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11月
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注)演劇の内容なので飛ばして頂いても大丈夫です。
開幕最初、静御前が舞台中央に立ち雅楽の調べともに扇子を優雅に踊らせ舞うシーンから始まる。
流れる艶やかな黒髪。長いまつ毛に縁取られた涼しげな瞳に唇に塗った紅が映える。
その姿に観客から何とも言えない吐息が漏れる。
そして、場面は変わり頼朝が義経を捕らえるよう部下に命じ、今度は旅装束に着替えた静御前が1人登場。
今回の演劇は義経は登場せず、静御前を中心物語が展開していく。
いない相手を想い慕う静御前の存在の影として観ている側に意識させたいとの意向だ。
「愛しの君は遠く彼の地へ行ってしまわれた。もう届かない私の声も想いもーー」
そう、もう2度と触れ合えない。目蓋を閉じればまだそこに鮮明な貴方がいるのに。
会えない会えないもうその温もりは私の側から離れてしまった。
伏せる瞳から一筋涙が溢れる。
「………会いたい」
震える声で絞り出した恋情。
せめてもう一目愛しいあの方と。夢でもいいから私を見て触れて。
頼朝からの追っても静御前の愛しい者を切に想う痛ましい姿に、同情し温情をかける。
そのあまりに憐れで不憫な姿は頼朝の妻北条政子の気持ちさえ揺り動かす。
最後に頼朝の御前で舞う静御前。そこでも彼女は愛しの君への恋い焦がれ求める気持ちを隠そうとはせず、舞歌う。
自分の命など惜しくない、あの方に会いたいその一途な想いで舞続ける。
ライトが徐々に消え暗くなる中、緞帳が下りてくる。
向こう側から拍手が聞こえ、俺はやっと自分に戻り息を吹き返す。
(向こう側にいる静御前にはどう見えたかな…)
開幕最初、静御前が舞台中央に立ち雅楽の調べともに扇子を優雅に踊らせ舞うシーンから始まる。
流れる艶やかな黒髪。長いまつ毛に縁取られた涼しげな瞳に唇に塗った紅が映える。
その姿に観客から何とも言えない吐息が漏れる。
そして、場面は変わり頼朝が義経を捕らえるよう部下に命じ、今度は旅装束に着替えた静御前が1人登場。
今回の演劇は義経は登場せず、静御前を中心物語が展開していく。
いない相手を想い慕う静御前の存在の影として観ている側に意識させたいとの意向だ。
「愛しの君は遠く彼の地へ行ってしまわれた。もう届かない私の声も想いもーー」
そう、もう2度と触れ合えない。目蓋を閉じればまだそこに鮮明な貴方がいるのに。
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伏せる瞳から一筋涙が溢れる。
「………会いたい」
震える声で絞り出した恋情。
せめてもう一目愛しいあの方と。夢でもいいから私を見て触れて。
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そのあまりに憐れで不憫な姿は頼朝の妻北条政子の気持ちさえ揺り動かす。
最後に頼朝の御前で舞う静御前。そこでも彼女は愛しの君への恋い焦がれ求める気持ちを隠そうとはせず、舞歌う。
自分の命など惜しくない、あの方に会いたいその一途な想いで舞続ける。
ライトが徐々に消え暗くなる中、緞帳が下りてくる。
向こう側から拍手が聞こえ、俺はやっと自分に戻り息を吹き返す。
(向こう側にいる静御前にはどう見えたかな…)
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