93 / 102
番外編
初夜?①
しおりを挟むー引っ越しから1週間後。
荷物の片付けも終わり、後は大学の入学式を待つだけとなったある日の夕食。
「吉良、メシだぞー」
「今行くから、ちょっと待って」
自室から何やら片付ける音がして、慌ただしく吉良が夕食の席にやって来た。
ちなみに吉良の自室はダブルベットがある方ね。俺は俺でちゃんとあの後、部屋にシングルベット買いましたよー。
…使ってないけどね(泣)
吉良の必殺王子様スマイル(エフェクト付き)のおねだりには敵わなかったっ。
おかげで起床時心臓に悪いです。俺が早死にしたら、絶対吉良のせいだ。
まあ、それはいったん置いといて。夕食だ、夕食。
「凪沙何だか機嫌いいな」
「分かるか?」
「いつもよりにやけてる」
ふっふっふ。それは仕方ないのだよ吉良君よ。
「実はさー、珍しい食材が手に入ったんだ」
俺は吉良の前にジャーン(自分で効果音)と、その食材を見せた。さあ、驚け吉良!!
シーン…。
あれ、無反応?驚き過ぎて固まったか?
「…凪沙。聞いていいか」
「何?」
首を傾げる俺に、吉良は申し訳なさそうに眉を下げる。
「これ、何?」
「アカモク」
「はい?」
「だから、アカモク。今密かに人気で手に入らないんだぞ」
アカモクとは、ある特定の沿岸地域で採れる海藻の一種で中性脂肪や高血圧にいいらしい。昔はジャマモンって言って地元の人は捨ててたんだって。
「今じゃ健康食品として人気で、注文しても数ヶ月待ちらしいぞ」
「それ、誰情報?」
「下の階の奥さん。親戚から送られて来たからって貰った」
「いつの間に…」
伊達に元ギャルゲーの主人公(笑)じゃないんだぞ、吉良君。ご近所づきあいは大事ですよ。
「基本味しないから。とにかく食べて」
「いただきます」
味噌汁や卵焼きに混ぜて食べてね、って言われたので今日は味噌汁の具材にしました。
黙々と箸を進める吉良。
んん?いつもなら、すぐに感想言うのにおっかしいなぁ。そういやアカモクにばかり気を取られてたけど、さっきから妙にそわそわしてないか?
「…吉良、何か俺に隠してないか?」
ガシャン。
はい、当たりー。分かりやすいよ、吉良さんよ。
床に落ちた箸をあたふたと拾い上げる吉良を、俺はジト目で見る。
「素直に言え、そしたら許す」
俺の言葉に顔を真っ赤にした吉良は、何度か口を金魚のように開閉してから、消え入りそうな声を出す。
「あ、あのな、凪沙。引っ越しも落ちついただろ。だから、なっ、」
「だから、何?」
「…………そろそろ、お前を抱きたいんだけど」
ガシャン。
今度は俺が箸を落とす番だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
引っ越しシーズンなので、忘れかけた頃に書いてみました(^^;;
別の作品があるので、続きはいつになるか微妙です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染
海野
BL
唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。
ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる