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チャプター4 サンドクリークの戦い #3
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モヒカン姿のメタルヘッズが、奇声を上げてギター型の斧でスリーピ-スのスーツを着込んだ、マルティニ社の兵士を殴りつけていた。
BLAME! そのモヒカン頭を裸馬に乗った少女が、ソードオフショットガンで吹き飛ばす!
リベルタを先頭とした難民の軍団が、街の中央通りを真っ直ぐに駆け、ただの暴徒と化したメタルヘッズ達を、あるものは銃で、あるものは弓矢で、あるものはブレードで次々と屠っていった。
「た、助かった…… あんた達はどこの部隊だ?」
彼女らを友軍と勘違いしたマルティニ社の兵士が問うた。
「あたしたちは…… 独立部隊よ 戦えるなら立ち上がって! ダレル社の奴らを追い出そう!」
男は分けのわからぬまま銃を手に難民軍に加わった。
それはなんとも奇妙な光景であった。
空からはギター型の宇宙船や、スパイキーな髪型のメタルヘッズがウイスキー片手に操縦するヘリが砲撃を仕掛け、それをスーツ姿の男達がタバコを咥えながらコレを迎撃する。
そして大通りをニンジャとカウボーイスタイルの少女が我が物顔に馬で走りぬけていくのだ。
集団の前に飛来したダレル社のドクロ型ヘリの中から、スコープ付きショットガンで銃撃する、サングラスの男を少年ニンジャの矢が射抜く。
「グリップ君出力最大!」
「OK!」
リベルタは銃を両手で保持し、スカルヘリに狙いを定めた。馬もよろめくほどの反動と共に超加速された弾体がヘリを真っ二つに引き裂く。
「イッピー!!」
「やるなカウガール ワタシも負けてられんな」
ZERO-NEMOが馬から飛び降り、前方で道を塞ぐメタルヘッズの群れへと突き進む。
当然、猛烈な銃火にさらされるが、雷のごとく鋭角で不規則な軌道で突進するZERO-NEMOを彼らは捉えきれない。
マルティニ社の統率された兵士であれば、点ではなく面への射撃でこれに抗することが出来たであろう。
しかし、ヘヴィメタルをキメ過ぎたメタルヘッズ達には、高度な戦略などあろうはずもないのだ。
瞬く間に敵陣へとたどりついたZERO-NEMOがブレードを閃かせ、コマの用に回転しながら敵を切りつける!
阿鼻叫喚のグラインド・ゴアマシンと化したニンジャは、僅か数秒の内にダレル社の集団を沈黙させてしまった。
「あんたもやるじゃん」
「俺たちもいくぞ!俺たちの街を守るんだ!」
後続の難民集団も拾った銃や弓矢を手に敵へと襲い掛かる。最早その勢いを止める者は無く、次々に道を突破していく。
通り沿いの建物からはマルティニの兵士や市民たちから歓声が起こっていた。
そしてついに、彼らはマルティニ社の巨大オフィスビルまで到達した。
ビルを攻撃するダレル社の主力部隊を、オフィスを守るマルティニ兵士とリベルタとで挟撃する形となった。
「お、おいなんだ? 向こうで何が起こってる?」
ウィリアムは真空管ピストルを撃ちつつ、敵の異変に気が付いた。
それまでブラストビートのごとく叩きつけられていた猛攻が弛み、明らかに浮き足だっていた。
「ウィリアム部長! 味方よりライン通信です! スラムの市民が少女を先頭に突撃中!
現在オフィスの正面100メートルで、ダレル社部隊と戦闘しているとのことです!」
「なにっ!? スラムの連中が? それにその少女とは、もしやドレッドホークの娘か!?」
「部長! あれを見てください!」
兵士に促され、ウィリアムが双眼鏡を向けたその先には、馬を駆り銃を撃ち鳴らす、カウボーイならぬカウガールの姿が映った。
それは窮地に立たされた男にとって女神の騎兵隊に映ったことであろう。
ウィリアムは震える手で双眼鏡を外し、鼻から大きく息吐いた。
安堵と興奮と疑念の入り混じった複雑な表情で彼は部下に命じた。
「今こそ反撃の時だ! Who Dares Wins!!」
合図と供に生き残ったマルティニ兵が一斉に銃撃を開始する。
戦いの趨勢は決したかに見えた。最早ダレル社のメタルヘッズは完全にその勢いを失い、次々と銃撃に倒れていく。だが……
「ロックンロールは不滅だ! 決して倒れることは無い!!」
一人のメタルヘッズが確信に満ちた顔で拳を突き上げて叫ぶ。そうとも、ロックンロールは滅びない。
ならばロック概念である俺たちも滅ぶことは無い。
ヘッズたちの頭上にその意思の結実たる存在が飛来する。それは空気を震わせ、躍動させる重鉄の意思。
空を飛ぶV字ギター型宇宙船が、重低音と電撃を発しロックンロールの敵を阻んだ。
巨大ギターからほとばしる猛烈な雷光はリベルタたち一行の足も止めた。
「あれをどうにかしないと皆やられる!」
「ドうにカってどうする気なんだ?」
<<ワタシのブレードを使おう>>
リベルタとAIの会話にZERO-NEMOが無線通信で割って入った。
「ブレードって、あれ戦闘用の船よ? あれのバリアを剣で斬るつもりなの!? バラバラにされるよ!」
<<他に方法は無い>>
その時、巨大ギターから数十のギターピック型ミサイルが射出され、周囲の建物ごと、敵味方問わず吹き飛ばしていく。
ロックンロール・サイコパスには一切のルールや倫理は通用しない。
彼らにあるのはただひたすらな破壊の衝動だけなのだ。
<<時間が無い ワタシが奴のバリアをこじ開ける そこをお前の銃で撃てカウガール>>
「アイツ、死ヌ気だゾ! 正気か!?」
「くそッ! グリップくん出力全開にして!」
ZERO-NEMOは建物の屋上にいた。周囲には切り刻まれたダレル社のメタルヘッズたちの死体が散乱している。
ほとんどの者が一太刀で体を真っ二つにされていた。
ニンジャは屋上の中央に正座し、集中していた。
自ら命を絶つ。しかし少しでも迷えば力は出しきれず、命を失った上に事を成せず犬死である。
ならばただ前に進むべし!
「臨兵闘者 皆陣列前行……」
神秘的な九つのムドラを音と共に手で示す。一切の迷いを断ち切るための、タタラ社に伝わる神聖なる儀式である。
今ニンジャは己の全てを捨て、剣の概念となろうとしていた。
「知恵捨てぃ!」
叫び声と共にZERO-NEMOの赤いモノアイが一際強く輝き、そしてブレードを抜いて駆け出した。捨てるものも拾うものも何も無い。あとはただ斬るのみ!!
ZERO-NEMOがまさに建物から飛び上がらんとした次の瞬間、ビルほども巨大な手裏剣がギター型宇宙船を貫き、爆散した。
BLAME! そのモヒカン頭を裸馬に乗った少女が、ソードオフショットガンで吹き飛ばす!
リベルタを先頭とした難民の軍団が、街の中央通りを真っ直ぐに駆け、ただの暴徒と化したメタルヘッズ達を、あるものは銃で、あるものは弓矢で、あるものはブレードで次々と屠っていった。
「た、助かった…… あんた達はどこの部隊だ?」
彼女らを友軍と勘違いしたマルティニ社の兵士が問うた。
「あたしたちは…… 独立部隊よ 戦えるなら立ち上がって! ダレル社の奴らを追い出そう!」
男は分けのわからぬまま銃を手に難民軍に加わった。
それはなんとも奇妙な光景であった。
空からはギター型の宇宙船や、スパイキーな髪型のメタルヘッズがウイスキー片手に操縦するヘリが砲撃を仕掛け、それをスーツ姿の男達がタバコを咥えながらコレを迎撃する。
そして大通りをニンジャとカウボーイスタイルの少女が我が物顔に馬で走りぬけていくのだ。
集団の前に飛来したダレル社のドクロ型ヘリの中から、スコープ付きショットガンで銃撃する、サングラスの男を少年ニンジャの矢が射抜く。
「グリップ君出力最大!」
「OK!」
リベルタは銃を両手で保持し、スカルヘリに狙いを定めた。馬もよろめくほどの反動と共に超加速された弾体がヘリを真っ二つに引き裂く。
「イッピー!!」
「やるなカウガール ワタシも負けてられんな」
ZERO-NEMOが馬から飛び降り、前方で道を塞ぐメタルヘッズの群れへと突き進む。
当然、猛烈な銃火にさらされるが、雷のごとく鋭角で不規則な軌道で突進するZERO-NEMOを彼らは捉えきれない。
マルティニ社の統率された兵士であれば、点ではなく面への射撃でこれに抗することが出来たであろう。
しかし、ヘヴィメタルをキメ過ぎたメタルヘッズ達には、高度な戦略などあろうはずもないのだ。
瞬く間に敵陣へとたどりついたZERO-NEMOがブレードを閃かせ、コマの用に回転しながら敵を切りつける!
阿鼻叫喚のグラインド・ゴアマシンと化したニンジャは、僅か数秒の内にダレル社の集団を沈黙させてしまった。
「あんたもやるじゃん」
「俺たちもいくぞ!俺たちの街を守るんだ!」
後続の難民集団も拾った銃や弓矢を手に敵へと襲い掛かる。最早その勢いを止める者は無く、次々に道を突破していく。
通り沿いの建物からはマルティニの兵士や市民たちから歓声が起こっていた。
そしてついに、彼らはマルティニ社の巨大オフィスビルまで到達した。
ビルを攻撃するダレル社の主力部隊を、オフィスを守るマルティニ兵士とリベルタとで挟撃する形となった。
「お、おいなんだ? 向こうで何が起こってる?」
ウィリアムは真空管ピストルを撃ちつつ、敵の異変に気が付いた。
それまでブラストビートのごとく叩きつけられていた猛攻が弛み、明らかに浮き足だっていた。
「ウィリアム部長! 味方よりライン通信です! スラムの市民が少女を先頭に突撃中!
現在オフィスの正面100メートルで、ダレル社部隊と戦闘しているとのことです!」
「なにっ!? スラムの連中が? それにその少女とは、もしやドレッドホークの娘か!?」
「部長! あれを見てください!」
兵士に促され、ウィリアムが双眼鏡を向けたその先には、馬を駆り銃を撃ち鳴らす、カウボーイならぬカウガールの姿が映った。
それは窮地に立たされた男にとって女神の騎兵隊に映ったことであろう。
ウィリアムは震える手で双眼鏡を外し、鼻から大きく息吐いた。
安堵と興奮と疑念の入り混じった複雑な表情で彼は部下に命じた。
「今こそ反撃の時だ! Who Dares Wins!!」
合図と供に生き残ったマルティニ兵が一斉に銃撃を開始する。
戦いの趨勢は決したかに見えた。最早ダレル社のメタルヘッズは完全にその勢いを失い、次々と銃撃に倒れていく。だが……
「ロックンロールは不滅だ! 決して倒れることは無い!!」
一人のメタルヘッズが確信に満ちた顔で拳を突き上げて叫ぶ。そうとも、ロックンロールは滅びない。
ならばロック概念である俺たちも滅ぶことは無い。
ヘッズたちの頭上にその意思の結実たる存在が飛来する。それは空気を震わせ、躍動させる重鉄の意思。
空を飛ぶV字ギター型宇宙船が、重低音と電撃を発しロックンロールの敵を阻んだ。
巨大ギターからほとばしる猛烈な雷光はリベルタたち一行の足も止めた。
「あれをどうにかしないと皆やられる!」
「ドうにカってどうする気なんだ?」
<<ワタシのブレードを使おう>>
リベルタとAIの会話にZERO-NEMOが無線通信で割って入った。
「ブレードって、あれ戦闘用の船よ? あれのバリアを剣で斬るつもりなの!? バラバラにされるよ!」
<<他に方法は無い>>
その時、巨大ギターから数十のギターピック型ミサイルが射出され、周囲の建物ごと、敵味方問わず吹き飛ばしていく。
ロックンロール・サイコパスには一切のルールや倫理は通用しない。
彼らにあるのはただひたすらな破壊の衝動だけなのだ。
<<時間が無い ワタシが奴のバリアをこじ開ける そこをお前の銃で撃てカウガール>>
「アイツ、死ヌ気だゾ! 正気か!?」
「くそッ! グリップくん出力全開にして!」
ZERO-NEMOは建物の屋上にいた。周囲には切り刻まれたダレル社のメタルヘッズたちの死体が散乱している。
ほとんどの者が一太刀で体を真っ二つにされていた。
ニンジャは屋上の中央に正座し、集中していた。
自ら命を絶つ。しかし少しでも迷えば力は出しきれず、命を失った上に事を成せず犬死である。
ならばただ前に進むべし!
「臨兵闘者 皆陣列前行……」
神秘的な九つのムドラを音と共に手で示す。一切の迷いを断ち切るための、タタラ社に伝わる神聖なる儀式である。
今ニンジャは己の全てを捨て、剣の概念となろうとしていた。
「知恵捨てぃ!」
叫び声と共にZERO-NEMOの赤いモノアイが一際強く輝き、そしてブレードを抜いて駆け出した。捨てるものも拾うものも何も無い。あとはただ斬るのみ!!
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