ギャルゲーのはずが攻略対象外男子に好かれてます。

9月

閑話休題 side吉良②『幼馴染みのお友達』君part①

 斜陽が差し込む校舎。目的の部屋の扉をノックし室内からの応答を確認してからオレは中へ足を踏み入れた。

 他の役員の姿はない。扉から一番奥の席で目当ての人物が書類を淡々と整理していた。

 その姿を見るだけで先程の情景が頭に過ぎり、表情が険しくなる。




「何か用？」

「凪沙を困らせないで下さい」



 突然の告白に動揺を隠せず狼狽えながら帰宅の途についた凪沙は、今頃困り果てているだろう。

 以前から凪沙に過剰なスキンシップをとるこの人が気に入らなかったが、それも極まれりだ。

 会長は書類から目を離さず、ハッ、と鼻で笑った。




「蘇芳に頼まれてきたのかい『幼馴染み』君」

「違いますけど」

「だろうね」




 抑揚のない口調で、会長は。




「本当はもっとちゃんとした告白したかったんだけどね。君があんな態度をとるから」




 先程、会長と相対していたオレの表情はあからさまな嫉妬と独占欲が隠せず出ていた。自覚はある。

 自分の態度がこの人を煽ったから凪沙が困るはめになったと言いたいのか。



（そんなの詭弁だ）



 こちらこそあんたが凪沙をどう思っているかとっくに知っていた。それでも今まで黙っていたのは自分に迷いがあったからだ。




「蘇芳は自分を分かってないよね」

「…どういう意味ですか」

「そのまんまだよ。自分では面倒くさい事は嫌いだって口にするけど真面目で責任感あるし、面倒見も悪くない」



  戸惑うこちらを無視して、つらつら会長は急に凪沙の評価について語り出した。


「最初は本当に生徒会に向いていると思って誘ったんだけどね」