ギャルゲーのはずが攻略対象外男子に好かれてます。

12月

エピローグ

 転校して1年が過ぎた。厳密に言えば1年と3カ月か。

 転校先でもそれなりに交友関係を持ち、俺は無事卒業した。




「凪沙ー、これどこに置けばいい？」

「キッチン関係は後から整理するから、そのダンボールはそこに置いて貰えるか？」




 現在、来月から通う大学近くのアパートで絶賛引っ越し中。

 俺と吉良は転校前に約束通り、同じ大学に合格し同居（汗）となりました。

 うん、それは良い。それは。




「…なぁ、吉良よ」

「どうした、何かあったか」

「ここ、2DKだよな」




 それがどうしたって顔をするな、家具は後から少しずつ選ぶ話だったはずだよな。




「何で真っ先に片方の部屋1番先にダブルベットが部屋に入ってんだよっ」

「凪沙と一緒に寝るために必要だろ　」

「…もう片方にベットは……」

「一緒に寝るのにいらないだろ？」




 首傾げても可愛さ表現出来なてなけりゃ、殺意わくぞ！！この1年でまた成長しやがって、俺なんて微々たるものだぞコンチクショー（泣）

 大体互いのプライベート確保のため2部屋あるのに、い、一緒に寝るとか意味ないじゃんか。




「これからは一緒にいられるし凪沙に寂しい思いはさせないからな」




 ああ、なんて清々しい王子スマイル（エフェクト付き）。

 寂しい言う前に拷問ですよ。毎日寝起きイケメンの刑ですよ。一部の女子しか喜ばん。

 俺は諦めて手近にあった段ボール箱に手をかける。それが自分の私物ではなく吉良の私物だったのに気づいたのは中を見てからだった。

 中に入っているものを目にし、俺の顔は見る見る赤く染まる。




「あ」




 それに気づいた吉良が声を上げたが、もう遅い。




「…やっぱり俺もベット買うわ」

「いや、そのっ、それは違うー」

「何が違うんだよ何この用意周到さは！？」




 ローション、避妊具、ローター、大人の玩具…。用途のベクトルが自分だと思うと眩暈がするわっ！！！




「い、いざと言う時無いと困るから」

「言い訳無用！このむっつり変態スケベ王子がっ！！！」




 新生活初日から俺の不穏な怒鳴り声が大きく響き渡ったのだった（泣）