伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

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45 優side

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この日をずっと待っていた。ずっとずっと待っていた。

「お世話になりました。ありがとうございました。」

「楓、なんかあったらすぐ俺に連絡しろよ?家もここから近いんだから。遠慮なんかすんなよ?」

「うん、はや君ありがとう。」

「2週間後には診察あるからな、ちゃんと来いよ。新しい生活楽しめな。」

「ありがとう!!」

俺はママと手を繋いで病院の正面玄関を出た。同じマンションに住んでいる理玖おじさんがマンションまで俺たちを送ってくれることになった。夏休み最終日の明日はママと一緒に生活に必要なものを買いに行くことにしている。理玖おじさんが車は出してくれるけど、買い物はママと2人きりのデートだ。

「優、ついに始まるね。」

「うん!ママ今日はゆっくりしてようね。退院したばっかりだし!」

「そうだね。」

「今昼時だからどっか食べに行くか。楓君、優、何食べたい?」

「ママが食べたいもの!」

「俺は優が食べたいものがいいな~。」

「親子でイチャコラしないでくれよ。じゃ、マンションの近くにパスタ屋があるからそこに行くか。優も前言って美味しいって言ってただろう?」

前に理玖おじさんに連れて行ってもらったパスタ屋さん。麺がもちもちでセットのサラダやスープも美味しかった覚えがある。

「うん!そこがいい!!」

理玖おじさんがすぐに電話して予約してくれたのでランチの時間で混んでいたのにスムーズに入店することができた。

ママはまだスタスタと歩くことはできないから俺と手を繋いでゆっくり歩きながら店内に入る。ママはすっごい美人だから周りの人がチラチラ見ているのを感じる。ママは気づいておらず、店内の内装や人の多さにびっくりしているみたいだ。

「ママ、何にする?」

俺はママの横に座ってメニューを一緒に見る。ここはクリーム系が美味しいって理玖おじさんが言ってたけど、俺はママが食べたそうなやつを半分こずつするって決めている。

「んー、俺パスタはミートソースとカルボナーラしか食べたことないんだよな。パスタってこんなに種類あったんだな。どれがどんな味するのか全然わかんないや。」

「じゃあさ!俺と1つずつ全然違うやつ頼んで一緒に食べよう?そうしたら2個も新しいの食べれるよ!」

「いいのか?優は食べたいものあるんじゃないのか??」

「ううん!俺はママと一緒に食べれたらそれでいい!」

俺とママで話してトマトパスタとクリームパスタを1種類ずつ頼むことにした。

それと理玖おじさんが3人で食べようと小さめのピザも頼んでくれて食事が来る間は明日どんなものを買うかを話した。

そんな時だった

「あれ?柊じゃん!」

話しかけて来たのは俺の隣のクラスの小野だ。去年一昨年と同じクラスだったけど、成績で俺に毎回勝負を仕掛けて来ては負けていてやたらと俺に突っかかって来ていたんだ。小野の父親が会社を経営していていつもその父親のことを周りに自慢していた。だから、柊の家のことがニュースになった時に1番に俺のとこに来て「お前の家大変らしいじゃん~、ここ私立だけど通うお金あんのか?」なんて非常識なことを言った奴だ。まぁ、俺はどうでもいいから無視してたけど。

「なんだ?お前もう5年生なのに自分の母親と手繋いでんのか?はっずかしぃ~!」

俺とママが手を繋いでいるのを見てこいつは俺にそう言い放った。別に俺1人に言うならなんの問題もない、俺は受け流せるし無視できる。でも今ここで言うとママに聞こえたはずだ。ママがそれで気まずく思ったらどうしよう、それでら一緒に出かけてくれなくなったら。

「悪いかよ。俺はママのこと大好きなんだから手ぐらい繋ぐ。今は夏休みなんだしママとの思い出作りたくて一緒に出掛けてんだ。それの何が悪いんだ。」

「ふはっ!!ママ!ママなんて呼んでんのか!!うける!!!」

あ、だめだ。キレそうだ。

今すぐこいつにつかみかかって殴ってしまいたくなる。本当に、あと数秒で殴りそうだ。

「君、優の友達?」

「あ?友達っていうか、去年同じクラスだったけど。」

「ママ?」

「優は優しいから俺のわがままに付き合ってくれているだけなんだ。俺がまだ子供離れできてなくてね。だから、優のことそういうふうに言わないでほしいな。」

いつもニコニコしているママが笑っていなかった。真剣な眼差しで小野のことを見ていてその場の空気が少し重たくなるような感じがした。

・・・ママ、怒ってる???

「優に謝ってくれないか。俺の大事な息子を馬鹿にしたような物言いは許せない。」

ママが強めの口調でそう言うと小野は逃げるように去っていった。

「あっ、、もう、謝ることもできないのかよ。」

「ママ・・・」

「あ、ごめんな俺余計なことしたかな?でも嫌だったんだ。優のこと馬鹿にされたみたいでさ。」

「ママ、ありがとう!俺すごく嬉しかった!!あいつのせいでママは嫌な思いしなかった?大丈夫?」

「俺は大丈夫だよ。ほら、さっきまでのことは置いといてご飯もうすぐ来るよ?優との外でのご飯楽しみなんだ!」

ママ、ありがとう。

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