伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

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刺されるってそう思った。でも、刺されなかった。

痛みが襲って来なかったので目を開けてみるとはや君と理玖さんが2人がかりで奥さんを止めていた。俺の視界に入る限り2人に怪我はない。

「はなしなさい!!!!あいつを!あいつのこと!!!あいつさえいなければ!!!私は幸せだったのよ!!!」

「義姉さん!!あんたの幸せのためになんで楓君が辛い思いしなきゃ行けないんだよ!!それが間違ってんだよ!」

「うるさいわよ!!」

「楓のこと傷つけたら俺が容赦しねえからな。」

3人がそんな会話をした直後に扉が開いて幹也さんが入って来た。理玖さんが呼んでくれたのかな?

「理玖!!警察呼んだ!!すぐにここに向かってくれる!!」

そのまま3人は奥さんを抑えながら連れ出してくれた。病室内は数秒前とは打って変わって静寂に包まれていた。

俺は、奥さんに言い返すことが出来たと強くなったとそう思っていたけど体が少し震えている。怖かったのか、、?いや、怖かった、怖かったよ。

「・・・あたま、だいじょうぶ?さっき、いたいいたいしてた。」

「あ・・・うん。大丈夫だよ。後でお医者さんに見てもらうから大丈夫だよ。」

「ひよね、きょう5さいになったの」

知ってるよ。8月23日の14時17分に産まれたんだもん。

「誕生日おめでとう。お名前は?」

「ひいらぎひよりです」

「日和ちゃんって言うんだね。俺は水城楓です。」

「・・・ひよのおかあさんはおかあさんじゃないの?おにいさんがママなの?ひよわかんない・・・」

「日和ちゃん、難しい話だけどね俺は確かに日和ちゃんのこと産んだんだ。でもこれまでたくさん遊んでくれたり一緒に寝てくれたりご飯を食べさせてくれたのはさっきまでここにいた君のお母さん。日和ちゃんには2人お母さんがいるんだよ。すごいね。」

「2人?でもね、あのね、さっきのおかあさんこわかったの。どん!ってしたの!おにいさんのことどん!って。」

「うん。ごめんね、俺が怒らせちゃったんだ。怖かったよね?体はどこも痛くない?お腹空いてない?」

「おなかすいた!!」

「そっか。お菓子ならあるよ?食べる?」

「たべる!!」

頭と背中はまだ痛いけど立ち上がって棚の中のお菓子を取り出すと迷いなく優が好きでいつも置いてあるお菓子をとった。

「あのね!このおかしおにいちゃんがすきなの!!だからね!ひよもすきなの!」

「・・・そうなんだ。お兄ちゃんと一緒だね。お兄ちゃんのこと好き?」

「うん!だいすき!!でもね、このあいだけんかしたからね、きょうごめんねっていおうとおもってたの・・・」

「きっとお兄ちゃんも日和ちゃんのこと大好きだと思うよ?」

「ほんと?ひよのことだいすき?」

「うん。俺も日和ちゃんのこと大好きだよ。」

お菓子をニコニコ食べているのでそっと見守ることにしようかと思った時扉が開いてはや君が入って来た。

「楓、体見せろ。床に倒れてたってことは転んだか突き飛ばされたか?」

こんな余裕なさそうなはや君はあまり見たことがない。いつも余裕そうにニヤニヤしてるのに今は少しも笑ってなくて俺のことを心配そうに見ている。

「痛いとこはどこ?」

「頭の後ろと、背中もちょっとだけ・・・」

はや君がら頭の後ろを触ると少しピリッと痛んだ。

「・・・少し切れてる。痛かっただろ。すぐ治療するからな。背中も見せろ、脱がすぞ。・・・・・・楓、一応レントゲン撮って頭も検査しておこう。あざができてるから一応骨とかに異常ないか見たい。」

「・・・うん。」

悲しそうな顔をしたはや君はその場で誰かに電話していてすぐに車椅子を持って来てくれた。

「楓、申し訳なかった。子連れだったこともあってお前の見舞いだと言っていたあの女を簡単に通してしまった。これは病院の落ち度だ。怪我もさせちまった、本当にすまない。」

「はや君、謝んないで!はや君のおかげで、この病院のおかげで俺歩けるようになったんだよ?感謝してるんだ!だから謝らないで。」

「・・・俺は、お前が傷つくのもう見たくないよ。なあ、俺がお前のそばで守るから、絶対に守るから俺と一緒に生きてくれねえか。」

俺のそばで・・・?

「・・・ぇ、、っと、、それは、その・・・」

「友達としてじゃねえよ。昔からずっとずっと楓のことが好きなんだ。好きで好きで仕方なくて、お前のそばにいたいんだ。楓の笑顔を俺がそばで守っていきたい。・・・すぐに答えが欲しいわけじゃないから今は何も言うな。優との生活ももうすぐ始まる。それが落ち着いて、お前が自分のことをしっかり考えられるようになってからでいい。もう20年以上お前に片想いしてんだ。何年でも待てるよ俺は。」

「はや君・・・」

全然気づかなかった。そんなに長い間俺のことを好きでいてくれたなんて・・・どうしよう、俺、なんて言ったらいいの?恋愛なんてしたことなくて、好きって何かが分からない。はや君のことは好き。ただそれがどういう好きなのかが俺自身の気持ちのはずなのに俺に判断ができない・・・えっと、好きな人にはドキドキするんだよね。今心臓はすっごいバクバクしてるからこれのことなの?

「そんな顔すんな。俺は楓のことが好きだけど、お前の親友であることにも変わりはねえよ?」

「うん。ありがとう・・・今はまだその、恋愛とかあんまりわかんなくて・・・えっと・・・」

「だから、答えは今じゃなくて良いって。俺だってこれからまだアピールしてえんだから。さ、レントゲンとか検査しにに行くぞ。電話で聞いてみたら今空いてるみたいだから。・・・1人で置いとけねえし日和ちゃんも行くか。」

「それなら俺が見とくよ。」

幹也さん、もしかして今の会話聞いてたのかな。あれ?理玖さんも一緒のはずなのにいない。

「あぁ、幹也さんか。じゃあよろしく頼む。柊さんは?戻ってこねえのか?」

「理玖は警察に行ったよ。事情聴取だそうだ。終わり次第優迎えに行くって言ってたぞ。警察が後日楓君と松本先生のとこにも来るってよ。」

事情聴取・・・柊さんと奥さんのことでも何度か受けていた。またあれをするのか。

なんか、告げ口する感じがして良い気分ではないんだよな。警察の人相手だから嘘とか言えないし。

「ほら、楓行くぞ」

「うん。」

日和に手を振って俺は病室を出た。戻って来たら優も帰って来てるかな。



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