43 / 87
43
しおりを挟む検査が全て終わってはや君の診察を受けたがどこにも異常はなかった。頭に少し傷があるから包帯はされちゃったけど・・・
優がこれみたら心配させちゃうだろうな。今日のこと優には話したくない。優のお母さんと俺とのことだから優には話しずらいし。優があんなに優しくて賢い子に育ってくれたのは育ててくれていた柊さんと奥さんだから。
「お、おかえりー。日和ちゃんは良い子にお菓子食べてたよー。」
「幹也さん、あんたまで一緒にお菓子食ってんじゃねえか。大人なんだから遠慮ぐらいしろよ。」
「松本先生~そんな堅いこと言わないでよ。俺はいつまでも子供心忘れねえよ?」
「はぁ。ほら楓ベッド移動するぞ。今日は俺が抱えるから首に手回せ。」
いつもなら何の抵抗もなく、当たり前のようにはや君に抱え上げられるのにさっきはや君の気持ちを聞いたから少し気まずい。
「楓、気にすんな。今はただの医者と患者だ。」
はや君が小声でそう言ってくれなきゃ幹也さんや日和に変に思われていたかもしれない。
「楓、俺は診察戻るからな?なんかあったら呼ぶんだぞ。」
そう言ってはや君は病室を出てしまった。俺、何にもはや君に言えなかった。はや君は今はいいって言っていたけどそれって俺が答え出すまではや君はずっと待ち続けるんだよね?そのことがどうしても気にかかってしまった。
---ドタドタドタ
ん?
---バンッ!!!
「ママっ!!」
「優っ!」
「ママ!頭の怪我どうしたの?なんで?何で怪我してるの?朝は元気だったじゃん!」
理玖さんはここに奥さんが来たことは優に話さずにいてくれたみたいだ。
「優、大丈夫だよ?ちょっと頭打っただけなんだ。」
「ねえ何があったの?日和がお母さんに連れられて本家からいなくなったのに日和がここにいるってことはお母さんがここに来たんでしょ?お願い、本当のこと教えて?ママが1人で泣くの俺嫌だ。」
「・・・優。分かったよ、夜2人の時に話す。それでもいい?」
「うん。ママ、抱っこして。」
「ほら、おいで。」
「ごめんなさい。俺が、俺がママの近くにいなかったから。」
「何で優が謝るんだよ。お前は何も悪くないだろ。俺はこうやって優を抱っこできて幸せなんだからもう終わったことなんだし。な?」
「うん。」
泣きそうになっている優を抱きしめて背中をトントンとしてやっているとソファに座っていた日和がこちらにトタトタとやってきて優に触れている俺の手に小さい手を重ねた。
「おにいちゃん、かなしいの?」
「日和ちゃん・・・。優は今ちょっとだけ悲しくてこうしていたいだけだから。」
「ひよもだっこしてほしい。」
「・・・いいの?」
「うん!だっこ!!」
優を抱えたままだと抱え上げることはできないなって思っていると幹也さんが日和をベッドの上に上げてくれた。
そのおかげで俺は2人を同時に抱っこすることができた。・・・重たいな、でも、すごい幸せな重みだ。
「へへっ、子供でも2人抱えれば重たいんだね。知らなかったっ、、っ、、、。」
「じゃあ3人ならもっと思いってのも経験してみようか。」
そんな理玖さんの言葉とほぼ同時に俺の太ももに乗ってる2人の奥に少し重みが加わった。そこに目をやると赤ちゃんが乗っていた。
「にいに!!ねえね!!」
「あ!ようすけだ!!」
日和が俺の上に乗ったまま後ろを振り返りその赤ちゃんの名前をそう言った。
「楓君、兄弟全員集合だ。」
「・・・優と、日和と、・・・陽介。」
「ママ、俺一旦退くから日和と陽介抱っこしてあげてよ。」
さっきまで泣いててまだまだ抱っこしてて欲しいくせに強がる優は今日の夜思いっきり抱きしめてあげようと思う。優が俺の横にずれて陽介を抱き上げ俺の目の前に連れて来た。
小さくて少し怖いが恐る恐る抱き上げてみると優よりも日和よりも軽くて、涙が出た。
この涙は陽介に会えたからだけじゃない。赤ちゃん、といってももうすぐ2歳になるがこんなに軽くて小さい子がひよりぐらい大きくなって、さらに優ぐらい大きくなる。俺は生まれたてのこの子達を抱いたことがないしちゃんとみることもできなかったから、優に初めてあった時に本当に俺のお腹の中にいた子がこんなに大きくなるんだぐらいだった。施設でも小さい子はいたから成長は見ていた。
でも今、初めて自分の子供の成長を強く感じた。優も日和もこんなに小さかったんだろう、今は流暢に大人な発言をする優も日和くらい幼い言葉だっただろうし、陽介くらい話す言葉も少なかったんだろう。
それを強く感じて、嬉しく思わずにはいられなかった。きっと何かこの子達に言葉をかけるべきだったのかもしれないがこの瞬間の俺には難しかったんだ。
2人の幼い我が子を腕に抱いて、横から優に抱きしめてもらう。今この瞬間のために生きていたのかなってそう確信できるほどに過去1番の幸福感を味わうことができた。
この子達と会えていなかったのに一生を終えることに抵抗していなかった頃の自分が今では信じられない。辛いことなんて無かったかと思えるくらいに幸せな瞬間がまっているんどから。
355
あなたにおすすめの小説
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
αが離してくれない
雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。
Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。
でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。
これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる