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19 拾っては イケない物
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ミリアは、ペンダントを弁償する代わりに、もう少し手伝えと言われてダリルと一緒に ロイヤルストリートを散策していた。
その名の通り、王室御用達のお店ばかりが並ぶ。ここに来れば、王宮で使われている物 全部 揃えられる。
従って全て高級品。
またここはデートコースにもなっていて、貴族や富豪の子供たちのカップルが、将来を夢見ながらウィンドウショッピングするのが流行っている。
私もそう言う人に巡り会ったら、来てみたいものだ。
それなのに、一緒の相手が悪魔では……。やれやれと首を横に振る。
あの変なペンダントの手掛かりを求めて来たが、こんな貴族しか出入りしないようなところで、本当に売っている店があるの?
ダリルの勘を怪しむ。 胡乱な視線を送るが、本人は店探しより 商品が気になるらしく。
右の店、左の店と、目を輝かせて手当たり次第に 見て回っている。
まるで 、小さな男の子のようだ。
( こう言うところが、 悪魔らしくないのよね)
くすりと笑うと ダリルが振り返る。
不味い。笑ったのがバレると面倒だ。
ミリアは咳払いしてごまかす。
「コホン。お店は、どこにあるのですか? 」
「裏通りにあるとガーゴイルが言って
いたから、この先だろう」
(裏通り? )
危険な香りがする。しかし、興味深い。そのまま、ダリルの後をついて 路地を曲がる。
ミリアは、雰囲気がガラッと変わったことに驚く。道を一本入っただけなのに、全てが違う。石畳もあちらこちらに 穴が開いていて、道じたい狭い。
それでも 表通りと変わらず 同じ物を扱う店が並んでいる。しかし、ダリルは 店に目もくれなくい。
私の目から見れば 同じに見える。
( 一体どうしてかしら?)
自分でも、目利きが出来そうなドレスを凝視する。
う~ん。サッパリ分からないわ。
「ここは、さっきの通りと何が違うんですか? 」
そう聞くとダリルが、意地悪そうな笑みを浮かべて いつもの調子でからかう。
「まぁ……お前はお子供様だから、 知らなくて当然か」
「 子供じゃありません!」
頬を膨らませて睨みつけると、ダリルが わざと言い換える。
「未婚のお前は、知らなくて当然か」
「どうして、いつも結婚、結婚って言うんですか? 」
親でも無い。まして、悪魔のくせに私の結婚問題を口うるさく言う。
(おおきなお世話よ! )
「社会的に女性は 結婚しなければ、大人と認められないからだ」
「 ……… 」
全く。価値観が化石なみなんだから。今は、貴族が働いても卑しいと蔑まれなくなった。それに、働く女性は大勢いる。
ミリアは、その代表として クラス担任の名を上げる。
「そんなことありません。エルザ先生は未婚だけど 大人です。しかも、皆の尊敬されてます」
「心配するな。お前も二十歳過ぎても 未婚なら、大人の 仲間入りできる」
まったく、話しにならない。
「それって、差別です!」
食ってかかると、ダリルが急に手を突き出た。びっくりして黙ると、質問について説明を始める。
「裏通りで、売っている物は すべて中古品か、偽物だ」
「 中古品? 」
ミリアは好奇心に負けて、あっさりと話に食いつく。
ダリルが、顎を指で叩きなが 考えてをまとめる。
「んー。一度、誰かが使った物だ」
「誰が使ったか分からない物を買う人が 居るんですか? 」
確かに、ドレスは高価だし、作るのに時間が 掛かる。でも、オーダーメイドだこら、サイズが合わない。そんな物どうして売れるの?
