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ストレプトカーパスの花
58.幸福を告げる
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ちょっと頭がぽわぽわする。
失敗した。飲み過ぎだ。大失敗だ。こんな場で。
ホントにまだ大丈夫なんだけど、顔に出るくらいには酔ってしまったらしい。
周りに心配をかけて、迷惑をかけてしまった。
詰め込まれたタクシーの中で反省する。
言い訳させて欲しい。限界だったんだ。薫くんと一緒の空間に居て、彼はきょろきょろ僕のことを探していて、それにあらぬ期待をしてしまう自分が嫌になって、飲まずにはいられなかったんだ。
「主税、まさか引っ越したりしてないよな」
怒ったような声が聞こえる。
ゆっくり頷くと薫くんは運転手さんに目的地を告げて、身体ごと僕の方を向いた。
タクシーがするする動き出す。
少しの沈黙が落ちる。
「…心配してた。凄く」
口を開いた薫くんがそう言って切なそうに眉根を寄せるもんだから、抑えきれない感情に僕の胸がまたきゅんと疼く。
やめて。期待するから。僕はまだ心を律せるほど立ち直れてないんだ。
胸が苦しくなって蹲ると薫くんが慌てたように僕の背中を抱いた。
「だ、大丈夫か?苦しい?」
我慢できずに、小さく頷く。
苦しいよ。ホント。やっと少しだけ立ち直れてきたかと思ってたのに。また1からだ。
「かおるくんにあうと、くるしい」
堪えきれない感情が溢れ出してしまう。
僕がそう呟くと、薫くんはくっと息を詰めて僕の背中を撫でた。
その手が優しくて、馬鹿な僕はまた期待をしてしまう。
抑えられないんだ。自分じゃどうしようもできないんだ。ただでさえちょっと酔っていて、理性が弱くなってしまっている。
「…でも、俺は会いたかった」
突然、薫くんが囁くように言った。
びっくりして思わず顔を上げると、ちょっと熱っぽく潤んだ目と目が合った。
「それ…、どういう…」
意味?と聞こうとしたときに、タクシーが僕の家に着いた。
部屋の電気を点ける。眩しさにちょっと目が眩んだ。
別に足に来てるわけじゃないんだけど、薫くんは僕を支えてソファまで案内した。
窓際に置いたカランコエが僕を見ている。
「水持ってくる。座っといて」
薫くんはまるで自分の家のように言って僕を座らせて、冷蔵庫へ向かう。
僕はさっきの言葉の意味を掴みかねていてそれどころじゃなかった。
彼は「会いたかった」と言った。僕に?何で?
もしかして。もしかしたら。また期待で胸がきゅんきゅん疼いた。
これ以上は駄目だ。立ち直れなくなってしまう。
「ほら、飲め」
水が注がれたグラスを差し出されて、一口飲む。冷たい水が喉を通るのが心地いい。ぽわぽわしていた頭が少しすっきりした。
それでも酔いは残っていて、どくどくと心臓が脈打っている。
グラスをテーブルに置いて改めて薫くんの顔を見上げるとその心配そうな視線に箍が外れた。
「薫くん、…会いたかった…」
零れてしまうと、我慢できなかった。
会いたかった。凄く。立ち直ったつもりでこらえてたけど、君のことを考えない日はなかった。
「ホントはね、今日、期待してたんだ。君に会えるかもって。一目会えたらって」
まさかこんなことになるとは思ってなかったけど。
息苦しくなってきてネクタイを緩める。はぁ、と息を吐くと、するすると言葉が出てきた。
「一方的に連絡するななんて言っといて、未練がましくてごめん」
あの日のことを沢山後悔した。もっと他になかったのかって。
でも、あの時は本当に苦しくて、薫くんの顔を見るだけで涙が零れそうで、とても会話ができる状態じゃなかった。
薫くんは辛そうな顔をして僕を見つめている。
高まりすぎた期待は、僕の中の気持ちをどんどん押し出してしまう。
「でも、…君が好きなんだ」
あの時言えなかった言葉。言葉に出すと胸が締め付けられた。
そうじゃない、これだけじゃ伝えきれない。
「友達じゃ満足できない。抱きしめて、キスして、…抱きたいと思ってる」
そこまで零したところで、強引に唇を塞がれた。
失敗した。飲み過ぎだ。大失敗だ。こんな場で。
ホントにまだ大丈夫なんだけど、顔に出るくらいには酔ってしまったらしい。
周りに心配をかけて、迷惑をかけてしまった。
詰め込まれたタクシーの中で反省する。
言い訳させて欲しい。限界だったんだ。薫くんと一緒の空間に居て、彼はきょろきょろ僕のことを探していて、それにあらぬ期待をしてしまう自分が嫌になって、飲まずにはいられなかったんだ。
「主税、まさか引っ越したりしてないよな」
怒ったような声が聞こえる。
ゆっくり頷くと薫くんは運転手さんに目的地を告げて、身体ごと僕の方を向いた。
タクシーがするする動き出す。
少しの沈黙が落ちる。
「…心配してた。凄く」
口を開いた薫くんがそう言って切なそうに眉根を寄せるもんだから、抑えきれない感情に僕の胸がまたきゅんと疼く。
やめて。期待するから。僕はまだ心を律せるほど立ち直れてないんだ。
胸が苦しくなって蹲ると薫くんが慌てたように僕の背中を抱いた。
「だ、大丈夫か?苦しい?」
我慢できずに、小さく頷く。
苦しいよ。ホント。やっと少しだけ立ち直れてきたかと思ってたのに。また1からだ。
「かおるくんにあうと、くるしい」
堪えきれない感情が溢れ出してしまう。
僕がそう呟くと、薫くんはくっと息を詰めて僕の背中を撫でた。
その手が優しくて、馬鹿な僕はまた期待をしてしまう。
抑えられないんだ。自分じゃどうしようもできないんだ。ただでさえちょっと酔っていて、理性が弱くなってしまっている。
「…でも、俺は会いたかった」
突然、薫くんが囁くように言った。
びっくりして思わず顔を上げると、ちょっと熱っぽく潤んだ目と目が合った。
「それ…、どういう…」
意味?と聞こうとしたときに、タクシーが僕の家に着いた。
部屋の電気を点ける。眩しさにちょっと目が眩んだ。
別に足に来てるわけじゃないんだけど、薫くんは僕を支えてソファまで案内した。
窓際に置いたカランコエが僕を見ている。
「水持ってくる。座っといて」
薫くんはまるで自分の家のように言って僕を座らせて、冷蔵庫へ向かう。
僕はさっきの言葉の意味を掴みかねていてそれどころじゃなかった。
彼は「会いたかった」と言った。僕に?何で?
もしかして。もしかしたら。また期待で胸がきゅんきゅん疼いた。
これ以上は駄目だ。立ち直れなくなってしまう。
「ほら、飲め」
水が注がれたグラスを差し出されて、一口飲む。冷たい水が喉を通るのが心地いい。ぽわぽわしていた頭が少しすっきりした。
それでも酔いは残っていて、どくどくと心臓が脈打っている。
グラスをテーブルに置いて改めて薫くんの顔を見上げるとその心配そうな視線に箍が外れた。
「薫くん、…会いたかった…」
零れてしまうと、我慢できなかった。
会いたかった。凄く。立ち直ったつもりでこらえてたけど、君のことを考えない日はなかった。
「ホントはね、今日、期待してたんだ。君に会えるかもって。一目会えたらって」
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でも、あの時は本当に苦しくて、薫くんの顔を見るだけで涙が零れそうで、とても会話ができる状態じゃなかった。
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高まりすぎた期待は、僕の中の気持ちをどんどん押し出してしまう。
「でも、…君が好きなんだ」
あの時言えなかった言葉。言葉に出すと胸が締め付けられた。
そうじゃない、これだけじゃ伝えきれない。
「友達じゃ満足できない。抱きしめて、キスして、…抱きたいと思ってる」
そこまで零したところで、強引に唇を塞がれた。
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