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1.それでも私を愛してくれますか
それでも私を愛してくれますか-2
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私が指示されるまでもなくシートベルトをしている間、勇士郎はエンジンを掛けていた。
車がブルブルと身体を震わすと、勇士郎が私に問い掛ける。
「ああごめん。もう少し彰くんと喋りたかったか?」
「大丈夫だよ。彰、最近私のこと避けてるし」
「え?なんで?」
「クラスの男子達に、私と付き合ってるってからかわれたのが恥ずかしかったみたい。幼稚園の時告白してきたくせにね」
「あー。なるほどね。彰くんも男の子だからなあ。夕夜があまりにもかわいいから、照れちゃうよな」
そう言う話はしていないだろうと言葉を差し込もうと思ったが、直後に勇士郎は車を走らせた。
風通しのいい開けた庭を抜け左折すると、今度は歩いて何処かへ向かっていた宮内親子を追い越す。
その時もう一度二人に手を振ったが、彰にはそっぽを向かれてしまった。
「夕夜は、彰くんのことが好き?」
「好きだよ。彼氏にしたいとか、そういうのじゃないけど」
「ははは。まだ小学生だもんな」
「そうだよ。小学四年生で恋愛なんて、お父さんみたいな人から面白い目で見られるだけだよ」
「よく分かってるじゃんか。お父さんは夕夜が賢すぎて、時々こわいよ」
前を見ながら呟くように言った。
本質を突くような言葉に少しドキリとしたものの、表情を見る限り特に他意は無いようだ。
「私は、お父さんの事も好きだよ」
「……どうした?急に。お父さんも、夕夜の事が本当に、本当に大好きだよ」
視線を前方から逸らす事は無かったが、とても嬉しそうに言った。
父に喜んで貰えると、私の胸も踊るような気持ちになる。
自然と口角が上がり、歳相応に表情が明るくなるようだ。
こうした想いは、定期的に言葉にして形にしなければならない。
強く思うことだ。
「お父さんも好きだし、お母さんも好き。きっと愛美ちゃんもすごく好きになる。ずっと、仲良くできたらいいな。ずっとずっと、皆で幸せでいたい」
「……どうしたんだよ。ずっと、仲良しだよ。ずっと、大好きだよ。大丈夫」
勇士郎は、さっきよりも乾いたように笑った。
その言葉は震えていて、横から見上げる瞳は、少し潤んでいるようにも見えた。
車がブルブルと身体を震わすと、勇士郎が私に問い掛ける。
「ああごめん。もう少し彰くんと喋りたかったか?」
「大丈夫だよ。彰、最近私のこと避けてるし」
「え?なんで?」
「クラスの男子達に、私と付き合ってるってからかわれたのが恥ずかしかったみたい。幼稚園の時告白してきたくせにね」
「あー。なるほどね。彰くんも男の子だからなあ。夕夜があまりにもかわいいから、照れちゃうよな」
そう言う話はしていないだろうと言葉を差し込もうと思ったが、直後に勇士郎は車を走らせた。
風通しのいい開けた庭を抜け左折すると、今度は歩いて何処かへ向かっていた宮内親子を追い越す。
その時もう一度二人に手を振ったが、彰にはそっぽを向かれてしまった。
「夕夜は、彰くんのことが好き?」
「好きだよ。彼氏にしたいとか、そういうのじゃないけど」
「ははは。まだ小学生だもんな」
「そうだよ。小学四年生で恋愛なんて、お父さんみたいな人から面白い目で見られるだけだよ」
「よく分かってるじゃんか。お父さんは夕夜が賢すぎて、時々こわいよ」
前を見ながら呟くように言った。
本質を突くような言葉に少しドキリとしたものの、表情を見る限り特に他意は無いようだ。
「私は、お父さんの事も好きだよ」
「……どうした?急に。お父さんも、夕夜の事が本当に、本当に大好きだよ」
視線を前方から逸らす事は無かったが、とても嬉しそうに言った。
父に喜んで貰えると、私の胸も踊るような気持ちになる。
自然と口角が上がり、歳相応に表情が明るくなるようだ。
こうした想いは、定期的に言葉にして形にしなければならない。
強く思うことだ。
「お父さんも好きだし、お母さんも好き。きっと愛美ちゃんもすごく好きになる。ずっと、仲良くできたらいいな。ずっとずっと、皆で幸せでいたい」
「……どうしたんだよ。ずっと、仲良しだよ。ずっと、大好きだよ。大丈夫」
勇士郎は、さっきよりも乾いたように笑った。
その言葉は震えていて、横から見上げる瞳は、少し潤んでいるようにも見えた。
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