ギャルゲーのはずが攻略対象外男子に好かれてます。

12月

14

 吐息がかかる程の近距離。吉良は俺の意図が読めずに動けずにいる。




「吉良」




 名を呼ぶ声が掠れてしまう。

 自分が思うより緊張しているようだ。

 心音が早く呼吸が乱れそうになるのが恥ずかしくて、懸命に堪える。




「俺はな、すっごい寂しがり屋なんだよ。それを口に出して言えないくらいに強情で」

「…うん」



 
 顔を逸らせないように震える指先で、吉良の頬に添える。





「面倒って一言で蓋して逃げる臆病者でさ」

「うん」




 吉良の手が俺の指を包み込むように、合わさる。

 他の誰かが見たら睦言交わしているかのように言葉を紡いでいく。




「側にいない奴に心を残していくなんて、辛いし寂しいのは嫌なんだよ」

「そんな風に考えてたのか」

「自分でも最近気づいたんだけどな」




 自嘲気味に目を伏せ口端が歪む。

 吉良や会長とのやりとりで見えて来た自分の心。

 嫌なものから逃げて目を逸らし、面倒で片付けて。

 辛いのが嫌だから無理矢理笑って誤魔化して、寂しいのが嫌だから面倒だと距離を取って逃げてたんだ。




「向こうに行ったら別の誰かを好きになるかもしれない。こんな俺でもお前は好きか？」




 目の前にいない奴より側にいる誰かを好きになるかもしれない。人の心は移ろいやすいから。

 不安に揺れる琥珀瞳を固くひんやりとした片手で覆われ、唇を優しく啄ばまれる。

 宥めるように優しく何度も触れるだけの口づけに胸がギュっと締め付けられる。




「…それってオレの耳には捨てないでって聞こえるんだけど。幻聴か？」




 目隠しされたまま耳朶に触れる唇と一緒に熱を孕んだ吐息を感じ、背中かからゾクゾクっとした未知の感覚に俺は思わず身震いしてしまった。

 おい吉良、人の反応を笑うんじゃないっ！！















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☆次回よりR18入ります。分けますが、出来れば一気に出したいので頑張ります_:(´ཀ`」 ∠):