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しおりを挟む「理玖さん!!!!!」
もう一度叫ぶとやっとこっちに気づいてくれて列を抜けて俺の方へ向かってきてくれていた。
俺を見つけた瞬間の理玖さん、かなり驚いているようだった。慌ててる様子でこちらに来てくれている。
俺も走って理玖さんに近づく。
「楓君!?どうしてここに?今日病院だろう?それに急に走ったりなんかしたら体に何かあったらどうするんだよ。」
「心配かけてごめんなさい。でも、どうしても伝えなくちゃって思って。この間話したこと、俺ずっと考えてて・・それを、ちゃんと言葉にして理玖さんに言わなきゃって、理玖さんが海外に行っちゃう前に言わなきゃって。」
「・・・そっか。君は本当にいい子だな。そうだよな・・・うん、ちゃんと受け止めるよ。」
なんて言葉にしていいのかもわからない、だってこんなの初めてだし。分からないけど、伝えなきゃきっと後悔するから。
「俺、俺っ理玖さんのことが大好きですっ!だから、俺っ、待っててもいいですか?日本で、ずっとずっと待ってても、、いいですか?」
「ぇ、、、、?」
「迷惑ですか?でも俺、本当に「ちょっと待って、、えっと、え?俺はフラれると思って今聞いてたんだけど、俺の耳と脳が正しければ俺もしかしてフラれてない?」
「俺、フッてない!俺も理玖さんのこと好きなんです!!」
---ギュッ
「本当に?俺でいいの?俺、柊理玖だよ?兄さんの弟だよ?怖くない?」
「理玖さんのこと怖いなんて思ったことないです。理玖さんが海外行っちゃうの寂しいです、ずっとそばにいて欲しいです。今だってすごいドキドキしてます。」
「うん、うん、、俺もすげえドキドキしてる。楓君のこと、初めて会ったあの瞬間からずっと好きで好きで仕方なかった。俺、君から逃げようとしたのに追いかけてくれてありがとう。少しの間海外に行っちゃうけど、待ってて欲しい。」
「待ってます。あの蔵から出してくれたのは理玖さんでしょ?俺はもうあの時みたいにただただ終わりを待ってるだけの人間じゃない。理玖さんと一緒に過ごせる日々を楽しみにして待ってますから。あ、でも・・・」
「ん?どうしたの?」
「オーストラリアなら時差とかあんまないです、よね?その、電話とかは時々してもいいですか?」
「何その可愛いお願い。当たり前じゃないか、俺だって電話したいよ。時間が合いそうなら毎日でもしよう?ね?」
毎日・・・毎日か・・・嬉しいっ
---お客様にお知らせいたします。シドニー行き×××便ご利用のお客様は搭乗口にお越しくださいませ。繰り返します・・・
「あ、もう時間だ。行かなくちゃ。」
「そうですよね・・・」
「・・・そんな顔しないで、連れて行きたくなっちゃうよ。」
「あっ、、すいません。」
「ううん、謝んなくていいんだよ。可愛いってことだから。」
「お、俺っ、もう30ですよっ、可愛かなんてないです・・・」
確かにΩらしい容姿ではあると思うけど、可愛いって言葉を使ってもらえるほどの歳じゃない・・・
「楓君、覚えといてよ。俺が可愛いって言うのは楓君にだけ、、あ、優たちもかな。でも、楓君への可愛いはただ可愛いじゃなくて好きだなって気持ちも含まれてるから。分かった?」
「っ///・・はい。」
「さ、本当にもう行かなくちゃ。名残惜しいけどね。」
「理玖さん、気をつけて。いってらっしゃい。」
「うん、行ってくるよ。」
俺を抱きしめていた腕にギュッと力が込められた。
「楓君、キスしてもいい?」
「えっ、、あ、その・・・えっと、は、はいっ!」
キス、キスって、、キス!?俺、したことあったっけ?柊さんとしたっけ?えっと、、
「楓君、愛してる。」
いっぱいいっぱい頭で考えてるうちにそんな言葉と共に理玖さんの顔が近づいてきて唇に唇が触れた。
愛してるなんて、初めて言われた。この瞬間が幸せすぎて自然と涙が流れた。
幸せな涙と、今この瞬間がこんなに幸せなのに理玖さんとは当分会えないのが寂しい涙と両方かもしれない。
「理玖さん、体に気をつけて。」
「うん、楓君も。また電話もメッセージも送るから。」
「はい・・・いってらっしゃい。」
「いってきます。」
---チュッ
最後に俺の頭にキスをして、手を振りながら去っていくその背中を見えなくなるまで見送り続けた。
理玖さんの飛行機が飛ぶまで空港を離れることもできずに屋上デッキで飛行機が飛んでいくのをいつまでも見続けていた。
さっきまでのことが現実じゃなかったのかもしれないなと思いながらもまだ熱い気がする唇と頭に意識が向く。
絶対に今顔が赤いな、なんて思いながら多分この空港内で1番ニヤニヤしながら歩いていた。
理玖さんと想いが通じ合ったっていうだけでさっきまでより世界が明るく感じる。それと同時にやはり寂しさは感じてしまう。
さ、帰ろう。
優に、話さなくちゃいけない。なんていうか分からないけど、理玖さんとのこと優にはちゃんと話さなくちゃいけないから。
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