「これだから、貴族は」
ダリルが、両手を上げて首を左右に振る。小馬鹿にされて ムッとする。
貧富の差の話しではない。一般的な話しだ。
「みんなが、みんな。常に新品を見つけられるわけじゃない。だが、パーティーで同じドレスを着るのは、裕福ではないと思われる。だから、こういう中古品扱う店があるんだ 」
「なるほど……」
ドレス代は、我が家の家計を逼迫させる要因にもなっている。
だから少しでもお金を浮かそうと、お母様が しょっちゅう ドレスをリメイクしている。
「今も昔も、貴族は見栄の塊。社交界は、いかに自分が 金持ちかひけらかす場所だ。ほんと下らない」
「 ……… 」
ダリルのうんざりした口調から、貴族を軽蔑していることが伝わる。
何人も、そういう貴族を見てきたようだ。
「ここで買って良い物は、宝石、家具、食器、楽器、本など。流行に関係なく価値が変わらない物がお薦めだ 」
ダリルが、指折り数えながらレクチャーしてくれるが 、なかなか難しそうだ 。目利きのできない私には無関係な場所そう。
「もちろん、審美眼が あるのが前提だがな」
そう言って私の顔を覗き込む。はい。はい。私には無理です。本当に一言多いんだから。
「ダリルは、ほんと物知りですね」
悪魔なのに、 人間界のことをよく知っている。そういうところは尊敬できる。
「様! 当たり前だ。私は何歳だと思っているんだ」
「そうですね…… 28歳くらい? 」
「そんな若造のはずないだろう」
ダリルが憤慨する。 若造って……。
私から見たら 十分オジサンだ。
「じゃあ、何歳なんですか? 」
そう聞くと ダリルが腕組みして考え込む。自分の年齢なのに なぜ即答できない。もしかして、悪魔の年齢を人間年齢に換算しているとか。
「そうだな ……人間の歳で言うとニ、三千歳くらいか」
「そんなアバウトな! 二千と三千では全然違います」
ミリアは ダリルの答えに愕然とする。三千年前になんて、紀元前の時代になる。
まさか恐竜と同い年?
「仕方ないだろ。私は悪魔なんだぞ」
「じゃあ、 悪魔年齢は何歳なんですか? 」
「 知らん! そもそも誕生日を知らないんだから 数えようがない 」
ダリルが肩をすくめる 。その返事に 胸が痛む。
誕生日を知らない理由は、ひとつしかない 。生まれた時から天涯孤独。
家族が全て死んでしまったのか、捨てられたのか。その理由は分からないが。友達もいないと言っていたから、 ずっと独りぼっち。
そう思うと同情する 。
だから、こんな偏屈な性格になったんだ。三千年もの長い、長い間。生き延びるために、どんなに苦労したのかと考えると苦しくなる。
「どうした。変な顔をして? 腹でも痛いのか」
覗き込んできたダリルに、なんでもないと首を振る。私に憐れんでいると 知ったら ダリルが もっと惨めになる。
***
「きゃっ! 」
すっかり物思いにふけっていたから、前を歩いていたダリルの背中にぶつかった。
「 着いたんですか?」
「 ……… 」
痛む鼻を押さえてダリルを見ると、 上を見ている。視線の先を見ると、看板が出ている。
『スミス 商会 』
いかにもという名前だ。スミスなどという、ありふれた名前を使っているところが怪しい。
建物はレンガ造り、ドアは木製。普通で変わったところは無い。強いて言えば、窓が汚れ過ぎていて中が見えない。
「この店ですか?」
「 そうだ。今日はドアを開けたら帰っていい」
「えっ? 」
(本当に? )
人使いの荒いダリルに優しくされると 逆に怖い。
何か裏があるのではと、ダリルの様子を伺うと口を固く閉じて、深刻な顔をしている。こんな真面目なダリルを見るのは初めてだ。なんだか不安を掻き立てられる。
( そんなに 危険な場所なんだろうか? )
ミリアは、落ち着かない気持ちのままドアを開ける。
店内には、種種雑多な物が年代も種類も関係なく 所狭しと置いてある。
どうやら骨董品店らしい。
「こんにちは。どなたか いらっしゃいませんか? 」
声をかけるが 人の気配がない。
随分不用心な店だ。泥棒とか心配とかじゃないのかしら。
店員を探して店の奥へ行こうとすると、 ダリルに首根っこを掴まれる。
見ると指で首を切る真似をしてから、ドアを指差す。
『さっさと出て行け! 』と言うことらしい。
分かったとミリアは頷くと、ドアに向かう。
本当に帰っていいらしい。振り返ると 手で、しっしと 追い払われた。
それなら、気が変わらないうちに帰ろう。ドアノブを掴もうとして、何かを蹴飛ばした。
下を見るとピエロの人形が転がっている。気づかないうちに落としてしまったのかもと、人形を拾おうとすると、
「それに触るな! 」
切羽詰まったダリルこ叫び声に、振り向いた時には その姿が消えていた。
その名の通り、王室御用達のお店ばかりが並ぶ。ここに来れば、王宮で使われている物 全部 揃えられる。
従って全て高級品。
またここはデートコースにもなっていて、貴族や富豪の子供たちのカップルが、将来を夢見ながらウィンドウショッピングするのが流行っている。
私もそう言う人に巡り会ったら、来てみたいものだ。
それなのに、一緒の相手が悪魔では……。やれやれと首を横に振る。
あの変なペンダントの手掛かりを求めて来たが、こんな貴族しか出入りしないようなところで、本当に売っている店があるの?
