【完結】全てが嫌いな不憫Ωの少年が初恋相手のスパダリαに愛される?ふざけんなお前のことなんか大っ嫌いだ!

にゃーつ

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運命の番 れおんside

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彼と会ったのは仕事の打ち合わせ帰りのことだった。
ふわりと香った周以外の匂い。周じゃないとそう思うと同時にそれが残酷な現実を表す匂いだと言うことに気がついた。

匂いのした方向を見ると同じくらいの歳のΩらしき人物。
彼もこちらに気付いたようだったが無視して車に乗り込んだ。

周が夢を見つけたからこそ俺は常に抑制剤を服用している。急に発情期が始まっても獣のように襲わないように、周を傷つけないようにするために飲んでいる抑制剤。それが役に立った。

向こうも抑制剤を服用していたんだろう。お互い抑制剤なしだと彼は発情し、俺はラットとなっていたかもしれないから。

周に伝えるべきか迷った。だが、今はまだ学校に慣れ始めたばかりだし、初めてのテストや日々の小テストに向けて頑張っている周にこれ以上負担をかけたくなかった。だから伝えなかったがこれは完全に俺のエゴだ。周に嫌われたくなくて言わなかったんだ。

彼にもう会うこともないから大丈夫。そう自分に言い聞かせて車の外を眺めながら心を落ち着けた。

しかしその後彼は自分から何度か会いに来た。

「あなたも分かってるんですよね!!僕、青井翔って言います!!あなたのことたくさん知りたい!!」

「俺には番がいる。大切な人がいるんだ。諦めてくれ。」

来るたびにそう言ったのに聞こえてないかのように会話を続ける彼に嫌気がさして毎回無理やりタクシーを呼んで帰らせた。




彼と初めて会ってから今日までのことを周に話して、周の反応を伺う。

「運命の、番って、なんなの、僕、あんまりわかんなくて、でも、運命の番は、本能に、抗えないっていうのはわかってて、その、」

「うん。ちゃんと説明する。」

運命の番、そんなお伽話みたいなもの存在するわけがないと思っている人もいるが実際には存在する。

運命の番同士は出会った瞬間にわかる。

その事実は変わらない。

だが、お互い強く惹かれ合い、Ωは発情しαはラット状態となるというようなことはひと昔前の話で今は医療の進歩によって有効な抑制剤があるため運命の番であっても出会ってすぐ発情することも防ぐことが可能だ。

そもそも、運命の番は本能的に相性がいいというものでただそれだけで番となって気持ちが追いつかなかった者や運命の番が現れたせいで番解除となり苦しむ者もいた。

運命の番は、絶対じゃない。

それだけは周に知っていて欲しかった。


「れ、れおんは、翔くんのこと、、その、、」

「好きじゃない。俺が好きなのは周だよ。周だけ。」

「でも、その、僕、、」

「周聞いて、俺だって怖いんだ。俺にも現れた運命の番は明日周にも現れるかもしれない。そうなった時に自分が何をするかわからない。相手を殺してしまうかもしれない。周にひどいことしてしまうかもしれない。怖いんだよ。」



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