猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました

あべ鈴峰

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好きになった理由

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 街外れにある小さな家の前に 洒落た馬車と
古ぼけた馬車の二台が夜の闇に紛れて停まっていた。

 ドミニクはヒステリーを起こしているエリザベートをうんざりした気持ちで見てた。
(急な呼び出しに応じたのに、こんなことなら来るんじゃなかった)
「 どうしてくれるのよ! また一年待たなくちゃならないでしょ!」
エリザベートが叫ぶたび頭が痛くなる。
本当に女という生き物は 鬱陶しい。
「 心配いりませんよ」
「よくそんな無責任なことが言えるわね!」
この耳障りな金切り声を聞いていたら、鼓膜が破れそうだ。逆なでしないように静かな声音で話しかけた。
「誕生日だから警備が厳しいんですよ」
「…… どう言うこと?」

✳✳✳

 リサはリチャードとキスを繰り返しながらプロポーズの余韻のまま寝室に来た。この思い言葉だけでは気持ちを伝えきれない。
後ろでにリチャードが鍵をかけた。それがまるで合図かのように、お互いに服を脱がせて生まれたままの姿になった。
冷たいシーツに横たわりながらこれから起きる事に緊張していた。愛撫は何度も経験している。だけど、大事なところは指以外許した事が無い。興奮した リチャードのアレを見たことも 触ったこともある。
だから なおさら 心配だ。  
(今夜、私は……)
そんな私の漠然とした不安を忘れさせるように唇を重ねるとすぐ舌が暴れ回る。
摘ままれた乳首も、撫でられる内腿も、掻き出される大事なところも、それは全て前戯、本番はこれからだ。

 リチャードは痛くないように滑りが良くしようと、リサの蜜を自分のモノに擦り付ける。三箇所同時に責め立てた。
既にリサは トロンとした顔で熱に行かされたように頬を赤く染めて、しっとりと汗をかいている。この時を待っていた。今夜リサは私の女になる。他の男になど絶対渡さない。
膝をついて角度を調整しようとリサの足を押し広げた。
何をするのか察したのかリサが顔を更に真っ赤にして横を向く。そんな顔をされた、自分の中に私のモノが押し込まれる瞬間を見せたくなる。しかし、そうしたら緊張で体に力が入りそうだ。
不意をついた方がスムーズだろう。
繋がっているところを見せるチャンスなどこの先いくらでもある。今はリサの痛みを少なくする事の方が大事だ。先端を付けると引きずり込まれるようにズルリと途中まで入った。それと同時に、これから先はダメと道が狭まり締め上げて来る。その甘い苦しさに笑みが浮かぶ。
この苦しさを手に入れられる男は一人だけ。その一人に私が選ばれた。名誉な事だ。
他のところに意識が行くように愛撫をすると、体の力が抜けて来た。
ゆっくりと出し入れして痛みから快楽へとシフトチェンジする。
「リサ……」
名前を呼ぶ度リサの中は潤い、溢れ、くちゃくちゃと厭らしい音を立てて、奥をついてくれと招待してくれる。先端が固いものに当たった。下を見ると根元までしっかりと咥え込まれていた。サイズ ぴったり。
引き抜こうとするとリサが 切なげな声を出す。 入れるとリサが嬉しそうな声を出した。
こうやって自分の形にその体を作り変えるてやる。

 ギリギリまで 引き伸ばしたが私の限界も近い。 最後の瞬間リサを抱き締めて激しく腰を動かすと、リサの体が激しく揺れる。
パンパンと打ち付けたび、ギシギシとベッドが悲鳴をあげる。落ちないようにリサが自然と足を腰に回して来る。
「くうっー」
最後の一滴まで溢さないように子種をリサの中に注ぎ入れた。それでも、飲み込めなかったモノが交わったところを伝ってシーツに流れ落ちた。その色は白と赤のマーブル模様だった。

**✳

 リチャードは 執務室でリストを作っていた。いくら 出席するのは身内だけとはいえ 結婚式は結婚式だ。
エリザベートの結婚は丸投げしてしまったから 私は何一つ 手伝わなかった。 だがリサは特別。 準備をしたい。
「 まずはドレスショップで。 あとは……」
ペン先をトントンと紙に打ち付けながら考えていると、