ダリルの勘を怪しむ。 胡乱な視線を送るが、本人は店探しより 商品が気になるらしく。
右の店、左の店と、目を輝かせて手当たり次第に 見て回っている。
まるで 、小さな男の子のようだ。
( こう言うところが、 悪魔らしくないのよね)
くすりと笑うと ダリルが振り返る。
不味い。笑ったのがバレると面倒だ。
ミリアは咳払いしてごまかす。
「コホン。お店は、どこにあるのですか? 」
「裏通りにあるとガーゴイルが言って
いたから、この先だろう」
(裏通り? )
危険な香りがする。しかし、興味深い。そのまま、ダリルの後をついて 路地を曲がる。
ミリアは、雰囲気がガラッと変わったことに驚く。道を一本入っただけなのに、全てが違う。石畳もあちらこちらに 穴が開いていて、道じたい狭い。
それでも 表通りと変わらず 同じ物を扱う店が並んでいる。しかし、ダリルは 店に目もくれなくい。
私の目から見れば 同じに見える。
( 一体どうしてかしら?)
自分でも、目利きが出来そうなドレスを凝視する。
う~ん。サッパリ分からないわ。
「ここは、さっきの通りと何が違うんですか? 」
そう聞くとダリルが、意地悪そうな笑みを浮かべて いつもの調子でからかう。
「まぁ……お前はお子供様だから、 知らなくて当然か」
「 子供じゃありません!」
頬を膨らませて睨みつけると、ダリルが わざと言い換える。
「未婚のお前は、知らなくて当然か」
「どうして、いつも結婚、結婚って言うんですか? 」
親でも無い。まして、悪魔のくせに私の結婚問題を口うるさく言う。
(おおきなお世話よ! )
「社会的に女性は 結婚しなければ、大人と認められないからだ」
「 ……… 」
全く。価値観が化石なみなんだから。今は、貴族が働いても卑しいと蔑まれなくなった。それに、働く女性は大勢いる。
ミリアは、その代表として クラス担任の名を上げる。
「そんなことありません。エルザ先生は未婚だけど 大人です。しかも、皆の尊敬されてます」
「心配するな。お前も二十歳過ぎても 未婚なら、大人の 仲間入りできる」
まったく、話しにならない。
「それって、差別です!」
食ってかかると、ダリルが急に手を突き出た。びっくりして黙ると、質問について説明を始める。
「裏通りで、売っている物は すべて中古品か、偽物だ」
「 中古品? 」
ミリアは好奇心に負けて、あっさりと話に食いつく。
ダリルが、顎を指で叩きなが 考えてをまとめる。
「んー。一度、誰かが使った物だ」
「誰が使ったか分からない物を買う人が 居るんですか? 」
確かに、ドレスは高価だし、作るのに時間が 掛かる。でも、オーダーメイドだこら、サイズが合わない。そんな物どうして売れるの?
