魔王見習いは、最強魔王を超えるか

亜久里遊馬

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1章:俺は魔王見習いのようです

第12話:2つ目のチートスキルも馬鹿だった

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「せ、拙者?」

「何か、ご不満が?」

 どこの武士だ! とツッコミは入れない。
 俺は色々ツッコミ過ぎて疲れている。
 それに、言葉程度ならば何も問題ない。
 
 耳を垂らして、こちらを見ている。
 動物の場合、耳が垂れていると警戒心がなかったんだっけ?

「ああ、もちろんだ。俺はちょっと店を離れなくちゃいけないんだ。でもお客さんがつめかけてる。だから、その間は君が部下として店番していてくれ」

 さりげなく「部下」という言葉を入れる。

「……しょしょ……承知いたしました!」

「よし! じゃあ、作り方だ!!」

 少女は意外と器用で、すぐに折り方を覚えた。
 他にも教えてやりたいが、今は時間がおしい。

「うん、大丈夫だろう。君に任せる。あ、そう言えば君の名前は何ていうんだ?」

「ナビと申します。どうか末永く」

 ナビはぼんぼんみたいな尻尾をふって、俺を見る。
 12,3歳だろうか?
 まだ子供だと思うが、5年後が楽しみだ。
 ――いや待て、ランが1,000歳近かったんだ。
 この子、もしかして俺より年上だったりしないか?

 ……と考えると、もう少々肉体的に成長してくれると嬉しい。
 俺のストライクゾーンは少し高めに設定されている。
 できれば……こう、ね。わかるよね。

「拙者……」

 ふらちな事を考えていたせいか、少女の視線が胸に突き刺さっている気がする。
 だが、様子を見ていると、別に俺の煩悩に大して不安げに思っているわけでもなさそうだ。
 んー、何か忘れてるか?

「あ、バイト代ね。帰ったら渡すから」

「い、いえそうではないのです。貴殿の名をお伺いしたいのですが……」

 何だろう、この雰囲気。
 非常にくすぐったい。

「俺は、リュウジと言う。まあ、何でも屋ってとこだよ」

「リュ、リュウジ殿……。よろしくお頼み申します!」

 大丈夫だろうか? この子。
 武士語にプラスして、動きがロボットみたいだぞ。
 ただ、俺はとりあえずの部下を得たことにホッとしていた。

 露店を見てみると、既に店じまいを始めているところもある。
 俺がござを買った店は完売したようで、おっちゃんがホクホクとした笑顔で片付けている。
 ごさってすげーな。
 今度俺も日本のござの見た目を真似して売ってみるか。

 おっと、そんな事考えている場合じゃないか。

 「それじゃ、後は頼んだ!!」

 「どうぞ、ご武運を!」

 戦に行くわけじゃないんだけどな。
 ただ、これから覚える『スキル』は戦に使える可能性はあるか。

 走りながらスキル表を見ると、文字が輝いている。
 いいぞ! ひと気の無いところまで走って使用だ!!

 俺はさっきの子供の遊び場まで走ると、もう一度紙を見た。
 こんにゃくはやめてくれ、こんにゃくはやめてくれ……。

 ……よし! カタカナだ!!
 こんにゃく系ではないとこ、クリア。

 肝心のスキルは……。


 スキル名:ハッピー
 説明:少しハイテンションになる。使いすぎると中毒症状が出るので注意。

 ……。
 
 
 ああああああああああ!!


 ハイテンションになって何やれっていうんだ!
 そんなの徹夜明けで自然になるわ!!

 しかも中毒症状とか、バッドステータス付きかよ。
 これで勇者の頼み事をどう解決しろっていうんだ!!

 何か?
 勇者にハッピーになってもらって、頼み事を忘れてもらうのか?
 ないだろー、それは。

 敵に撃ったらテンションあがって強くなるし、味方に撃ったらバーサーカー状態になる可能性だってある。
 俺だけかもしれないけど、徹夜明けのテンションって何でもできちゃう気がするんだよね。

 言って見れば、誰も得しない微妙な○薬というところか。
 制御できない精神系スキルほどやっかいなものはない。

 そして、チートスキルじゃないの? って聞かれると完全に否定出来ないところがムカつく。
 『こんにゃく』だって『ハッピー』だって、一応チートスキルの中に入るよ?
 でも、チートスキルがすべて便利だなんて言うのは幻想だってことだ。
 基本魔法より使えねーよ!

 俺は、スキルに散々文句を言っていた。
 
 だから、部下情報が1/50になっていること。
 その1が光っていることにも、その時は気が付かなかった。
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