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11月
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しおりを挟む後夜祭ではしゃぎ騒ぐ声が遠くから聞こえてくる。
保健室のベットに元の制服に着替え横たわる俺の傍に雨塚先輩が座っている。
「傷、痛みますか?」
無表情ないつも先輩らしくない痛々しい顔で窺うのを、俺は大丈夫ですと微苦笑をする。
あの時、俺の上にいた男を思いっきり蹴り飛ばし現れたのは雪平先輩だった。
もう1人も抵抗する暇を与えず鳩尾に膝蹴りを喰らわし、俺の拘束を解いて優しく抱き締めてくれた。
俺と連絡がつかなくなった直後、吉良が先輩に連絡し探し回ってくれていたらしい。幸い連れ去られる様子を何人かが目撃しており人気の無い場所を絞ってあの現場に駆けつけてくれたそうだ。
俺を労わる雪平先輩に笑ってお礼を言ったら、何故か先輩の方が逆に表情を歪め泣きそうになっていた。
「前日の舞台が撮影禁止にしたにも関わらず、SNSにアップされ写真も裏で売買されていたんです。元締めはすぐに突き止め制裁をを加えたんですが、一部過激なコメント気になり警戒していたんです」
「そ、そうだったんですか」
せ、制裁って…。
「蘇芳君が気にする必要はありません。貴方に危害を加えたあの2人、他校の生徒だったんですけどね。2度と貴方の視界に入らないよう念を入れて徹底的に制裁しましたから」
「………。」
事情を説明する先輩の目が冷酷に光る。
内容は知らない方が幸せって事ですね。了解です。
それよりも言わなければならない事がある。
「雨塚先輩も雪平先輩も俺を心配してくれていたのに、こんな迷惑かけてしまってすいません」
「謝る必要はありません。悪いのはこちらです。貴方を負傷させてしまったのは私達の落ち度です」
「先輩…」
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