伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

文字の大きさ
46 / 87

46 優side

しおりを挟む

「お待たせしました。エビとイカのジェノベーゼ、たらこといくらのクリームパスタ、チキントマトパスタです。」

注文していた食事が運ばれて来た。いい匂いがしてママの方を向くとママはにっこりと笑ってくれた。

「「いただきます。」」

俺は最初にトマトパスタを食べることにした。でも、トマトパスタには俺の嫌いな茄子が入っていて一瞬尻込みしそうになったが勇気を出してフォークに茄子を突き刺した。意を決して口に入れようとしたら横からパクりと食べられてしまって驚いて見るとママが茄子を食べていた。

「茄子嫌いなんだろ?」

「でも、ママも嫌いなんでしょ?」

「うん、ちょっと苦手。だけど、優より大人だからね。あ、優も2つだけは食べような。あーんしてやるから。ほら、あーん。」

嫌いな茄子もママに食べさせてもらえれば不思議と口を開ける気になる。

「ん、、」

「ほら次はお肉だよ。」

次に入って来た鶏肉はトマトソースと絡んでてすごく美味しかった。

「茄子食べるのよく頑張ったな。偉いぞ~!!」

「へへっ、ママ俺も!はい!あー!」

「んっ、!美味い!!トマトのパスタ頼んで正解だったな。こっちも食べるか?クリームパスタ、イカがめちゃくちゃ美味いぞ。」

ママがくれたクリームパスタも麺とよく絡んでるモッタリ系で美味しかった。
入院中にママは生のイカは苦手だけど火が通ったイカは好きなんだって教えてくれた。ちょっと変なのって思っちゃったのはママには秘密。

「もしかして俺、一緒に来ない方が良かった?」

「あっ、理玖さんすいません・・・そんなことないです一緒にご飯楽しいので。」

理玖おじさんごめん、俺は完全に忘れてた。この3人でいると毎回お決まりになってて学習能力がないわけじゃないんだけどどうしても俺はママに夢中で毎度毎度おじさんのことを忘れてしまう。

「まあ2人が楽しいならそれでいいんだけどね。ほら、優も楓君もここのピザ美味しいから食べてみて。」

「・・・俺、ちゃんとしたピザ初めてです。ピザパンなら食べたことあるんですけど。」

「そうなの?1番オーソドックスなマルゲリータ頼んだから好き嫌いとかは大丈夫だと思うし食べてみなよ。」

「はい・・・いただきます。ん!美味しいです!!」

「俺も食べる!ん!美味しい!」

「だろ?この店いつも人気なんだよな~。美味しいし値段もお手頃だしマンションに近いからついつい通っちゃうんだ。」

「理玖おじさん1人でくるの?」

単純な疑問だった。だって店の中見ても家族連れやカップルに友達同士と1人で来てる人はあんまりいない。そんな中に1人で来ているのかというシンプルな疑問。

「お前、失礼だぞ?俺は1人でどこへでもいけるんですー。別に寂しくありません。」

「ふふっ、これからは俺も優もここに住みますしいつでも誘ってくださいね。俺もここお気に入りになりました。」

「そうだね、これからはご近所に楓君と優が来てくれて楽しくなりそうだ。」

前回出かけた時と違って今日は病院に帰るわけじゃない。不安もたくさんあるけれど、何よりも楽しみが大きい。

「おじさん、明日何時に出るの?」

「昼過ぎにしようと思ってるよ。楓君も環境変わって疲れ溜まりやすいだろうし昼頃まではゆっくり過ごしてほしいしね。お昼はどうする?明日もどこかで食べてもいいけど。」

「あ、いえ。今日の夜からは基本は俺が作ろうと思うので大丈夫です。ありがとうございます。」

クールに聞き流したふうにしているけれど俺はママのその言葉に舞い上がっていた。頭の中で踊り出したくなるほどの喜びを感じていた。ママのご飯が食べれるっ!!

「優、夕飯何食べたい?」

「ママが作ってくれるの?」

「もちろん!施設で料理も習ったから味は多分大丈夫だと思うよ。」

「ママのご飯楽しみ!俺ね、オムライス食べたい!!」

「じゃあ今日の夜はオムライスにしようか。このあと買い物行こうな。」

「スーパーまで送るし荷物も持つよ。転んだり重いもの持って足に負担かかったらまたリハビリになるかもだし。楓君もう入院したくないだろ?」

「いいんですか?すいません、何から何まで。いつかちゃんと恩返ししますから。」

「いいんだよ。俺がやりたくてしていることだから。楓君は優と笑っててくれればそれでいい。」

俺は最近気づいたんだけど、たぶん理玖おじさんはママのことが好きだ。いつも見守るように見つめているし、異様にママに優しい気がするし。仕事も休日に持ち込んでまで病院に来ていたことも知ってる。

ママはたぶん全く気づいてないけど。

俺は今のところ賛成でも反対でもない。理玖おじさんはいい人だけど俺はママを取られたくないって思いが強くて喜べはしないと思う。

「優、食べ終わったか?買い物一緒に行こう?」

「あ、うん!ママ俺と手繋ごうね!」

「・・・大丈夫か?友達に見られたらまたさっきみたいに言われないか?」

優しいママがさっきのこと気にしてないわけないよな。

「ママ、大丈夫だよ。俺の友達にそんな奴いない。みんな俺がママのこと大好きだって知ってるもん。」

仲の良い友達には家のことを軽く話してあるし、ママのことも少しだけ話した。本当の親がいてこれから一緒に暮らすんだって。そのままのことが大好きなんだって。自慢しておいた。

俺の友達にはさっきの小野みたいな奴はいないからママが心配するようなことはない。

「だから、ね!手!」

そう言って手を差し出すとママは少し嬉しそうに笑って手を繋いでくれた。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

複数番ハーレムの中に運命の番が加わったら破綻した話

雷尾
BL
合意を得なきゃだめだよね。得たところで、と言う話。割と目も当てられないぐらい崩壊します。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました

小池 月
BL
 大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。  壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。  加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。  大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。  そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。 ☆BLです。全年齢対応作品です☆

処理中です...