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番外編
閑話 ある穏やかな昼下がりにて。
しおりを挟む眠い、ひたすら眠い。
暖かな陽気に誘われて、たまには外で読書でもと庭に出て見たけれど、読み始めてほんの数ページで目蓋が重くなって来た。
いつもは何かしら忙しくて眠くなる暇すらないが、こんな日に眠気に襲われたら、もう駄目だ。
でも、せっかくこんなに気持ち良い日に寝てしまうのは、勿体無いな。
けれど、気持ちとは裏腹に思考はどんどん眠りの世界に落ちていく。開いたページの内容がこれっぽっちも入っていかない。
十五分。そうだ十五分だけ目を閉じよう。
自分にそう言い聞かせ、木陰に横になった僕はストンと眠りに落ちて行った。
…あったかい。凄く安心する。
夢現の中で寄り添う優しい温もりに、口元が思わず綻ぶ。
陽の光とは違う、染みるような温かさに自ら身体を擦り寄せればクスリと小さな笑い声とともに、僕の頭を誰かが撫でる。
まるで猫になった気分だ、気持ち良いなぁ。
手は僕の髪の感触を存分に楽しんでから肩にまわり、抱き込むように自分の方へ引き寄せた。
更に密着した肌から伝わる熱が心地よい。
僕、今度生まれ変わるなら、絶対猫が良いな。自由気ままに歩き回って、暖かい日にはこうして日向で優しいご主人様に膝に乗せて貰うんだ。
考えただけで胸の中までポカポカして、幸せな気分になってくる。
ふにゃり笑う目元に、指ではない柔らかな少し冷たい何かが触れた。
「おやすみ、アル」
何かが小さく呟き、離れていく。
うん。お休みなさい。
夢の中でちゃんと言えたか分からないが、僕は呟きにそう返した。
あったかくて優しい、ちょっとだけ切なく泣きたくなるような、そんな夢。
目が覚めるのが何だか怖くて、縋り付くように深い眠りにその身を委ねて行った…。
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☆眠気は罪ですねー、本当に思考が働かないσ(^_^;)
応援ありがとうございます!
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