ピアニストの恋はフォルテッシモより強めです！

帰省

夕方になり、奏多兄に久しぶりに実家に帰ろうと言われた。

奏多兄は普段着なのかカッコいいスーツを着ていた。

私は奏多兄にブランドのワンピースを買ってもらいそのまま着て実家に帰った。

奏多兄は、なぜか一緒にうちの家に来てにこやかに両親に挨拶をしていた。

そして、突然真面目な顔で頭を下げた。

「咲茉と結婚させて下さい。お願いします」

あたしは突然のことで驚き、口に手を当てた。だが、奏多兄の真剣な顔を見てすごく嬉しくなった。

「奏多くん……私達は2人が結婚したいならもちろん了承するよ。奏多くんの一途な想いも、ピアニストへの努力も知ってるんだから。咲茉は、奏多くんと結婚したいの？」

鋭い質問が飛んできた。
奏多兄は不安そうな顔をして、私を見つめる。

私は、いろんなことを一気に知ったが、奏多兄のことが大好きだったことや今までの奏多兄の努力が頭を巡る。

今の自分の正直な気持ちで考えるとやはり奏多兄と結婚をしたいと純粋に思った。

「お父さんお母さん……あたしも奏多兄と結婚したいです」
私は頭を下げた。

奏多兄は私の顔をみて優しく微笑む。

「奏多くん……咲茉は、取り柄がない子だけど、奏多くんを一途なのは保証するから。咲茉をこれからよろしくお願いします」

「もちろんです。絶対幸せにします」

咲茉は、両親と奏多兄の会話を聞いて、感情深いものを感じ涙がでた。

「咲茉おめでとう。ずっと奏多くんのこと好きだったもんね。よかったね」

「え？知ってたの？」

「当たり前じゃない。あんた、わかりやすいもの」

みんなが頷き、私は恥ずかしくてしょうがなかった。