17 / 17
1章:俺は魔王見習いのようです
第16話:仕事仲間と部下とストーカーがついてくる
しおりを挟む
ナビは片膝をつき、神妙な顔をしていた。
「な、何をしてるんだ!!」
「拙者、殿の部下になりました故。できるだけ長くお側に……」
彼女の赤い目が、俺を見上げていた。
甘やかしてしまいそうになる顔だ。
だが……俺は英国もびっくりの紳士だ! と、自分に言い聞かせる。
「うん、部下ということにはなったけどね。女の子が朝、男の部屋に来るのはどうかと思うんだ」
イイね! 俺めっちゃ紳士!!
「では……あの女は、なんでございましょう?」
草食動物とは思えない厳しい目でベッドを見る。
勇者が鎧も脱いで生まれたままの姿で欠伸をしていた。
……やっべー!!
こいつが俺のベッドを占有してるの忘れてた。
どうみても怪しいよな。
事後って感じだよな。
「これはな……色々と深い理由があって」
「ふぁー、リュウジ水頂戴、水。なんか頭痛くて。あと服あったかな?」
喋るなあ!!
俺が『ハッピー』唱えたのは悪かったよ?
でもお前が部下のこと馬鹿にしたのと、俺を本当の意味で死ぬほど抱きしめたからだぞ。
マジでスキル『こんにゃく』使えなかったら死んでたぞ。
あれは抱擁ではなくて、さば折りと言うんだ。
「と、殿……」
薄っすらとした眉毛がプルプルと震えている。
どうしよう。
今、俺はただ1人の部下を失おうとしている。
「リュウジさんー! そろそろご飯食べに行きません? 最近忙しくてなかなか顔も見られなかったので」
ランか!!
これは……どうなる?
うまく事を治めてくれるか?
「入りますよー……」
ランの顔に青筋がたっている。
青色の肌でも、青筋なんだな、と俺の思考は現実逃避しかけていた。
「こ、こ、これは……どういうことですかね」
そう思うよな。普通。
俺の部屋は1人用。
机、椅子、ベッドでほぼ埋まり、あとは趣味のものを少し置ける程度だ。
そこに2人の女の子がいる。
一方はベッドで肌をさらして、もう一方はまだ子供なのに俺にかしずいている。
彼女の目が不潔なものを見るようになっているのが、手に取るようにわかる。
うんうん、もういいよ。
諦めるよ。
「……事情は、今は聞きません。さあ、朝食をとって仕事へ行きましょう!」
俺の手を強引にとり、若干触手をからませながら、外へ出ようとするラン。
テントのあちらこちらに頭をぶつけながらも、なんとか脱出できた。
むう、とりあえず助かったと言えなくもない。
「殿、朝は何になされるのですか?」
「僕は軽いのでいいや。まだ、頭がぐるぐる回ってるし」
――なんでお前たちもついてきてるの!?
あの部屋のやばい空気わかってるでしょ?
まずは解散して、あとで合流すればいいじゃない!
「あー、えーと。俺、ご飯食べて仕事行くからまたな」
歩幅が足りないせいでパタパタと後ろから追いかけてきたナビが言う。
「拙者は殿の部下ですので。生活全般お供いたします!」
「僕は、一応リュウジに頼み事をしているからね。本当にできているのか、よく見ておかないと。しばらく見ないと大変だもんね。昨日だって……」
何を喋りだすかわからないキラクの足を踏む。
2人とも駄目だが、彼女は特にまずいな。
まだ『ハッピー』の後遺症が残っているようで、やたらと身体をくっつけてくる。
ランが触手を内側に巻き込みながら、無理やり微笑んでいる。
……その日の朝食は、食べ物の味が一切しなかった。
「さあて、仕事仕事!」
陽の光が気持ちいい。
腹もとりあえず膨れた。
噂のことは様子見だから、今日は少し建設現場に向かってみよう。
魔王がテーマーパークを作るということで、城の建設とともにアトラクションの建設も少しずつ進めているようだった。
俺にとってはアトラクションがわかりやすい。
渡された資料の一部を見てみる。
資料は大雑把で、どんなアトラクションを作るかよくわからない。
そもそも作るものが決まっていないのかもしれない。
まずは、ケンタウロスたちが悩んでいた場所に行ってみるか。
――あとは、この問題はどうしようか?
