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10月
閑話休題side吉良③ヘタレ王子のささやな幸せ
しおりを挟む今オレはこれが夢ではないかと疑っている。
「吉良ー、まな板どこだー?」
「ああ、それならそこの戸棚に収納されてる」
「フライパンはー?」
「フライパンはその上のーー」
目の前でエプロンを着けてた好きなヤツが、自分のために料理をしてくれている。
何て幸せな光景だろう。
奏美からラインがきた時、オレは部活をサボり朝からベットの中にいた。
(そのまま家にいろ?)
元々外に出る気力のなかったオレは、通知を見てそのままスマホをベットの端に放り投げた。
会長の件から凪沙に告白しようしようと考え過ぎて、気づけばかなりの日数が経ってしまい余計焦燥と拒絶への不安で気力がすり減っていた。
何の用か分からないが、奏美が来るとしても昼過ぎくらいだろう。
そのまま、うつらうつらしていると来訪を告げるチャイムが鳴った。
ラインからまだ1時間も経っていない。
てっきり宅配の類かと思い、応答に出て見れば『蘇芳ですけど』と声が。
思わぬ来訪者に思考が飛んだ。
我に返ったオレは念のため壁に思いっきり頭をぶつけた痛みで夢でない事を確認した。
我ながらアホだ。
(けれど、オレの身勝手な迷いが凪沙をそんなに追い詰めているとは…)
これでは奏美に何十発殴られても仕方ない。
オレが凪沙を嫌うなんて絶対ないから!!!
必死過ぎた結果何とも情けない告白になってしまったが、凪沙はオレに嫌悪も避けもしないと言ってくれた。
気持ちを否定されないだけでも充分嬉しい。
「吉良、皿用意してくれー」
「分かった」
今はこの新婚夫婦のような状況を心から嚙みしめよう。
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