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11月
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しおりを挟む文化祭の定番と言えばお化け屋敷っ、これ鉄板!!
何でも2クラス合同で制作した力作だとかで、良い感じにヒュードロドロ~ってなBGMが流れていますよ。
「では、トライアルコースですね~」
三角頭巾に白装束の受付のお嬢さんに俺は気合いを入れてお願いする。
お化け屋敷は1人では中々入りにくいが、この合同クラスのお化け屋敷はそんなお1人様でも楽しめるようコースが分けられている。
俺がお願いしたトライアルコースはスタートからゴールまでの時間を計り、そのタイムによって景品が貰えるというもの。途中チェックポイントがあり、そこでスタンプを押さなければ失格になるので闇雲に走り抜けるわけにはいかない。
これなら1人ずつ入っても楽しめる。
「よっし、じゃあどっちが先にゴールに着くか勝負だっ」
「普通に一緒に入らないか?」
「却下、それじゃ楽しくないじゃん。さぁ、どっちが先行くか決めようぜ」
何言ってるんだよ、1人ずつ入った方が面白そうじゃん。きゃー怖ーいなんて抱き着くベタ展開は俺に求めてはいけません。
じゃんけんで吉良が先行に決まり、残念そうな背中を俺は笑顔で見送る。
さて、吉良がゴールするまでどう暇を潰すか。
お化け屋敷の前に突っ立ていても営業妨害なので、邪魔にならない場所に移動しかけた俺の死角からいきなり人影が現れた。
「蘇芳君」
「え?わっ!?」
黒髪ショートヘアに理知的なこげ茶の瞳。雨塚野乃。元生徒会副会長で唯一雪平先輩と対等に渡り合える女傑だ。
その実力は計り知れず、一部では信者もいるとかいないとか。
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