「……何故、3人共ついてきてるんだ? ランは別の仕事があるだろ? キラクだってメイドとして一人前にならなきゃ駄目じゃないか。ナビは集合は午後3時だっただろ? まだ学校がある」
誰も返事をしてくれない。
あれー? 俺なにか間違ったこと言ってるか?
女の子たちと遊びたい欲求は、俺にも当然ある。
ありすぎるぐらいだ。
だが、それは仕事後のこと。
キラクの手伝いをしていたこともあって、仕事の進行は遅れている。
そろそろ何かしらの成果を出さないと、魔王に半殺しにされるだろう。
俺はとりあえず、3人より先に現場へとつくために早足になった。
皆、ついてくる。
足音は一人ひとり違うが、すぐ背後にいるのがわかる。
仕方ない、走るか!!
平均的な男子高校生のスピードだ。
まずは、触手持ちのランを置いていく!
俺より速えーー。
いやいや、まだだ。
『スキル使用 こんにゃく』と呟き、少し透明なこんにゃくをナビの前に出現させる。
これで、1人……飛び越えただとお!!
ナビは、後ろ足をバネにしてきれいな跳躍をみせた。さすが兎。
こうなったら、一番厄介なキラクだけでも何とかしよう。
以前戦った時は、『こんにゃく』の壁を破れなかった。
つまり、だ。
彼女を『こんにゃく』で取り囲む!
……拳の一撃で破壊された。
こんにゃくの欠片が無念そうに散っていく。
やっぱり手を抜いてたのか、あの時!
じゃあ、服の中に……。いや駄目だ。
『ハッピー』と『こんにゃく』のコンボは、ある意味危険だ。
ここで昨晩のような状態になられたら、弁明できない。
結局男1人と、仕事仲間1人、部下(見習い)1人、少しストーカーっぽいのが1人。
4人一緒に、アトラクションの建設場に来てしまった。
この状況で集中できるのか!?
「な、何をしてるんだ!!」
「拙者、殿の部下になりました故。できるだけ長くお側に……」
彼女の赤い目が、俺を見上げていた。
甘やかしてしまいそうになる顔だ。
だが……俺は英国もびっくりの紳士だ! と、自分に言い聞かせる。
「うん、部下ということにはなったけどね。女の子が朝、男の部屋に来るのはどうかと思うんだ」
イイね! 俺めっちゃ紳士!!
「では……あの女は、なんでございましょう?」
草食動物とは思えない厳しい目でベッドを見る。
勇者が鎧も脱いで生まれたままの姿で欠伸をしていた。
……やっべー!!
こいつが俺のベッドを占有してるの忘れてた。
どうみても怪しいよな。
事後って感じだよな。
「これはな……色々と深い理由があって」
「ふぁー、リュウジ水頂戴、水。なんか頭痛くて。あと服あったかな?」
喋るなあ!!
俺が『ハッピー』唱えたのは悪かったよ?
でもお前が部下のこと馬鹿にしたのと、俺を本当の意味で死ぬほど抱きしめたからだぞ。
マジでスキル『こんにゃく』使えなかったら死んでたぞ。
あれは抱擁ではなくて、さば折りと言うんだ。
「と、殿……」
薄っすらとした眉毛がプルプルと震えている。
どうしよう。
今、俺はただ1人の部下を失おうとしている。
「リュウジさんー! そろそろご飯食べに行きません? 最近忙しくてなかなか顔も見られなかったので」
ランか!!
これは……どうなる?
うまく事を治めてくれるか?
