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同居
しおりを挟む下に行くと、みんな揃っていた。
「お前のせいで私の会社の評判にまで影響が来ている。罰としてお前は今日から外の物置で暮らせ。それから、使用人の仕事をしろ。特殊な仕事が回ってきたら、その時はお前に回してやる。ありがたく思えよ。」
特殊な仕事、、、。
父様の取引先のおじさんに抱かれるのか。もうそんなことも5年近く続けているから慣れた。
外の物置で暮らせと父様に蹴られて外に出された。
これから冬だってのに、外だなんて。
どうにかして暖を取る方法を見つけなければならない。だが、使用人の仕事もあるのか。
これまでは特殊な仕事以外は家にいるだけだったのに。息子として扱ってもらえないのにはなれたけれど、もう、まともな人としても扱ってもらえないのかもしれない。
「ここ、か。」
外の物置。ここはもう何年も使っていない。取り壊しされる寸前のボロ屋だ。中は使われなくなった道具がたくさん置いてある。
ビニールシートや使い古されたタオルがあるからこれでどうにか眠れるかな。
ニャー
ん?鳴き声、、?
鳴き声のする方に近づくとまだ小さい子猫が2匹いた。
「お前たち、どこから入ってきたんだい。見つかったら追い出されちゃうよ。」
子猫2匹の頭を撫でてあげると僕にすりすりしてきた。
「ふふ、お前たちはかわいいね。いい子だね。あとで何か食べれそうなものを持ってきてあげるからね。」
ニャー
かわいい。この子達がいれば寂しくないな。
僕はそっと小屋を出て近くへ買い物に行った。勝俣さんが持たせてくれていたお金が少しある。
いざという時のために無駄遣いはできないけれど、今日の夜ご飯とこの子達のミルクとご飯だけ買おう。
「ごめんな、こんなのしかあげれなくて。いっぱいお食べ?」
ミルクと餌をたくさん飲んで食べてくれる子猫たち。
首にハンカチを巻いてやる。
これで迷子になっても見つけられるな。
「お前たちに名前つけてあげなきゃいけないな。」
1匹は綺麗なグレーのサバトラ、もう1匹は茶トラ。どちらもオスみたいだ。
「お前が、トトでお前がココ!
ほらおいで、僕は明日早いからもう寝るよ。温めてあげるから一緒に寝よう。」
布団とは呼べないような簡易的な寝床につくと子猫たちも入ってきてくれた。
この子達が寒くないように。そう願って抱きしめて眠りにつくがなかなか寝付けない。
明日は5時に起きて、メイド長に仕事をもらわなくちゃいけないから。この自由な現代にこんなふうに生きなきゃいけないなんて。高校だって行きたかった。みんながやっている部活もやってみたかった。
恋愛だってしたかった。でも、僕には自由なんてないから。こんな汚い体で恋愛も何もないしな。
これでいい。今が最大級に幸せなんだって、そう思うしかない。
ニャーー
それにこの子達も、いる。
「ふふっ、おやすみ。いい夢を」
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