173 / 189
8
嘘
しおりを挟むあれから4日。
僕はれおんに言えずにいる。
体調は回復してないし、気持ち悪さは増してる。病院にも行かなきゃいけない。
調べれば調べるほど不安なことが増えてきて、僕がちゃんと産めるのかとかちゃんと親になれるのかとか、れおんは今のタイミングで子供を授かったことどう思うのかとか、そんなことばっかり考えて、れおんが喜ばなかったらどうしようと考えてしまっている。
学校のこともだ。卒業は問題ないとして、来週には願書出さなきゃいけないし。でも僕は、進学したいと今は思っていない。
この子を全力で育てて、家でれおんを支えていきたいって思ってる。獣医になりたいという夢がなくなったわけではないが、もっと叶えたい夢ができたから。家族ってものにずっと憧れていたから。
れおんからも体調治ってからでいいから進路話そうねと言ってくれてて、余計になんて言えばいいのか。
今日こそは、言おう。
---ガチャ
あ、帰ってきた。
「おかえり、、、。」
「ただいま、、。体調は、どう?」
れおんも僕が何か隠して大丈夫と嘘をついていることに気づいている。それでも無理やり聞き出そうとはしない。
だからこそ、ちゃんと僕の口から言わなくちゃ。
「れおん、話がある。ご飯の前に、いい?」
「・・・うん。」
なかなか話し出せない僕をいつまでも待っててくれる。
話せ、話すんだ。大丈夫だ、れおんなら大丈夫。
「・・・周、別れ話なら聞かないから。」
れおんはそう一言だけ言った。
え?別れ話?
そうか、そうだよ、、、
よそよそしい態度、気まづくて顔も見れなくて、極め付けは大事な話。
以外とネガティブなれおんは嫌な想像してしまうよ。
「違うよ!!そんなんじゃない!ちょっと待ってて!」
普段は使わない自室に入った。この部屋の机の引き出しに予備の妊娠検査薬をしまったんだ。
それを持ってトイレに行く。最初に陽性の出た検査薬を取っておいたんだけど、時間が経ったら線が消えてしまっていた。
陽性が出たのを確認して、れおんの元へ向かう。不安な顔をしながら椅子から動いていなかったれおんの目の前に検査薬を置いた。
「・・・・!?」
机に置かれたものに驚いた直後、動かなくなったので不安になって顔を覗き込むとポタポタと大粒の涙を流すれおんがいた。
「っ、、、ぅ、、」
「れおん?」
そばに近寄るとグッと抱き寄せられた。れおんは僕のお腹を優しく撫でると、
「ありがとぅ、、、っ、うれ、しぃ、、」
「ぅん、っっ、」
僕も涙を流しながられおんの頭をギュッと抱きしめた。
75
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる