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46 優side
しおりを挟む「お待たせしました。エビとイカのジェノベーゼ、たらこといくらのクリームパスタ、チキントマトパスタです。」
注文していた食事が運ばれて来た。いい匂いがしてママの方を向くとママはにっこりと笑ってくれた。
「「いただきます。」」
俺は最初にトマトパスタを食べることにした。でも、トマトパスタには俺の嫌いな茄子が入っていて一瞬尻込みしそうになったが勇気を出してフォークに茄子を突き刺した。意を決して口に入れようとしたら横からパクりと食べられてしまって驚いて見るとママが茄子を食べていた。
「茄子嫌いなんだろ?」
「でも、ママも嫌いなんでしょ?」
「うん、ちょっと苦手。だけど、優より大人だからね。あ、優も2つだけは食べような。あーんしてやるから。ほら、あーん。」
嫌いな茄子もママに食べさせてもらえれば不思議と口を開ける気になる。
「ん、、」
「ほら次はお肉だよ。」
次に入って来た鶏肉はトマトソースと絡んでてすごく美味しかった。
「茄子食べるのよく頑張ったな。偉いぞ~!!」
「へへっ、ママ俺も!はい!あー!」
「んっ、!美味い!!トマトのパスタ頼んで正解だったな。こっちも食べるか?クリームパスタ、イカがめちゃくちゃ美味いぞ。」
ママがくれたクリームパスタも麺とよく絡んでるモッタリ系で美味しかった。
入院中にママは生のイカは苦手だけど火が通ったイカは好きなんだって教えてくれた。ちょっと変なのって思っちゃったのはママには秘密。
「もしかして俺、一緒に来ない方が良かった?」
「あっ、理玖さんすいません・・・そんなことないです一緒にご飯楽しいので。」
理玖おじさんごめん、俺は完全に忘れてた。この3人でいると毎回お決まりになってて学習能力がないわけじゃないんだけどどうしても俺はママに夢中で毎度毎度おじさんのことを忘れてしまう。
「まあ2人が楽しいならそれでいいんだけどね。ほら、優も楓君もここのピザ美味しいから食べてみて。」
「・・・俺、ちゃんとしたピザ初めてです。ピザパンなら食べたことあるんですけど。」
「そうなの?1番オーソドックスなマルゲリータ頼んだから好き嫌いとかは大丈夫だと思うし食べてみなよ。」
「はい・・・いただきます。ん!美味しいです!!」
「俺も食べる!ん!美味しい!」
「だろ?この店いつも人気なんだよな~。美味しいし値段もお手頃だしマンションに近いからついつい通っちゃうんだ。」
「理玖おじさん1人でくるの?」
単純な疑問だった。だって店の中見ても家族連れやカップルに友達同士と1人で来てる人はあんまりいない。そんな中に1人で来ているのかというシンプルな疑問。
「お前、失礼だぞ?俺は1人でどこへでもいけるんですー。別に寂しくありません。」
「ふふっ、これからは俺も優もここに住みますしいつでも誘ってくださいね。俺もここお気に入りになりました。」
「そうだね、これからはご近所に楓君と優が来てくれて楽しくなりそうだ。」
前回出かけた時と違って今日は病院に帰るわけじゃない。不安もたくさんあるけれど、何よりも楽しみが大きい。
「おじさん、明日何時に出るの?」
「昼過ぎにしようと思ってるよ。楓君も環境変わって疲れ溜まりやすいだろうし昼頃まではゆっくり過ごしてほしいしね。お昼はどうする?明日もどこかで食べてもいいけど。」
「あ、いえ。今日の夜からは基本は俺が作ろうと思うので大丈夫です。ありがとうございます。」
クールに聞き流したふうにしているけれど俺はママのその言葉に舞い上がっていた。頭の中で踊り出したくなるほどの喜びを感じていた。ママのご飯が食べれるっ!!
「優、夕飯何食べたい?」
「ママが作ってくれるの?」
「もちろん!施設で料理も習ったから味は多分大丈夫だと思うよ。」
「ママのご飯楽しみ!俺ね、オムライス食べたい!!」
「じゃあ今日の夜はオムライスにしようか。このあと買い物行こうな。」
「スーパーまで送るし荷物も持つよ。転んだり重いもの持って足に負担かかったらまたリハビリになるかもだし。楓君もう入院したくないだろ?」
「いいんですか?すいません、何から何まで。いつかちゃんと恩返ししますから。」
「いいんだよ。俺がやりたくてしていることだから。楓君は優と笑っててくれればそれでいい。」
俺は最近気づいたんだけど、たぶん理玖おじさんはママのことが好きだ。いつも見守るように見つめているし、異様にママに優しい気がするし。仕事も休日に持ち込んでまで病院に来ていたことも知ってる。
ママはたぶん全く気づいてないけど。
俺は今のところ賛成でも反対でもない。理玖おじさんはいい人だけど俺はママを取られたくないって思いが強くて喜べはしないと思う。
「優、食べ終わったか?買い物一緒に行こう?」
「あ、うん!ママ俺と手繋ごうね!」
「・・・大丈夫か?友達に見られたらまたさっきみたいに言われないか?」
優しいママがさっきのこと気にしてないわけないよな。
「ママ、大丈夫だよ。俺の友達にそんな奴いない。みんな俺がママのこと大好きだって知ってるもん。」
仲の良い友達には家のことを軽く話してあるし、ママのことも少しだけ話した。本当の親がいてこれから一緒に暮らすんだって。そのままのことが大好きなんだって。自慢しておいた。
俺の友達にはさっきの小野みたいな奴はいないからママが心配するようなことはない。
「だから、ね!手!」
そう言って手を差し出すとママは少し嬉しそうに笑って手を繋いでくれた。
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