上手な異世界での逃げ方~勇者の私は普通に生活するんで皆さん頑張ってください~

亜久里遊馬

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第4話:領主から逃げますか?

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 マルス村。そこは、麦を主な生産物としてなりたっているという。麦は上質。パンを焼いたら貴族も絶賛。

 と、ドラゴンのガッツに聞いていたのだけど、想像していたのとは様子がずいぶん違っていた。
 村人たちの目は濁っていて、さながらゾンビのように徘徊している。少しきれいな身なりの人間に罵倒されて、やっと農作業に戻っていく。


「(ちょっと、聞いていたのと随分違うわよ)」

「(でもご主人。国王が来ないってのは、本当です。俺、ガッツの名にかけて、嘘偽りなく)」

「(しょうがないわね。詳しく聞かなかった私も悪かったわ。とりあえず宿を探しましょう)」


 こちらをジロジロと見ている人を避けて、私は宿屋らしきところを探した。いや、探したというほど歩き回ってない。村の入口にポツンとたっていた建物が宿屋だった。


「すみませーん。今日泊まりたいんですけどー」

「すみませーん。聞いてますかー?」


 受付に誰もいないどころか、物音もしない。泊まっている人いないのかな?

 ふいに、下からにょっと青白い顔をしたお婆さんが現れた。

 青白いお婆さん1人。HP15。特殊攻撃、甘い入れ歯。
 さあ、戦闘開始!!

 それぐらい気配がなくて、人間とは思えない顔だったのだから、しょうがないよ。


「(ご主人、本当にここ泊まるんっすか? 別のとこ探しましょうよ)」

 荷物袋からガッツの声が聞こえてくる。私だって、願いがかなうのなら、こんなとこにいたくない。ドラキエのような素朴だけどふんわりとした部屋。木の香りがするベッド……。


「あんたら、旅のひとかい?」

「え、ええ。そうですけど」


 人間語を喋った! 良かった。本当に。


「悪いことは言わないから、早くここを出て城下町へいったらいい。ここにいたら、いずれあんたも腐っちまうよう」


 私はその城下町から逃げてきたんですけど!

 でも……確かに村の人達は腐臭でも放っていそうな様相だった。まさか……何かのガスで物理的に腐っていくの……!? 勇者の身体って、ガスマスクとかいらないのかな?


「大きな声じゃ言えんが、領主はな。悪魔じゃ。」

「悪魔!?」

「そう、いつからだったか。ここの領主が代わった途端に、村の連中はあの様じゃ。どんな魔法を使ったのかしらんがの」

「お婆さんは大丈夫なんです?」

「まあ、わしも少しやられたわい。でも幸いなことに、農作業に関わってなかったから、影響が少なかったんじゃろうな。麦を作るヤツラは今や奴隷じゃ」


 逃げたい……とても逃げたい。絶対面倒な状況だ。でも、ここは私の安住の地になるかもしれない場所。


「領主の家、教えてください」


 私は領主からは逃げない!
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