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1章:俺は魔王見習いのようです
第2話:本物の魔王に会う
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「うむ、大事なくてよかったぞ」
俺は魔王と向かい合っていた。
この世界に元々いた魔王だ。
さすがに威厳がある。
俺ベッドにいるけど失礼かな、これ。
そんなことを考える。
姿形は人間のそれに近いもので肌は深い紫色の肌。
人間の大人とはふた回りほど違う長身。
もちろん、筋骨隆々だ。
それほど大きくないこの部屋では、天井に頭をぶつけてしまう。
そのため、入った時からずっとあぐらをかいていた。
頭からは当然と言わんばかりに2本の白い角が天に向かって生えている。
顔は何故か仮面でよくわからない。
あと……間違いなくオーラが身体から発せられている。
「痛むところはないか? お前を運ぶ途中にかなり飛ばしてしまったものでな。骨が折れているかもしれぬ」
魔王のはずなのに、ジェスチャーを交えながら気さくに話しかけてくる。
「いえ……特には。少しだるいだけですね」
「それはけっこうなことであるな。人間もモンスターも、皆丈夫に越したことはない」
「はあ」
女の子はかしこまって、膝をついている。
タコ足なので、膝がどこかはわからないけど、頭は下げている。
「ぬ、こやつが気になるのか。確かに起きるまで任せていたからな。名はラン、種族はスキュラだ」
「スキュラ……ですか?」
「人間ならば知らぬだろうな。俺の部下でもスキュラに属するのものはランのみだ。今は足がクラーケンのようになっているが、昔は妖精の中でも絶世の美女だったと聞く。俺は妖精よりも今のままでよいと思うのだが……お前はどうだ?」
「そうですね。今のランさんはキレイだと思います」
これは、心のそこから出てきた本音だ。
ランが先ほどよりも顔を赤らめている。今にも火が出てきそうだ。
肌が青いせいで、余計に目立って見える。
でも……俺は何故、魔王と恋バナのような話をしているんだろう?
まあ、仮に俺が魔王じゃなかったとして、異世界に本物の魔王がいたとする。
でも、魔王のこの態度はどうなんだ!?
威厳はあるんだけど、どこかおかしい。
魔王なのに、時々清々しい笑顔になるのはやめてくれ!
「お前からは魔力の臭いがするから、本来ならば客人対応したいところではある。しかし、今は人手が足らぬ。どうだ、お前も何かしてはみぬか?」
「だ、だめですよー! 魔王様!! まだ病人なんですから。寝かせてあげてください!!」
ナイスフォロー!
ランは魔王を敬ってはいるけど、言うときは言う娘だ。
俺は最初からわかってたぞ!
「そ、そうであるか。すまなかったな。……うむ、時にお前の名は何というのだ? 俺は最近人間の名も覚えるようにしていてな」
「お、おれはリュウジと言います」
「ほほう。竜の名を冠するとは、なかなかに大胆な名であるな。少し……興味がわいてきたぞ。リュウジとやら、やはり何か――」
「魔王様!!」
「す、すまぬ」
何だろうなあ、これ。
魔王が入ってきた時の緊張感が今はみじんもなくなっている。
喋り方も威厳はあるし、部下からは慕われているようだけど、俺の思ってた魔王と違う。
そうだ、これはまだ夢なんだな。
……きっと疲れてるんだ。
タコ足とか魔王は幻覚。
一晩寝て起きれば、そこら辺の普通の家で村の娘に起こされるだろう。
そこからが本番となる。
俺は魔王に転生したんだから、それなりの活躍はしなくちゃいけない。
というよりも、魔王になって富と権力とハーレムを手に入れたい。
勇者では、できない事だ。
それだけに部下は大切だ。
うまいこと最初のモンスターを部下として、あとは雪だるま式に部下を増やす。
その頃にはチートスキル満載で立派な魔王軍ができあがるだろう。
森の中に置いてかれた時はさすがにどうしようかと思ったけど、元々俺はなんでも楽しむ性格だ。
魔王の生活だって楽しんでやる。
