに置いてあったティッシュを何枚か取って俺の涙を拭いてくれた。それに余計に涙が出てしまって、食事を持ってきてくれた看護師さんが来るまで涙は出続けた。

「ママのご飯、お粥とスープだけ?俺のハンバーグいる?」

「ううん。俺のお腹がびっくりしちゃうからまだお粥しか食べられないんだ。だからハンバーグは優が全部食べな?」

「うん。・・・ねえママ、、、いや、なんでもない。」

なんでもないと言った割には悲しそうな顔をする優をそのままスルーなんてできるわけがなく、

「どうした?」

「一口だけ、一口だけでいいから、・・・してほしい、、」

優の声は最後の方は消えるように小さくなっていったので聞き取れなかったが何かして欲しいっていうことか?

「優?俺にできることならするよ?もう一度言って?」

「一口だけでいいからママにあーんってしてもらいたぃ、、、ごめんなさい。」

「優、なんで謝るの?俺もしてみたい。でも、優は5年生だから嫌かなって思ってたんだよ。優が望んでくれるなら俺はしたいよ?」

「本当?本当にしてくれる?」

「あぁ。こっちおいで?お盆ごと持って来れる?気をつけてね?」

俺より小さい体でお盆をベッドに備え付けの机まで運び、ベッドに入って俺の横に座ってソワソワしている。

「あ、俺誰かに食べさせるの初めてだから上手くできなかったらごめんね?」

「いいの!ママにしてもらいたい!俺こそ赤ちゃんじゃないのにごめんなさい。」

「優・・・ほら、あーん。」

実際にハンバーグを小さく切って口へ持って行くと目を輝かせて口を大きく開けて食べてくれた。

「ママがあーんしてくれたらさっきの100倍おいしくなった!!」

今日は俺の涙が止まることはないらしい。
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