伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ

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「優、今週末の土曜日出かけるからな~」

「ママ本当!?ママと2人?日和たちも一緒?」

布団に入ってかなりウトウトしていたのにバッと飛び起きてまたいつものキラキラした目で俺のことを見つめる優を布団にもう一度戻した。

おとなしく布団には入ってくれたけれど眠る気はないようで俺が隣に入るのを目で追って詳しく聞きたいと物語っている。

「俺と2人。ちょっと優と行きたいところがあるからさ。」

「行きたい!ママと出かける!嬉しい!」

そんなに喜んでくれるなんて本当に嬉しいな。話すなら夜と思ったけど、優は目がさえてしまったようで全然眠る気配がない。俺の方を見てはニコニコして顔を隠してっていうのを繰り返していた。そうはいってもまだ小学生、眠気は限界が来たようでいつの間にか優は寝息を立てていた。

今週末の優との旅行は温泉街に行こうと思っている。子どもっぽい場所ではないけれど、その場所で親子で出来る陶芸体験が出来るみたいなんだ。そこでは親子でおそろいのマグカップとお茶碗を作れるんだっていうのをテレビで特集されているのを見て、やってみたいって理玖さんに言ったら

「じゃあ優の誕生日に連れて行ってやりな。俺予約しておいてあげるから。その近くなら温泉街だからそのまま一緒に泊まっておいで。」

と予約までしてくれた。しかももうお金まで払ってしまったそうで・・・

「俺が払うのに!理玖さんは行かないのにお金だけ払うって何でですか!!!!!!」

理玖さんに相談したつもりだったのに、お金を払って欲しかったわけじゃないのに。

「俺からの優への誕生日プレゼントと、あとは俺のエゴ。もう一つは俺が旅館を決めて予約したかったから。その理由は旅館に行ったらもしかしたら分かるかもね。」

なんて言われてしまってもうなんとも言えなくなってしまった。

旅館の名前は教えてもらったけど当日の楽しみにしたいから俺はまだ調べていない。
あとは理玖さんが言っていたもう1つの理由っていうのが気になる・・・旅館に行ったら分かるって何なんだ?全く見当も予想もつかなくて、当日にも分かるのか疑問だが理玖さんがすごい意地悪そうに言ったからきっと俺には分からないような理由なんだろうなって思っている・・・


---ピロン

あ、理玖さんからだ。

---優、寝た?もし楓君が大丈夫なら10分だけ2人で話さない?

優を起こさないようにそっとでも急いでリビングまで行って通知が来た分数と同じ分数に俺は通話ボタンを押していた。

「ふふっ、早すぎ」

「だって・・・」

「ううん、嬉しい。楓君も俺と2人の時間が欲しかったって期待してもいい?」

それは俺の台詞。優と3人の時間ももちろん楽しいけれど、理玖さんと2人きりの時間も欲しいってわがままを心の中で思っている俺がいたから。

「うん。欲しかった・・・」

「俺、なんでそこにいないんだろうな。楓君の近くにいたらすぐに飛んでいって抱きしめたのに。」

だ、抱きしめるって・・・・///

そう言われるとあの日空港で俺を抱きしめた理玖さんの腕や手を思い出す。俺よりも大きくて手のひらに太いのにすらっとした指、同じ男なのにαとΩっていうだけでこんなに違うんだってすごくドキドキした覚えがある。

「理玖さん・・・そんなこと言わないでください。俺だって会いたいんだから。」

「楓君、本当に君はかわいいな。本当に俺が君の恋人になれたなんて信じられないくらい嬉しいね。」

声だけしか聞こえないのに、顔なんか見えていないのに理玖さんの嬉しそうに笑っている姿が目に浮かんでくる。きっと少し口角をあげて、優しいまなざしで俺のことを見つめながら目を細めるんだ。

そして俺はきっと今顔が真っ赤になって恥ずかしいって顔しているに違いない。

「お、俺も理玖さんと恋人になれたことすごく嬉しいです。」

「せっかく恋人ttおごめんねなんて言って近くに入れないことを一番悲しんでいるのは俺なんだけどね。」

「理玖さんに負けないくらい俺だって寂しいです。っあ・・」

仕事で仕方なくてごめんねって言ってる人にそんな風に言ったら責めてしまっているみたいじゃないか?告白するときに待ってるっていったのに・・

「寂しいって言ってくれる方が嬉しいよ。寂しいとか会いたいとかの気持ちを隠される方がつらい。直接会って話しができない分、お互いに本音はちゃんと言おう?俺もめちゃくちゃ寂しい。」

うん。寂しいって言ってくれるの嬉しく思う・・・。だって、俺に会いたいって事でしょ。俺と同じ気持ちなのすごい嬉しい。

「ちょっとでもいい。ほんのちょっとの気持ちで良いから教えて欲しい。俺もこんなに好きなのは初めてなんだ。間違ってしまうときもあるかもしれないし、寂しい思いさせたり何か嫌なことをしてしまうかもしれない。それを楓君が我慢するのは俺が望む俺と楓君の姿じゃない。お互い思ったことは何でも言おう。喧嘩もしよう。その度に仲直りしよう。」

すごく嬉しかった。俺は柊さんしか知らない。だから一方通行の関係しか知らないんだ。

求めるのは俺だけ。

柊さんからもらえるものは愛なんかじゃなくて一方的な命令だけ。全くもって平等なんかじゃなかったし俺はただの道具だった。

でも理玖さんは俺をΩとしてじゃなくて1人の人として関係を深く築こうとしてくれている。

「理玖さん・・大好き」

「ぇっ、、き、急に何、、」

「だって、ちょっとでも思ったことは言おうっていったでしょ?俺今理玖さんのことが好きでたまらないって思ったんですもん。」

この人が好きで好きでたまらないって心の底からそう思った。

「俺も、好きだよ。」

さっきの何倍も何十倍も顔が赤くなっているのを感じるし顔の体温が上がるのを感じる。

こんなのどうやって電話切れば良いんだよ・・

「また明日電話しようね。」

「はい。」

「じゃあ、おやすみ」

今夜もまた2人でおやすみなさいを交換した。

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