「これだから、貴族は」
ダリルが、両手を上げて首を左右に振る。小馬鹿にされて ムッとする。
貧富の差の話しではない。一般的な話しだ。
「みんなが、みんな。常に新品を見つけられるわけじゃない。だが、パーティーで同じドレスを着るのは、裕福ではないと思われる。だから、こういう中古品扱う店があるんだ 」
「なるほど……」
ドレス代は、我が家の家計を逼迫させる要因にもなっている。
だから少しでもお金を浮かそうと、お母様が しょっちゅう ドレスをリメイクしている。
「今も昔も、貴族は見栄の塊。社交界は、いかに自分が 金持ちかひけらかす場所だ。ほんと下らない」
「 ……… 」
ダリルのうんざりした口調から、貴族を軽蔑していることが伝わる。
何人も、そういう貴族を見てきたようだ。
「ここで買って良い物は、宝石、家具、食器、楽器、本など。流行に関係なく価値が変わらない物がお薦めだ 」
ダリルが、指折り数えながらレクチャーしてくれるが 、なかなか難しそうだ 。目利きのできない私には無関係な場所そう。
「もちろん、審美眼が あるのが前提だがな」
そう言って私の顔を覗き込む。はい。はい。私には無理です。本当に一言多いんだから。
「ダリルは、ほんと物知りですね」
悪魔なのに、 人間界のことをよく知っている。そういうところは尊敬できる。
「様! 当たり前だ。私は何歳だと思っているんだ」
「そうですね…… 28歳くらい? 」
「そんな若造のはずないだろう」
ダリルが憤慨する。 若造って……。
私から見たら 十分オジサンだ。
「じゃあ、何歳なんですか? 」
そう聞くと ダリルが腕組みして考え込む。自分の年齢なのに なぜ即答できない。もしかして、悪魔の年齢を人間年齢に換算しているとか。
「そうだな ……人間の歳で言うとニ、三千歳くらいか」
「そんなアバウトな! 二千と三千では全然違います」
ミリアは ダリルの答えに愕然とする。三千年前になんて、紀元前の時代になる。
まさか恐竜と同い年?
「仕方ないだろ。私は悪魔なんだぞ」
「じゃあ、 悪魔年齢は何歳なんですか? 」
「 知らん! そもそも誕生日を知らないんだから 数えようがない 」
ダリルが肩をすくめる 。その返事に 胸が痛む。
誕生日を知らない理由は、ひとつしかない 。生まれた時から天涯孤独。
家族が全て死んでしまったのか、捨てられたのか。その理由は分からないが。友達もいないと言っていたから、 ずっと独りぼっち。
そう思うと同情する 。
だから、こんな偏屈な性格になったんだ。三千年もの長い、長い間。生き延びるために、どんなに苦労したのかと考えると苦しくなる。
「どうした。変な顔をして? 腹でも痛いのか」
覗き込んできたダリルに、なんでもないと首を振る。私に憐れんでいると 知ったら ダリルが もっと惨めになる。
***
「きゃっ! 」
すっかり物思いにふけっていたから、前を歩いていたダリルの背中にぶつかった。
「 着いたんですか?」
「 ……… 」
痛む鼻を押さえてダリルを見ると、 上を見ている。視線の先を見ると、看板が出ている。
『スミス 商会 』
いかにもという名前だ。スミスなどという、ありふれた名前を使っているところが怪しい。
建物はレンガ造り、ドアは木製。普通で変わったところは無い。強いて言えば、窓が汚れ過ぎていて中が見えない。
「この店ですか?」
「 そうだ。今日はドアを開けたら帰っていい」
「えっ? 」
(本当に? )
人使いの荒いダリルに優しくされると 逆に怖い。
何か裏があるのではと、ダリルの様子を伺うと口を固く閉じて、深刻な顔をしている。こんな真面目なダリルを見るのは初めてだ。なんだか不安を掻き立てられる。
( そんなに 危険な場所なんだろうか? )
ミリアは、落ち着かない気持ちのままドアを開ける。
店内には、種種雑多な物が年代も種類も関係なく 所狭しと置いてある。
どうやら骨董品店らしい。
「こんにちは。どなたか いらっしゃいませんか? 」
声をかけるが 人の気配がない。
随分不用心な店だ。泥棒とか心配とかじゃないのかしら。
店員を探して店の奥へ行こうとすると、 ダリルに首根っこを掴まれる。
見ると指で首を切る真似をしてから、ドアを指差す。
『さっさと出て行け! 』と言うことらしい。
分かったとミリアは頷くと、ドアに向かう。
本当に帰っていいらしい。振り返ると 手で、しっしと 追い払われた。
それなら、気が変わらないうちに帰ろう。ドアノブを掴もうとして、何かを蹴飛ばした。
下を見るとピエロの人形が転がっている。気づかないうちに落としてしまったのかもと、人形を拾おうとすると、
「それに触るな! 」
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