さて、残りの難しいことは明日考えるか。
俺はランと呼ばれていた少女にお礼を言い、そのまま眠りについた。
俺は魔王と向かい合っていた。
この世界に元々いた魔王だ。
さすがに威厳がある。
俺ベッドにいるけど失礼かな、これ。
そんなことを考える。
姿形は人間のそれに近いもので肌は深い紫色の肌。
人間の大人とはふた回りほど違う長身。
もちろん、筋骨隆々だ。
それほど大きくないこの部屋では、天井に頭をぶつけてしまう。
そのため、入った時からずっとあぐらをかいていた。
頭からは当然と言わんばかりに2本の白い角が天に向かって生えている。
顔は何故か仮面でよくわからない。
あと……間違いなくオーラが身体から発せられている。
「痛むところはないか? お前を運ぶ途中にかなり飛ばしてしまったものでな。骨が折れているかもしれぬ」
魔王のはずなのに、ジェスチャーを交えながら気さくに話しかけてくる。
「いえ……特には。少しだるいだけですね」
「それはけっこうなことであるな。人間もモンスターも、皆丈夫に越したことはない」
「はあ」
女の子はかしこまって、膝をついている。
タコ足なので、膝がどこかはわからないけど、頭は下げている。
「ぬ、こやつが気になるのか。確かに起きるまで任せていたからな。名はラン、種族はスキュラだ」
「スキュラ……ですか?」
「人間ならば知らぬだろうな。俺の部下でもスキュラに属するのものはランのみだ。今は足がクラーケンのようになっているが、昔は妖精の中でも絶世の美女だったと聞く。俺は妖精よりも今のままでよいと思うのだが……お前はどうだ?」
「そうですね。今のランさんはキレイだと思います」
これは、心のそこから出てきた本音だ。
ランが先ほどよりも顔を赤らめている。今にも火が出てきそうだ。
肌が青いせいで、余計に目立って見える。
でも……俺は何故、魔王と恋バナのような話をしているんだろう?
まあ、仮に俺が魔王じゃなかったとして、異世界に本物の魔王がいたとする。
でも、魔王のこの態度はどうなんだ!?
威厳はあるんだけど、どこかおかしい。
魔王なのに、時々清々しい笑顔になるのはやめてくれ!
「お前からは魔力の臭いがするから、本来ならば客人対応したいところではある。しかし、今は人手が足らぬ。どうだ、お前も何かしてはみぬか?」
「だ、だめですよー! 魔王様!! まだ病人なんですから。寝かせてあげてください!!」
ナイスフォロー!
ランは魔王を敬ってはいるけど、言うときは言う娘だ。
俺は最初からわかってたぞ!
「そ、そうであるか。すまなかったな。……うむ、時にお前の名は何というのだ? 俺は最近人間の名も覚えるようにしていてな」
「お、おれはリュウジと言います」
「ほほう。竜の名を冠するとは、なかなかに大胆な名であるな。少し……興味がわいてきたぞ。リュウジとやら、やはり何か――」
「魔王様!!」
「す、すまぬ」
何だろうなあ、これ。
魔王が入ってきた時の緊張感が今はみじんもなくなっている。
喋り方も威厳はあるし、部下からは慕われているようだけど、俺の思ってた魔王と違う。
そうだ、これはまだ夢なんだな。
……きっと疲れてるんだ。
タコ足とか魔王は幻覚。
一晩寝て起きれば、そこら辺の普通の家で村の娘に起こされるだろう。
そこからが本番となる。
俺は魔王に転生したんだから、それなりの活躍はしなくちゃいけない。
というよりも、魔王になって富と権力とハーレムを手に入れたい。
勇者では、できない事だ。
それだけに部下は大切だ。
うまいこと最初のモンスターを部下として、あとは雪だるま式に部下を増やす。
その頃にはチートスキル満載で立派な魔王軍ができあがるだろう。
森の中に置いてかれた時はさすがにどうしようかと思ったけど、元々俺はなんでも楽しむ性格だ。
魔王の生活だって楽しんでやる。
さて、残りの難しいことは明日考えるか。
俺はランと呼ばれていた少女にお礼を言い、そのまま眠りについた。
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