コンコン

ノックの音に顔を上げるとニックが入って来た。
「失礼します。エリザベート様からのプレゼントのリストが出来ました」
毎回馬車いっぱいの品物を贈って来る。子供が喜びそうな物ばかりだ。しかし、その中に危険なモノが混じっていないか確かめてから渡すようにしている。
一方的に全てを燃してしまう事はしていない。やはり心の何処かでマーカスの母親だからと言う気持ちが捨てきれないからだろう。
(産んでくれ事だけは感謝している)
今回も 品数が多い。リストの枚数の多さに辟易する。
「その中に猫のおもちゃが混じっていました」
「猫のおもちゃ?」
「はい」
ハッとしてニックを見るとリストの一か所を指差した。
「猫じゃらし?」
何故猫のおもちゃを?
(これって……リサへのプレゼントなのか?)
どうして、マーカスのプレゼントに混じって届いたんだ? 
確かにリサは特殊な猫だ。だから欲しがる人が居てもおかしくない。しかし、外部の人間と接点が無いのに、どうしてリサの事を知っているんだ? 

 この家の中でしか生活してない。家の周りは自然、客人も来てない……。
この前の外出で知ったとか?
「………」
我々を監視しているのか?それにしてもりリサの見た目は猫と一緒だから欲しいと考えるのは無理がある。
(まあ……可愛いのは本当だけど……)
「ニック。猫じゃらしを誰が買ったのか調べてくれ」
「かしこまりました」
自分の知らないところで何かが動いている。そんな嫌な感じだ。
ニックが一礼して出て行くとリチャードは指をトントンと叩きながら考えていたが、スクッと立ち上がって足早に部屋を出た。
心配だ。もう一度防犯装置を確かめに行こう。

**

 リチャードはリサとブランコに並んで座りながらワインを飲んでいた。
彼女の左手薬指には嵌めたばかりの婚約指輪が輝いている。その事が心をくすぐる。 
私のものだという証だ。
そっと乱れ髪を耳にかけてあげると不意にリサがこちらを見た。
「リチャードは何時、私の事好きだって自覚したんですか?」
そう問われると返事に困る。
人間のリサは私が誘惑したくなるほど成熟していた。しかし、そんな事を言えば体目当ての厭らしい男だと思われる。実は隣で眠っていた時から狙っていたのかと思われる。
夢を壊さないようにロマンチックな言葉を探して、これまでのことを振り返った。
始めは風呂桶の縁に寄り掛かって気持ち良さそうな表情を見て興味を持った。ザブマギウムかもしれないと言う好奇心で手元に置いたが、そのうちに甘えてくるところも、寝ている姿にも愛しさを感じだした。でもそれは猫に対する愛情だ。人間に対する気持ちじゃないと、これ以上深入りするなとストップを掛けた。私はもう結婚したくない。そう思っていたのに。リサが人間に変身する度に異性として意識し始めた。気づいたらどっぷり首まで沼にはまっていた。

 猫だから好き、人間だから好きと分けられるものではない。リサだから好きなんだ。
「最初からかな」
「嘘! だって私は泥団子だったんですよ」
信じられないと口を尖らせる。そんな仕草がキスを誘っているように見えてしまう。
「本当だよ。じゃあ、リサは何時から私を好きになったんだい?」
「もちろん最初からです」
胸を張って堂々と言い切る姿が面白い。それだと見た目で判断してるみたいじゃないか。
「金色の髪も水色の瞳も優しい笑顔も何もかも私の心を引きつけたんです」
そう言いながら私の髪を撫でる。酔っ払っているな。頬が赤い。
「あと匂いも好きです。でも一番好きなのは胸です」
そう言うと今度は胸を撫で始めた。その視線が 他のところへ動き始めた。
「それから」
ひょいと自分の膝の上に座らせると口づけして黙らせた。

 リチャードは信じてないみたいだけど、私が好きになった理由はまさに一目惚れ。
ペットから恋人になりたくなった。
だからマイナス要素のバツイチも子持ちも、元妻のいざこざあったのに、諦めたり嫌になったりしなかった。惚れた弱みで全部許してしまった。私たちは普通のカップルと違ってお互いを知るのが後になってしまった。
結婚も流れで決めてしまった。でも後悔の欠片も無い。

**

 ショッピングを兼ねて街に来ていた。マーカスのいない 二人きりだけのお出かけ。
(そう 夢にまでみた初デートだ)
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