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11月
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しおりを挟むこんな吉良の姿を家族に見せるわけにはいかない。雨塚先輩がタクシーを呼んでくれたので、俺は自宅に吉良を連れ帰る事にした。
タクシーに乗る前に吉良のスマホを借りて今夜はこちらに泊まると、おばさんに連絡しておいたから、大丈夫。
明日は文化祭の代休のため、菜美は今日このまま友達の家に泊まる予定のため、この姿を見せずに済むのが幸いだ。
体格差はあるが何とか自室のベットに吉良を投げ込むのに成功した俺はリビングから救急箱を持って来る。
消毒と湿布を貼ってやるくらいしか出来ないが、やらないよりはましだろう。
「ほら、吉良こっち向け」
2人の間に入っ た俺を見て、雪平先輩は『興が冷めた』と一言呟き俺達がいなくなるまでその場から動かず留まっていた。
あれから吉良は一言も発しない。
今も消毒薬が染み時折顔を歪めるものの、黙って俺にされるがままにしている。
綺麗な水色の瞳は俺の顔を見ない。
会長に言われなくても俺が自分のせいだと主張しても、吉良は自身を責め続けている。
ここにくるまで何度も謝りたかった。でも、それは吉良を更に傷つける気がして言わなかった。
「ほら、制服脱げ」
相手が難色示すのを無視して無理矢理制服の上着を奪い、中のシャツをめくり上げる。
思った通り、腹部を中心に腫れが酷く痣だらけだった。
「バァーーーカ」
腹の底から言ってやる。
こんなんして、誰がよろこぶっつー
の!!
本当馬鹿、馬鹿の馬鹿の大馬鹿だっ。
「お前の自己満足を俺に押し付けんじゃねぇよ。この馬鹿!!」
無性に腹が立って俺は吉良の胸に顔を埋めた。
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