4 / 25
第4話:領主から逃げますか?
しおりを挟む
マルス村。そこは、麦を主な生産物としてなりたっているという。麦は上質。パンを焼いたら貴族も絶賛。
と、ドラゴンのガッツに聞いていたのだけど、想像していたのとは様子がずいぶん違っていた。
村人たちの目は濁っていて、さながらゾンビのように徘徊している。少しきれいな身なりの人間に罵倒されて、やっと農作業に戻っていく。
「(ちょっと、聞いていたのと随分違うわよ)」
「(でもご主人。国王が来ないってのは、本当です。俺、ガッツの名にかけて、嘘偽りなく)」
「(しょうがないわね。詳しく聞かなかった私も悪かったわ。とりあえず宿を探しましょう)」
こちらをジロジロと見ている人を避けて、私は宿屋らしきところを探した。いや、探したというほど歩き回ってない。村の入口にポツンとたっていた建物が宿屋だった。
「すみませーん。今日泊まりたいんですけどー」
「すみませーん。聞いてますかー?」
受付に誰もいないどころか、物音もしない。泊まっている人いないのかな?
ふいに、下からにょっと青白い顔をしたお婆さんが現れた。
青白いお婆さん1人。HP15。特殊攻撃、甘い入れ歯。
さあ、戦闘開始!!
それぐらい気配がなくて、人間とは思えない顔だったのだから、しょうがないよ。
「(ご主人、本当にここ泊まるんっすか? 別のとこ探しましょうよ)」
荷物袋からガッツの声が聞こえてくる。私だって、願いがかなうのなら、こんなとこにいたくない。ドラキエのような素朴だけどふんわりとした部屋。木の香りがするベッド……。
「あんたら、旅のひとかい?」
「え、ええ。そうですけど」
人間語を喋った! 良かった。本当に。
「悪いことは言わないから、早くここを出て城下町へいったらいい。ここにいたら、いずれあんたも腐っちまうよう」
私はその城下町から逃げてきたんですけど!
でも……確かに村の人達は腐臭でも放っていそうな様相だった。まさか……何かのガスで物理的に腐っていくの……!? 勇者の身体って、ガスマスクとかいらないのかな?
「大きな声じゃ言えんが、領主はな。悪魔じゃ。」
「悪魔!?」
「そう、いつからだったか。ここの領主が代わった途端に、村の連中はあの様じゃ。どんな魔法を使ったのかしらんがの」
「お婆さんは大丈夫なんです?」
「まあ、わしも少しやられたわい。でも幸いなことに、農作業に関わってなかったから、影響が少なかったんじゃろうな。麦を作るヤツラは今や奴隷じゃ」
逃げたい……とても逃げたい。絶対面倒な状況だ。でも、ここは私の安住の地になるかもしれない場所。
「領主の家、教えてください」
私は領主からは逃げない!
と、ドラゴンのガッツに聞いていたのだけど、想像していたのとは様子がずいぶん違っていた。
村人たちの目は濁っていて、さながらゾンビのように徘徊している。少しきれいな身なりの人間に罵倒されて、やっと農作業に戻っていく。
「(ちょっと、聞いていたのと随分違うわよ)」
「(でもご主人。国王が来ないってのは、本当です。俺、ガッツの名にかけて、嘘偽りなく)」
「(しょうがないわね。詳しく聞かなかった私も悪かったわ。とりあえず宿を探しましょう)」
こちらをジロジロと見ている人を避けて、私は宿屋らしきところを探した。いや、探したというほど歩き回ってない。村の入口にポツンとたっていた建物が宿屋だった。
「すみませーん。今日泊まりたいんですけどー」
「すみませーん。聞いてますかー?」
受付に誰もいないどころか、物音もしない。泊まっている人いないのかな?
ふいに、下からにょっと青白い顔をしたお婆さんが現れた。
青白いお婆さん1人。HP15。特殊攻撃、甘い入れ歯。
さあ、戦闘開始!!
それぐらい気配がなくて、人間とは思えない顔だったのだから、しょうがないよ。
「(ご主人、本当にここ泊まるんっすか? 別のとこ探しましょうよ)」
荷物袋からガッツの声が聞こえてくる。私だって、願いがかなうのなら、こんなとこにいたくない。ドラキエのような素朴だけどふんわりとした部屋。木の香りがするベッド……。
「あんたら、旅のひとかい?」
「え、ええ。そうですけど」
人間語を喋った! 良かった。本当に。
「悪いことは言わないから、早くここを出て城下町へいったらいい。ここにいたら、いずれあんたも腐っちまうよう」
私はその城下町から逃げてきたんですけど!
でも……確かに村の人達は腐臭でも放っていそうな様相だった。まさか……何かのガスで物理的に腐っていくの……!? 勇者の身体って、ガスマスクとかいらないのかな?
「大きな声じゃ言えんが、領主はな。悪魔じゃ。」
「悪魔!?」
「そう、いつからだったか。ここの領主が代わった途端に、村の連中はあの様じゃ。どんな魔法を使ったのかしらんがの」
「お婆さんは大丈夫なんです?」
「まあ、わしも少しやられたわい。でも幸いなことに、農作業に関わってなかったから、影響が少なかったんじゃろうな。麦を作るヤツラは今や奴隷じゃ」
逃げたい……とても逃げたい。絶対面倒な状況だ。でも、ここは私の安住の地になるかもしれない場所。
「領主の家、教えてください」
私は領主からは逃げない!
0
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転生!? だけどお気楽に暮らします。
辰巳 蓮
ファンタジー
「転生して好きに暮らしてください。ただ、不便なところをちょっとだけ、改善していってください」
とゆうことで、多少の便宜を図ってもらった「ナッキート」が転生したのは、剣と魔法の世界でした。
すいません。年表書いてたら分かりにくいところがあったので、ちょっと加えたところがあります。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める
月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」
あらすじ
ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。
目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。
「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」
渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。
ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!?
「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」
ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す!
……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!?
元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える!
異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる