ギャルゲーのはずが攻略対象外男子に好かれてます。

9月

6

  次の日、母親が放課後学校に行くから待っていろと念を押され、俺と菜美は自宅を出た。

 菜美はバス通学で凪沙は自転車通学だ。

 朝の通学路を颯爽と走行する前方に目立つ金茶の頭を見つけ、目標き向かってスピードを落とす。




「おはよう吉良！！」

「凪沙か、おはよう」



  
 爽やかな朝に爽やかな笑顔が良く似合う。髪は地毛で瞳は水色のいかにも異国の血が入ってますアピール感満載のイケメン須原吉良。
 
 幼馴染みの1人で、実はもう1人の幼馴染みの笹野奏美と付き合っている。

 奏美ルートを目指すと必然的に恋敵つか俺が彼女を奪う事になってしまう。転校する凪沙がいなくなった後の周囲と2人の気まずさを考えれば、絶対手を出してはあかんルートだ。

 友達は一生もん。特に幼馴染みは得難い存在なわけで。

 だからゲームの世界だと分かった時点で、すぐにこのルートはないわぁと内心ぶった切った（いや誰も攻略するつもりはないけど）




「珍しいな、こんな時間に登校って。朝練なかったのか？」

「ああ。今日は昨日他校と練習試合だったから休み」

「そうかぁ。お前他校とかで王子って呼ばれてんだっけ？笑えるっ」

「勝手に笑ってろよ。この帰宅部が」

「悪い悪い」

 


 拗ねる横顔は昔と変わらない。やはり気兼ねない幼馴染みはいいものだ。




「笑いながら謝るな、この中身ペテン美人が」

「ペテンは認めるが、美人はやめて」

「…否定箇所おかしいぞお前」




 だって、美人って女性のための褒め言葉だし、俺使うのは失礼だと主張したら肩を震わせ吉良は笑った。