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12月
13
しおりを挟む情けないだろ?と笑って横を向けば吉良は唇を噛み締めて俯いていた。
「文化祭でお前がいなくなったのはそのせいか?」
「それは…」
「オレは凪沙を傷つけばっかりだったんだな」
気を引きたくてした事が逆に遠ざけようとしてたなんて。吉良はするりとベットから力無く床に腰を下ろす。
何でそこで凹むかなぁ言い方間違ったか?
俺が勝手な考えで逃げたって話なだけなのに。どうして、お前が背追い込もうするんだよ。
ああもう。なんのためにここまで連れて来たと思ってんだっ。
「ウザい」
「いだっ!?」
俺は苛立ち任せに直ぐそばのつむじに手刀をかました。
「ぐるぐる1人で考えんじゃねぇー、って俺前に言ったよな」
「だっ、それは」
「そりゃあ、今話した件に関しちゃ人の事言えないけど。お前は人の話をちゃんと聞いてたか?」
「痛いから、凪沙ストップ、やめてくれ」
顔を上げるまで手刀をかまし続け、後頭部をガードしつつ漸く俺に向けて顔を上げる。
全く手間のかかる。
なおも手刀をかますフリをし咄嗟に目を瞑った吉良の髪を撫でてやる。
「凪沙…?」
「菜美達と行かずに残ってまでお前に恨み言なんて面倒な事、俺がすると思うか?」
首を傾げて水色の瞳を覗き込めば、吉良は困惑が抜けきれない表情で躊躇いがちに小さく首を振る。
吉良のその仕草に俺は更に顔を近づける。
「俺はな面倒くさがりだから、心残りとかをそのまましておくのが嫌なんだよ。余計な感情を置きっ放しで別の場所に行くなんて」
考えただけでもやもやして苛々してくる。
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