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過去の話
しおりを挟む部屋に入り鍵を閉めた。
他人には聞かれたく無い話だったから。
この部屋は特待生特典の一つ。自習部屋という名目だが、この部屋の奥には2つ扉があり、特待生2人それぞれにベッドやテレビ、ソファのある部屋がある。
この部屋はつい最近できたものだ。泰生さんが1学期の事件のお詫びと称して僕たちにプレゼントしてくれたみたい。2人ともΩだし逃げ込めるところは必要だという判断みたいだ。
「あのね、僕に関する噂とかは聞いたことあると思う。その、おじさんと寝てた、、とか。それに関しては事実で、その、でも、理由があって、っ、、」
「周、大丈夫。僕たちは周のこと嫌いになんてぜーったいならない。話すのしんどかったら無理しないでいいんだよ?」
「大丈夫。話、聞いてくれる?うまく話せないかもしれないけれど。」
そう言うと2人は優しく微笑んで、頷いた。
僕は全てを話した。れおんとの出会い、母が死んでからの家庭の変化、生活の変化、身売りを強制されていたこと、結婚させられていたこと、れおんとの再会、剛さんに痛めつけられたこと、れおんに助けられたこと。
途中思い出して何度か涙を流してしまったけれど、なんとか最後まで話すことができた。
「これが、僕の、過去。」
そう言い終えると同時にハルヒが抱きついてきた。
「ありがとう、っ、、無事に生きて、僕と出会ってくれてありがとう。頑張って生きててくれてありがと。」
そう言ってくれた途端涙が溢れて止まらなかった。ハルヒの言葉はとても暖かかった。
「増田、俺らに話してくれてありがとうな。よく頑張ったな。お前は強いな。」
神谷くんもそう言ってくれて、2人に話して良かったと思った。
「夜うなされるって言ってたのは昔のことを思い出して?」
「うん。あと、ホテルは昔のこと思い出してしまって少し苦手。れおんは気づいててこの間の旅行の時は日本のホテルとは違うリゾートっぽい感じのところにしてくれたけど、今回はそうはいかないだろうし。」
そこが1番不安なんだ。同室になるハルヒに迷惑かけちゃう可能性があるし、長い期間れおんと離れることになっちゃうから僕自身とれおんどちらも心配になる。
「れおんも、まだ傷は癒えきってないから1人だと不安になってそうだし。」
「難しいよね~、修学旅行だし。」
まあ夜電話とかして対策するのが1番だよな。修学旅行先のシンガポールは時差もそんなに時差もないし、電話したいってれおんに言おう。
その後、たわいもない話をしていると授業終了のチャイムが聞こえ、3人で教室へ戻った。
家に帰り、れおんに電話のことを伝えたら
「あー、その、修学旅行中ね、、その、、俺もシンガポール行く、んだよね。」
と爆弾発言をされた。
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