「入りますよー……」
ランの顔に青筋がたっている。
青色の肌でも、青筋なんだな、と俺の思考は現実逃避しかけていた。
「こ、こ、これは……どういうことですかね」
そう思うよな。普通。
俺の部屋は1人用。
机、椅子、ベッドでほぼ埋まり、あとは趣味のものを少し置ける程度だ。
そこに2人の女の子がいる。
一方はベッドで肌をさらして、もう一方はまだ子供なのに俺にかしずいている。
彼女の目が不潔なものを見るようになっているのが、手に取るようにわかる。
うんうん、もういいよ。
諦めるよ。
「……事情は、今は聞きません。さあ、朝食をとって仕事へ行きましょう!」
俺の手を強引にとり、若干触手をからませながら、外へ出ようとするラン。
テントのあちらこちらに頭をぶつけながらも、なんとか脱出できた。
むう、とりあえず助かったと言えなくもない。
「殿、朝は何になされるのですか?」
「僕は軽いのでいいや。まだ、頭がぐるぐる回ってるし」
――なんでお前たちもついてきてるの!?
あの部屋のやばい空気わかってるでしょ?
まずは解散して、あとで合流すればいいじゃない!
「あー、えーと。俺、ご飯食べて仕事行くからまたな」
歩幅が足りないせいでパタパタと後ろから追いかけてきたナビが言う。
「拙者は殿の部下ですので。生活全般お供いたします!」
「僕は、一応リュウジに頼み事をしているからね。本当にできているのか、よく見ておかないと。しばらく見ないと大変だもんね。昨日だって……」
何を喋りだすかわからないキラクの足を踏む。
2人とも駄目だが、彼女は特にまずいな。
まだ『ハッピー』の後遺症が残っているようで、やたらと身体をくっつけてくる。
ランが触手を内側に巻き込みながら、無理やり微笑んでいる。
……その日の朝食は、食べ物の味が一切しなかった。
「さあて、仕事仕事!」
陽の光が気持ちいい。
腹もとりあえず膨れた。
噂のことは様子見だから、今日は少し建設現場に向かってみよう。
魔王がテーマーパークを作るということで、城の建設とともにアトラクションの建設も少しずつ進めているようだった。
俺にとってはアトラクションがわかりやすい。
渡された資料の一部を見てみる。
資料は大雑把で、どんなアトラクションを作るかよくわからない。
そもそも作るものが決まっていないのかもしれない。
まずは、ケンタウロスたちが悩んでいた場所に行ってみるか。
――あとは、この問題はどうしようか?
「……何故、3人共ついてきてるんだ? ランは別の仕事があるだろ? キラクだってメイドとして一人前にならなきゃ駄目じゃないか。ナビは集合は午後3時だっただろ? まだ学校がある」
誰も返事をしてくれない。
あれー? 俺なにか間違ったこと言ってるか?
女の子たちと遊びたい欲求は、俺にも当然ある。
ありすぎるぐらいだ。
だが、それは仕事後のこと。
キラクの手伝いをしていたこともあって、仕事の進行は遅れている。
そろそろ何かしらの成果を出さないと、魔王に半殺しにされるだろう。
俺はとりあえず、3人より先に現場へとつくために早足になった。
皆、ついてくる。
足音は一人ひとり違うが、すぐ背後にいるのがわかる。
仕方ない、走るか!!
平均的な男子高校生のスピードだ。
まずは、触手持ちのランを置いていく!
俺より速えーー。
いやいや、まだだ。
『スキル使用 こんにゃく』と呟き、少し透明なこんにゃくをナビの前に出現させる。
これで、1人……飛び越えただとお!!
ナビは、後ろ足をバネにしてきれいな跳躍をみせた。さすが兎。
こうなったら、一番厄介なキラクだけでも何とかしよう。
以前戦った時は、『こんにゃく』の壁を破れなかった。
つまり、だ。
彼女を『こんにゃく』で取り囲む!
……拳の一撃で破壊された。
こんにゃくの欠片が無念そうに散っていく。
やっぱり手を抜いてたのか、あの時!
じゃあ、服の中に……。いや駄目だ。
『ハッピー』と『こんにゃく』のコンボは、ある意味危険だ。
ここで昨晩のような状態になられたら、弁明できない。
結局男1人と、仕事仲間1人、部下(見習い)1人、少しストーカーっぽいのが1人。
4人一緒に、アトラクションの建設場に来てしまった。
この状況で集中できるのか!?
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる