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第2話 巨大な異世界
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「・・・・!」
「・・・・!?」
どこからか声が聞こえてくる・・・
「おい・・・」
「まさか、妖精か・・・?」
うん・・・?
うるさいわね・・・・
「こんな人里の中に妖精が来るかな?」
「でも、それしか考えられねえだろ。」
ちょっと・・・うるさいわよ・・・
まだ、ねむいんだから・・・
「でも、妖精にしちゃ羽がないな?」
「ほんとだ・・・亜種かな?でも、すげえ綺麗だ・・・」
もう、なによ・・・誰?お母さん?
部活はもう引退しているんだから、まだ寝かせておいてよ・・・
・・・
ん!?・・・お母さん?
風邪でもひいたのかな?隨分野太い声・・・
「ねえ、ちょっと触ってみようよ」
「そうだな・・・生きてんのかこいつ?」
つんつん
ちょ・・・痛い、なに?
「うお、やわらけぇー・・・・。でも、適度に弾力もあって良い・・・」
「マジかよ!俺にも触らせろ」
つんつん
「ほんとだ・・・俺ちょっと感動したわ」
「・・・妖精って良い身体してんだね・・・」
痛いのよ!なに?グーで起こそうとしてんのよ?
もう我慢できない!
「ちょっと、痛いわよ!!」
そう叫んで私は飛び起きた。
「うわっ!」
「しゃっ・・・しゃべったあ!!」
え・・・・・・・・・・・・なに!!!???
なに、これ!!!!?
目の前のあまりにも予想外な状況に私は大いに混乱した。
さっきまでの眠気なんて全て吹き飛んだ。
すぐ私の目の前には呆気にとられた男がいた。
腰を抜かして、後ろにのけぞっている。
だ・・・誰!?
だが、そんなことより、もっと重要なことがあった。
男の様子が明らかにおかしい!
大きすぎる・・・!!!!?
目の前にいる男は私の視界いっぱいを占有していた!
こちらを見ている顔の大きさだけでも私の身体以上の大きさがあるようだ。
私も女子では体格は大きい方だが、そんなレベルの大きさではなかった。
普通の人間の何倍もでかい、まさに巨人だった!!
よく見ると隣にも誰かいる・・・
「こっ・・こいつ今しゃべったよな!」
「あ・・・ああ、間違いねえ・・・」
隣にいる男も目の前にいる男と同じくらい大きな体躯を持っている。
二人とも呆気にとられている様だ。
だが、それはこっちも同じだ。
なに?なに?なに?なに?なに?
どうなってんのよ!???これ??????
なんなの?この巨人は!?
私いまどうなってんの!?
状況が全く分からないんだけど!!??
余りにも驚くと声が出なくなるという話を聞いたことがあるが、
私の今の状況がそれだった。
頭の中の時間が完全に停止している。
真っ白だった。
目の前の巨人を認識しているし明らかに今の状況が異常だというのは分かっている。
私がいる。
目の前に巨人がいる。
お互い驚いている。
だが、そっから先が進まない。延々とこの思考がループしている。
状況が把握できたとしても、その理由が全く思いつかないのだ。
余りにも突飛な状況に遭遇していて、思考に集中出来ない。
このまま永遠に思考のループが続くかと思われた。
ところがそんな中、呆気に取られていた私の手から何かがこぼれ落ちた音がした。
パサりっ
それは巻物だった。
まきもの?
なんだっけこれ?
なんか見覚えがある・・・
私はそれを拾って眺めてみた。
・・・・まきもの・・・・巻きもの・・・巻物・・・・・
はっ!!!!
その瞬間ふっと思い浮かんだものがあった。
ま・・・
まさか・・・
これって・・・・・
この状況って・・・・
でも、それしか考えられない・・・
「おい、おまえ!」
ビクっ!
突然目の前の巨人から大きな声で話しかけられた。
ちょっと・・・びっくりさせないでよ!・・・
「喋れるんだろ?なんなんだお前は!」
キ~ンと耳に響いた。
もう!
あんまり大きい声で喋らないでくれる・・・?
耳に響くんだけど・・・
大体、なんなんだお前という台詞はこっちの台詞よ。
本当はすぐそう聞き返したいところだけど・・・一瞬躊躇した。
もし、私の想像が正しければ、ここは私の知っている世界ではない。
彼らの身なりからしてもそれは明らかだ。
とても現代日本とは思えない、粗末な服装を着ている。
年は2人とも20代後半から30代前半といったところ。
くたびれた上着に薄汚れたシャツ、長ズボンに腰巻を付けている。
履いている靴もボロボロだ。とても裕福な人達だとは思えなかった。
顔も明らかに日本人ではない。
西洋の国に近いかな?人種を聞かれても困るけどさ。
それに直感的にだけど、あんまりこの人たちと関わりたくない気がする。
なんとなくだけど嫌な感じがする・・・
相手を威嚇するようなこの態度といい、ギラ付いた目付きといい、良い印象は受けない。
だけど、この状況だと・・・変に波風立てたくないな。
どうしようか・・・
「おい!聞こえないのか!?」
「うるさいわね!!聞こえているわよ!!!」
逆切れした。
無理。
私の性格上大人しくやるなんて無理だわ。
でも、そのおかげで相手も怯んだみたい。
「おっ・・おう聞こえているんならいい」
「兄貴・・・気が強い、妖精だね・・・」
一瞬怯んだ後、2人して何かこそこそと話している。
取り合えず、少しはこれで会話の主導権奪えそうね。
普通なら、自分より圧倒的に大きい巨人を相手にすれば怖くてこんな威嚇のようなことは出来ない。
だけど、この2人は私が飛び起きた時にびびって腰を抜かしていた。
強く出ればもしかしたら・・・って思ったけど、成功した様ね。
ちょっと余裕が出来たので、辺りを見回してみた。
ここはどこかの広場だろうか?
すぐ近くに噴水が見える。
子連れの親子の姿や、杖を突いた老人。子供たちがキャーキャーと遊んでいる姿なんかが見えた。
いずれも全員巨人だった。大人は私の体格の十倍はあるだろう。
巨人の世界なの?ここは?
それともあるいは・・・
そう考えている内に目の前の巨人たちはすぐに調子を取り戻したようだ。
そして、兄貴と呼ばれた男が私に話しかけてきた。
「おめえ・・・妖精か?」
私は少し考えた後、回答した。
「・・・そうよ」
「やっぱりそうか!なんでこんなところにいる?なんでおめえはしゃべれるんだ?」
「私は妖精王様によって特別に作られた存在なの。今はここで妖精王様を待っていたところなのよ。」
完全な口からの出まかせだった!
だけど、ファンタジーだったら何でもありでしょ?
相手は妖精とやらの事をよく知っていないようだし、思いついた事を適当に言っても信じるかもしれない。
それに騙しだましの腹の探り合いは無理だが、こういう大はったりだったら行けるかも・・・
この場を切り抜けられるんだったら私は何でもやるつもりだった。
「ようせいおう・・・?」
「そうよ。私達妖精たちの主よ。」
目の前の巨人たちはお互い顔を見合わせた。
妖精王の存在を疑っているんだろう?
兄貴と呼ばれた巨人が再度私に尋ねてくる。
「聞いたことないんだが?そんな奴が本当にいるのか?」
「いるわよっ!失礼ね!私の存在がその証拠じゃない。こうやってしゃべる妖精が他にいる?」
「まあ、いい。でっ、なんで?ここにその妖精王とやらが来るんだ?」
よしっ!掛かったわね!
その質問を待ってたわ。
「・・・・ふう、騒ぎになるから、ほかの人に黙っていてくれることは出来る?」
私は、凄い勿体付けるように話した。
「・・・おう約束しよう」
嘘ね・・・しらじらしい。
まるで、信用できない回答だった。
はったり言っている私が言える筋合いじゃないけど。
「実はね、この街に大魔王の軍勢が攻めてくるのよ・・・」
「・・・・は?」
目の前の巨人は再度呆気に取られているようだった。
私はそれに構わず続けた。いかにも焦っている風を装って。
「妖精王様は魔王の軍勢からこの街を守ろうとしている。でも、敵は圧倒的な軍勢。この街を守り切れるか分からない・・・」
「だから、2人だけでも早く逃げて!私は一刻も早く妖精王様をお迎えしなきゃならない!!」
うーん、我ながらなかなかの演技・・・
しかし、ちょっと突拍子もなかったかな?
でも、大魔王と言うワードは無視できないはず。
特に小心者のこの2人ならちょっと疑ったとしても、とりあえず命を優先して逃げようとするはず。
だから、ほら・・・早く逃げなさいよ・・・
そう期待して私は待っていたのだけど・・・
「くくくっ・・・・」
んっ?笑っている?
「・・ふふふ、・・・ははははは」
・・・なに笑っているのよ?
魔王よ?まおう、大魔王。
怖くないの?
この世界って確か大魔王に侵略されているんじゃなかったっけ?
「ははは・・・はぁ、よりによって大魔王かよ!えっ妖精さんよ。おまえ、嘘が下手だな!」
えっ?何?なにかおかしかったの?
「今日日子供でもそんな童話は信じないぞ?子供だましにもほどがあるわ!」
あれ?なんでよ!?
だが、今はそれを考えるより、奴にはったりを信じさせないと・・・
「嘘じゃないわよ!!信じて!!もう近くに迫ってきているのよ!すぐに逃げないと手遅れになる!」
私は必死になって危機をアピールした。
しかし・・・
「おまえ、バカじゃねえのか?魔王軍とか誰がそんな与太話信じるよ!!つくならもっとマシな嘘つけや!」
相手もかなりヒートアップしていた。まともに取り合ってもらえない。
そして、お互い大声で叫ぶ形になってしまったせいか、いつの間にか周囲の関心を呼んでいた。
もっとも私は噴水の陰に隠れてしまっていたので、周りから姿は見えてなかったと思う。
騒ぎを聞いて、周りの人が寄ってきていた。
「どうかしましたか?」
初老に入ったプリーストらしき人が近くまで寄ってきて話しかけてきた。
助かった・・・、この2人より信用できそうだ・・・
私はこの状況から脱却できると思い安堵した。
しかし、そう思った次の瞬間・・・
突然私の目の前に巨大な手のひらが襲ってきた!!
余りにもいきなりな急襲だった!
だめ・・・・!避けられない・・・!
手のひらは、避けようとする私を無造作に掴み強引に私を攫っていった。
それは余りにも暴力的な力の強さだった。
一歩間違えたら私なんて身体ごと潰されてしまうだろう。
い・・・痛い・・・いたい・・・苦しい・
・・・・死ぬわよこれ・・・・
私は天高く持ち上げれられ、よく分からない状態のまま、どこかの暗闇の中に押し込まれた!
せめてもの救いが足から押し込まれたことだ。
頭から押し込まれていたら、着地の衝撃で首の骨を折っていたかもしれない。
それくらい、加減なんて考えずに暴力的に押し込まれた。
周りは何かの布地のようだが・・・
くっ・・・どこ・・・ここ?
頭がふらふらする・・・
凄い埃っぽい・・・
そう思った次の瞬間、私は急速に上昇するGを感じた。
それはまるでエレベータに乗っている感覚だった。
「これは司祭様。いえ、ちょっと探し物をしてただけです」
「おや、そうでしたか・・・」
外から話し声が聞こえてくる・・・
さっきの兄貴と呼ばれた男の声と初老の司祭の声だ。
そして間違いなく、その兄貴が私を攫った人物・・・
そうなると、今いる場所は奴の上着のポケットか・・・
私はなんとかここから出ようと思ったが、奴の手のひらに押さえつけられていた。
とても動ける状態じゃない。。。
やってくれるじゃない・・・あいつ・・・!
「すみません。お騒がせいたしました。」
「いえいえ、それならいいんです。それでは・・・」
司祭の声は遠ざかっていった。
ああ・・
私の希望が・・・
「おい、兄貴その子どうすんだよ・・・」
「こいつは家に連れて帰る。」
なにが連れて帰るよ!
誘拐もいいところじゃない!!
もし、私の自由が利くなら、すぐに警察に突き出してやるところよ!
この世界に警察というものがあるか分からないけどさ・・・
「・・・とりあえず、ここは衆目を浴びているからまずい・・・ずらかるぞ・・」
「あ、・・・うん」
そういって二人は足早に歩き出した。
私は相変わらず奴のポケットの上から押さえつけられたままだ。
逃がすつもりはないらしい。
もう、あったまきちゃう!
人が抵抗できないことを良いことにそんなことする!?普通?
いきなりこんな実力行使で来るとは思わなかったわよ!
どうやら、ここの人たちの倫理観について少し考えたほうが良さそうね・・・
まあ、この二人がとりわけ頭おかしんだろうとは思うけど・・・
すたすたすた・・・
2人が街の中を歩いていく足音がする。
はぁ・・・さて、どうするか・・・
なんとかここから脱出したいんだけど
こうも上から押さえつけられちゃどうしようもないわね・・・
力で叶うはずもないし・・・
私は、仕方なく大人しくしていることにした。
・
・
・
あれから1時間は経っただろうか?
私は相変わらず押さえつけられたままだ。
いい加減暑苦しくてかなわない。しかも、暗闇の中埃っぽくて最悪だった。
外界の視覚情報は全くと言っていいほど入ってこない。
ただ、そんな中でも街の生活音や声は聴こえてくる。
馬車が横切っていく音、ハンマーでなにかを叩いている音、機械の駆動音、
露店のお店が商売をしている声、通行人が雑談している声など、様々な音が聴こえてきた。
かなり繁栄した街のようね・・・
今歩いているのはどこかの商店街なのかな?
人々にはとても活気があった。
とても大魔王に侵攻されている世界だとは思えないわ・・・
そういえばさっきも疑問に思っていたんだけど、今私を押さえつけている男は”大魔王”というワードにまるで反応しなかった。
大魔王の軍勢が攻めてきている世界だったら、多少なりとも反応するもんだろう。
ところが、実際はそんなもんおとぎ話か空想の世界の話みたいな扱いで、まるっきり相手にされなかった・・・
どういうことよこれ・・・
私、またあの”自称”神に騙された・・・?
大魔王なんて実は存在しなかったとか・・・?
・・・
考えても答えは出なかった。
そういえばあのバカの名前聞くの忘れてたわ・・・
そう、考えていた矢先、外の世界に変化があった。
先ほどと同じく、上昇するGを私は感じた。
カンカンカン・・・
足音から察するにどうやら階段を昇っているようだ。
奴らの自宅に着いたのだろうか?
「ギィ」という扉が開く音がしたと思ったら、二人の男が中に入り扉を閉めたようだ。
そして、着いたと思ったらすぐに巨人の兄が弟に向かって言葉を発した。
「おい、鳥かごあっただろ、持ってこい」
「わかった」
鳥かご・・・
もしかしたら、インコのピーコちゃんでも愛でる趣味とかあるのかしら?
そんな妄想を一瞬抱いたが、もちろん違うのは分かっている・・・
「持ってきたよ」
「よし!テーブルの上に置け」
兄の巨人がそういうや否や、私を押さえつける力がふっと消える。
そして、ポケットの中に再度手のひらが侵入し、私の身体を締め付けた。
私はそのままなすがまま運び去られる。
直ぐに締め付ける力からは解放されたが私は地面に投げ出された。
・・いたいっ!
なんとか受け身は取れたが、痛いことには変わりはない。
ガシャン!
なにかの扉が閉まった音がした。
急いで、起き上がるとあの二人の巨人が私を見ていた。
籠の外から・・・
そして、兄の巨人が私に話しかけてきた。
「よお、調子はどうだ?妖精さんよ?」
私は開口一番すかさず抗議をした。
「ちょっと痛いじゃない!?ケガしたらどうするのよ!」
「おう・・・元気そうだな?妖精さん。移動中はほとんど身動きしてなかったら、心配してたんだぜ? こっちもあんたに怪我されちゃ困るんでね」
その台詞に私は完全にブチ切れそうになったが、なんとか堪えられた。
「・・・そりゃ、どうも」
さすがにそう返すので精いっぱいだったが・・・。
もし、あいつらと同じサイズだったら私はとっくに奴らを殴り飛ばしているだろう。
私の顔は怒りの表情で満ちていた。
なんとか堪えられた理由はただ一つ。相手がこちらの身の安全を保障する台詞を言ったからに他ならない。
変な方向に話を持っていきたくなかった。
少なくとも相手は私になんらかの価値があると思っていることは確かなようだ。
・・・もしかしたら”あの能力”を使えばこの現状を打開出来るかもしれない・・・
上手くいけばこの体を大きくして、奴らをぶっ飛ばせるかもしれない・・・
しかし、”あの能力”はまだ一回も試したことがなくて未知数すぎた。
今ここで使うのは博打すぎる・・・
どうしようもなくなったら使うしかないが、今はその時ではない。
「・・おお、こわいこわい。そんな睨み付けないでくれよ。妖精ちゃん♪」
相手がおどけた感じで言ってきた。
私はそれに一切反応せず、質問を返した。
「私に用があってここまで連れてきたんでしょ?なに?」
相手はこちらが反応しないことを認めると、舌打ちをしてから本題に入ってきた。
「ふんっ・・・俺はな、おめえに聞きたいことがあるんだ。」
そう言って、ずいっと籠に顔を近づけてきた・・・
ちょっと・・・臭い息吹きかけないでくれる?
最初会った時から感じていたが、目の前にいる男は不潔としか思えなかった。
まともにお風呂とか入っているのかしら・・・
そんなこちらの思惑などお構いなく、男はそのまま話を続けてきた。
「・・・おめえ、金を得る能力は持っているか?」
「・・・は?」
私は思わずぽかーんと口を開けてしまった。
いきなりなにを言っているのよ?こいつは?
寄りによってお金?
そんなものの為に私を誘拐してきたというの?
なんかもっと違う事を聞いてくるものとばかり思っていた。
人間にとってはおそらく珍しい存在である妖精にせっかく会えたのだ。
それの知識や、秘密を知りたいからこそ誘拐してくるのだったら、まだ百歩譲って意味は分かる。
だいたい、お金儲けの能力なんて、それこそ商人にでも聞いた方がよっぽどいい回答を得られるだろう。
この世界の妖精が地球の世界の妖精像と同じなら、妖精なんてお金儲けにもっとも程遠い存在だ。
どっか頭のネジ外れてるんじゃないの・・・?
私は少しの間、そんな感じで呆れていたのだが・・・
奴にはそのちょっとの間でも我慢できなかったらしい。
「質問に答えろ!!!」
突然奴は、大声で叫ぶと同時に「どんっ!!」とテーブルを強く叩いてきた!!
「ひっ・・・!」
そのあまりの迫力に私は完全にすくみあがってしまった・・・
ただでさえ体格差があるのに、目の前であんなことをされたのだ。
私はなんとか返答しようとしたが、今のショックで体がぶるぶる震えてしまっている。
まともに会話が出来ない。涙も自然と溢れ出てきていた。
くっ・・・脅されて泣くなんて・・・なんて情けないのよ・・・私
しかし、力を入れようにも体は言うことを聞かなかった・・・
そんな、私の状態を見て奴は舌打ちをした。
「チッ・・・脅かせすぎたか・・・」
兄の巨人が、毒づいているところを見て弟の方が話しかけてきた。
「アニキ、妖精は確か運を上げる能力を持っているって聞いたことがある」
運を・・・上げる・・・?
兄が弟の方に向いて言った。
「本当か?だが、運の能力向上なんて、ありふれているしな・・・」
「妖精だったら、とてつもなく運が上がる能力とか持っているかもよ? 異種族は俺たち人間が知らない未知の能力を持っているっていうし。」
「・・・なるほどな・・」
兄の巨人が弟の言葉に頷いた。
そして、兄がこちらに向き直ろうとした瞬間・・・
ドンドンドン!!!
ドンドンドン!!!
この家の玄関を激しく叩く音が聴こえてきた。
「レイネス兄弟!いないのか!?いるんだろ?出てこい!」
門を叩く者の声も聴こえてきた・・・
明らかに声の調子が厳しい。
「・・・・ちっ!今日も来やがったか・・・」
「アニキ、どうしよう・・?」
「お前は妖精を見ていろ・・・」
そう言って、兄は玄関の方に向かっていった。
弟は黙ってうなずき、こちらを見ている。
兄の方は玄関の前に来ると、玄関を開けずにそのまま返事をした。
「・・・なんだ?今日はもう店じまいだぞ」
それを聞いた訪問者は明らかに不機嫌な声を出して言った。
「その声は・・・兄の方か・・・?ここを開けろ・・・」
「あいにくだが、こっちは今取り込み中でね。要件があるならドア越しに言ってくれ。」
「・・・ふざけるな!!」
ドンっ!とまた玄関の音が叩かれた。
相当荒ぶっているわね・・・
まあ、気持ちは分からなくもないけど・・・
幾分か私も気分が落ち着いてきた。
「貴様の借金の返済期日がとっくに過ぎているんだ!!!今すぐ返せ!!」
これに対し、兄も負けずに激昂して言い返した。
「だから今金を調達している最中だって何回も言っているだろう!!もうちょっと待てや!!」
「その言葉何回目だ!?もう信用せんぞ!!早くあけろ!!」
門を開けないで正解ね・・・
これは開けたら血を見るわ・・・
その後もドア越しに二人の罵倒はしばらく続いた。
ところが・・・
「・・・ここをどうしても開けたくないのか?」
ある時点で訪問者はさっきまでとは打って変わり急に低い声になった。
だが、その声は身も毛もよだつような恐ろしさを秘めていた。とても穏やかな感じで言っているとは思えない。
「今は取り込み中だって言っているだろう・・・。借金は近日中に返すから、もうちょっと待ってくれ。」
訪問者の声の異変に気付いたんだろう・・・兄の方も声のトーンを落として回答した。
訪問者はさらに同じ調子で続けた。
「貴様とのやり取りも、もうこりごりだ。これ以上貴様たちに付き合ってられん・・・」
そう言って訪問者は一瞬諦めたような声の素振りを見せたが・・・次の言葉でそれが誤解だと分かった。
「私はお前たちの借金回収を”ベレトギルド”に依頼させてもらった。」
そう訪問者は告げた。
ベレトギルド?なにそれ?
だが、この兄弟たちはその意味を分かっているようだ。
弟の顔はいつの間にか真っ青になっている。
兄は後ろ姿しか見えないが、ふるふると震えているようだ。
「ま・・・待ってくれ!お前まさか・・・あの”悪魔”のギルドに依頼したってーのか!?」
「そうだ。奴らは金さえ払えば依頼したことは必ず成し遂げる。例え相手がどうなろうがね。」
それを聞いて、兄は絶句した様だ。
訪問者はさらに続ける。
「ギルドが動くのは1週間後だ。後、3日だけ待つよ。それまでに耳を揃えてお金を返したまえ。さもないと・・・」
そう言って、訪問者は一旦言葉を切った。
兄はその沈黙に堪えきれなかったんだろう・・・たまらず訪問者に訊き返した。
「さもないと・・・どうなるってんだ!!」
それに対し訪問者は静かに続けた。
「ここの家と、1階にある君たちが両親から受け継いだお店は競売に掛けられるだろうね。」
「もし、それでも足りなった場合は君たち自身の体で贖われることになるよ?フフッ…最悪死ぬかもしれないね」
「そ・・・そんな・・・」
兄の方はショックを隠せなかったようだ・・・弟の方もぶるぶると震えている・・・
「それでは、私はこれで失礼するよ。3日後までに是非お金を返してくれたまえ。こっちだってギルドに高い金を払うのは嫌なんだ」
そう言って玄関の外の訪問者は去っていった・・・
玄関から戻ってきた兄の巨人は顔面蒼白な顔をしていた。
弟の方もそれは同じだ。
「あ・・・アニキ、どうするんだよ・・・」
「ああ、くそっ・・あのクソジジイめぇぇ・・・」
ひそひそと話が聴こえてくる。
兄が戻ってくると、彼らは向こうの部屋に引っ込んで話を始めた。
ここがダイニングルームで向こうがベッドルームだろうか?
ようやくこの家を見渡せる余裕が出来たので辺りを確認してみた。
ここはダイニングルームのテーブルの上だった。
もちろん籠の中だけどね・・・
近くには街の風景がうかがえる窓がある。
外はもう暗闇が下りて、月の光が辺りを照らしていた。
どうやらこの世界にも月は存在するようだ。
先ほど噴水広場にいた時は夕方だったから、あれから2時間以上は過ぎただろうか?
意外にも、彼らはぼろぼろの姿をしているのに、住んでいる住居は随分と広くて立派だった。
部屋も5カ所以上ありそうだ。
もっとも、家の広さに比べ家具が極端に少ない気がするが・・・
まあ、そんな事は正直どうでもいいわね・・・
ようやく彼らから私の注意が逸れたんだから今が逃げるチャンスよ。
・・・
ただし、逃げる前にどうしても確認しておかなければならないものがあった。
本当はこの世界に来てからすぐにでも確認したかったが、状況が状況だったゆえに確認できていなかったものだ。
私は自分の衣服に隠していた例の”巻物”を取り出した。
そして、巻物を広げ一番下を見にいった・・・・
・
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・
◇転生者基本情報
名前:遠坂 玲奈(とうさか れいな)
年齢:18歳(寿命:未設定)
身長:17.5cm
体重:52.5g
BWH:8.7 5.6 9.0
Lv:1
HP:5
MP:5
STR:3.1
DEF:1.6
INT:1.2
VIT:2.0
CRI:0.5
DEX:1.7
AGI:4.8
LUK:1.0
プライマリースキル:グロース、ミニマム
タレントスキル:大器晩成、酒乱、逃げ脚、テンプテーション
バッドステータス:1/10縮小化(永続)
所持アイテム:転生者の巻物
所持クレジット:0
現在位置:クレスの町 シルバー通り254番地 レイネス商会2F
---------------------------------------------------------------
やっぱり、そういうことか・・・・
私はある程度予想していたとはいえ、結果に愕然とした。
嫌な方に予想が当たってしまったのだ。
【バッドステータス】は巻物を見たらわかるというのは例の”自称”神が言っていたことだ。
だから、巻物を広げて見てみたのだが、そこにはこう書かれていた。
”1/10縮小化(永続)”
・・・・そう、別にこの世界の人間が巨大なのではない・・・
私が縮小してしまったんだ・・・・・
しかも、永続的に・・・・!
To Be Continued・・・
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「・・・・!」
「・・・・!?」
どこからか声が聞こえてくる・・・
「おい・・・」
「まさか、妖精か・・・?」
うん・・・?
うるさいわね・・・・
「こんな人里の中に妖精が来るかな?」
「でも、それしか考えられねえだろ。」
ちょっと・・・うるさいわよ・・・
まだ、ねむいんだから・・・
「でも、妖精にしちゃ羽がないな?」
「ほんとだ・・・亜種かな?でも、すげえ綺麗だ・・・」
もう、なによ・・・誰?お母さん?
部活はもう引退しているんだから、まだ寝かせておいてよ・・・
・・・
ん!?・・・お母さん?
風邪でもひいたのかな?隨分野太い声・・・
「ねえ、ちょっと触ってみようよ」
「そうだな・・・生きてんのかこいつ?」
つんつん
ちょ・・・痛い、なに?
「うお、やわらけぇー・・・・。でも、適度に弾力もあって良い・・・」
「マジかよ!俺にも触らせろ」
つんつん
「ほんとだ・・・俺ちょっと感動したわ」
「・・・妖精って良い身体してんだね・・・」
痛いのよ!なに?グーで起こそうとしてんのよ?
もう我慢できない!
「ちょっと、痛いわよ!!」
そう叫んで私は飛び起きた。
「うわっ!」
「しゃっ・・・しゃべったあ!!」
え・・・・・・・・・・・・なに!!!???
なに、これ!!!!?
目の前のあまりにも予想外な状況に私は大いに混乱した。
さっきまでの眠気なんて全て吹き飛んだ。
すぐ私の目の前には呆気にとられた男がいた。
腰を抜かして、後ろにのけぞっている。
だ・・・誰!?
だが、そんなことより、もっと重要なことがあった。
男の様子が明らかにおかしい!
大きすぎる・・・!!!!?
目の前にいる男は私の視界いっぱいを占有していた!
こちらを見ている顔の大きさだけでも私の身体以上の大きさがあるようだ。
私も女子では体格は大きい方だが、そんなレベルの大きさではなかった。
普通の人間の何倍もでかい、まさに巨人だった!!
よく見ると隣にも誰かいる・・・
「こっ・・こいつ今しゃべったよな!」
「あ・・・ああ、間違いねえ・・・」
隣にいる男も目の前にいる男と同じくらい大きな体躯を持っている。
二人とも呆気にとられている様だ。
だが、それはこっちも同じだ。
なに?なに?なに?なに?なに?
どうなってんのよ!???これ??????
なんなの?この巨人は!?
私いまどうなってんの!?
状況が全く分からないんだけど!!??
余りにも驚くと声が出なくなるという話を聞いたことがあるが、
私の今の状況がそれだった。
頭の中の時間が完全に停止している。
真っ白だった。
目の前の巨人を認識しているし明らかに今の状況が異常だというのは分かっている。
私がいる。
目の前に巨人がいる。
お互い驚いている。
だが、そっから先が進まない。延々とこの思考がループしている。
状況が把握できたとしても、その理由が全く思いつかないのだ。
余りにも突飛な状況に遭遇していて、思考に集中出来ない。
このまま永遠に思考のループが続くかと思われた。
ところがそんな中、呆気に取られていた私の手から何かがこぼれ落ちた音がした。
パサりっ
それは巻物だった。
まきもの?
なんだっけこれ?
なんか見覚えがある・・・
私はそれを拾って眺めてみた。
・・・・まきもの・・・・巻きもの・・・巻物・・・・・
はっ!!!!
その瞬間ふっと思い浮かんだものがあった。
ま・・・
まさか・・・
これって・・・・・
この状況って・・・・
でも、それしか考えられない・・・
「おい、おまえ!」
ビクっ!
突然目の前の巨人から大きな声で話しかけられた。
ちょっと・・・びっくりさせないでよ!・・・
「喋れるんだろ?なんなんだお前は!」
キ~ンと耳に響いた。
もう!
あんまり大きい声で喋らないでくれる・・・?
耳に響くんだけど・・・
大体、なんなんだお前という台詞はこっちの台詞よ。
本当はすぐそう聞き返したいところだけど・・・一瞬躊躇した。
もし、私の想像が正しければ、ここは私の知っている世界ではない。
彼らの身なりからしてもそれは明らかだ。
とても現代日本とは思えない、粗末な服装を着ている。
年は2人とも20代後半から30代前半といったところ。
くたびれた上着に薄汚れたシャツ、長ズボンに腰巻を付けている。
履いている靴もボロボロだ。とても裕福な人達だとは思えなかった。
顔も明らかに日本人ではない。
西洋の国に近いかな?人種を聞かれても困るけどさ。
それに直感的にだけど、あんまりこの人たちと関わりたくない気がする。
なんとなくだけど嫌な感じがする・・・
相手を威嚇するようなこの態度といい、ギラ付いた目付きといい、良い印象は受けない。
だけど、この状況だと・・・変に波風立てたくないな。
どうしようか・・・
「おい!聞こえないのか!?」
「うるさいわね!!聞こえているわよ!!!」
逆切れした。
無理。
私の性格上大人しくやるなんて無理だわ。
でも、そのおかげで相手も怯んだみたい。
「おっ・・おう聞こえているんならいい」
「兄貴・・・気が強い、妖精だね・・・」
一瞬怯んだ後、2人して何かこそこそと話している。
取り合えず、少しはこれで会話の主導権奪えそうね。
普通なら、自分より圧倒的に大きい巨人を相手にすれば怖くてこんな威嚇のようなことは出来ない。
だけど、この2人は私が飛び起きた時にびびって腰を抜かしていた。
強く出ればもしかしたら・・・って思ったけど、成功した様ね。
ちょっと余裕が出来たので、辺りを見回してみた。
ここはどこかの広場だろうか?
すぐ近くに噴水が見える。
子連れの親子の姿や、杖を突いた老人。子供たちがキャーキャーと遊んでいる姿なんかが見えた。
いずれも全員巨人だった。大人は私の体格の十倍はあるだろう。
巨人の世界なの?ここは?
それともあるいは・・・
そう考えている内に目の前の巨人たちはすぐに調子を取り戻したようだ。
そして、兄貴と呼ばれた男が私に話しかけてきた。
「おめえ・・・妖精か?」
私は少し考えた後、回答した。
「・・・そうよ」
「やっぱりそうか!なんでこんなところにいる?なんでおめえはしゃべれるんだ?」
「私は妖精王様によって特別に作られた存在なの。今はここで妖精王様を待っていたところなのよ。」
完全な口からの出まかせだった!
だけど、ファンタジーだったら何でもありでしょ?
相手は妖精とやらの事をよく知っていないようだし、思いついた事を適当に言っても信じるかもしれない。
それに騙しだましの腹の探り合いは無理だが、こういう大はったりだったら行けるかも・・・
この場を切り抜けられるんだったら私は何でもやるつもりだった。
「ようせいおう・・・?」
「そうよ。私達妖精たちの主よ。」
目の前の巨人たちはお互い顔を見合わせた。
妖精王の存在を疑っているんだろう?
兄貴と呼ばれた巨人が再度私に尋ねてくる。
「聞いたことないんだが?そんな奴が本当にいるのか?」
「いるわよっ!失礼ね!私の存在がその証拠じゃない。こうやってしゃべる妖精が他にいる?」
「まあ、いい。でっ、なんで?ここにその妖精王とやらが来るんだ?」
よしっ!掛かったわね!
その質問を待ってたわ。
「・・・・ふう、騒ぎになるから、ほかの人に黙っていてくれることは出来る?」
私は、凄い勿体付けるように話した。
「・・・おう約束しよう」
嘘ね・・・しらじらしい。
まるで、信用できない回答だった。
はったり言っている私が言える筋合いじゃないけど。
「実はね、この街に大魔王の軍勢が攻めてくるのよ・・・」
「・・・・は?」
目の前の巨人は再度呆気に取られているようだった。
私はそれに構わず続けた。いかにも焦っている風を装って。
「妖精王様は魔王の軍勢からこの街を守ろうとしている。でも、敵は圧倒的な軍勢。この街を守り切れるか分からない・・・」
「だから、2人だけでも早く逃げて!私は一刻も早く妖精王様をお迎えしなきゃならない!!」
うーん、我ながらなかなかの演技・・・
しかし、ちょっと突拍子もなかったかな?
でも、大魔王と言うワードは無視できないはず。
特に小心者のこの2人ならちょっと疑ったとしても、とりあえず命を優先して逃げようとするはず。
だから、ほら・・・早く逃げなさいよ・・・
そう期待して私は待っていたのだけど・・・
「くくくっ・・・・」
んっ?笑っている?
「・・ふふふ、・・・ははははは」
・・・なに笑っているのよ?
魔王よ?まおう、大魔王。
怖くないの?
この世界って確か大魔王に侵略されているんじゃなかったっけ?
「ははは・・・はぁ、よりによって大魔王かよ!えっ妖精さんよ。おまえ、嘘が下手だな!」
えっ?何?なにかおかしかったの?
「今日日子供でもそんな童話は信じないぞ?子供だましにもほどがあるわ!」
あれ?なんでよ!?
だが、今はそれを考えるより、奴にはったりを信じさせないと・・・
「嘘じゃないわよ!!信じて!!もう近くに迫ってきているのよ!すぐに逃げないと手遅れになる!」
私は必死になって危機をアピールした。
しかし・・・
「おまえ、バカじゃねえのか?魔王軍とか誰がそんな与太話信じるよ!!つくならもっとマシな嘘つけや!」
相手もかなりヒートアップしていた。まともに取り合ってもらえない。
そして、お互い大声で叫ぶ形になってしまったせいか、いつの間にか周囲の関心を呼んでいた。
もっとも私は噴水の陰に隠れてしまっていたので、周りから姿は見えてなかったと思う。
騒ぎを聞いて、周りの人が寄ってきていた。
「どうかしましたか?」
初老に入ったプリーストらしき人が近くまで寄ってきて話しかけてきた。
助かった・・・、この2人より信用できそうだ・・・
私はこの状況から脱却できると思い安堵した。
しかし、そう思った次の瞬間・・・
突然私の目の前に巨大な手のひらが襲ってきた!!
余りにもいきなりな急襲だった!
だめ・・・・!避けられない・・・!
手のひらは、避けようとする私を無造作に掴み強引に私を攫っていった。
それは余りにも暴力的な力の強さだった。
一歩間違えたら私なんて身体ごと潰されてしまうだろう。
い・・・痛い・・・いたい・・・苦しい・
・・・・死ぬわよこれ・・・・
私は天高く持ち上げれられ、よく分からない状態のまま、どこかの暗闇の中に押し込まれた!
せめてもの救いが足から押し込まれたことだ。
頭から押し込まれていたら、着地の衝撃で首の骨を折っていたかもしれない。
それくらい、加減なんて考えずに暴力的に押し込まれた。
周りは何かの布地のようだが・・・
くっ・・・どこ・・・ここ?
頭がふらふらする・・・
凄い埃っぽい・・・
そう思った次の瞬間、私は急速に上昇するGを感じた。
それはまるでエレベータに乗っている感覚だった。
「これは司祭様。いえ、ちょっと探し物をしてただけです」
「おや、そうでしたか・・・」
外から話し声が聞こえてくる・・・
さっきの兄貴と呼ばれた男の声と初老の司祭の声だ。
そして間違いなく、その兄貴が私を攫った人物・・・
そうなると、今いる場所は奴の上着のポケットか・・・
私はなんとかここから出ようと思ったが、奴の手のひらに押さえつけられていた。
とても動ける状態じゃない。。。
やってくれるじゃない・・・あいつ・・・!
「すみません。お騒がせいたしました。」
「いえいえ、それならいいんです。それでは・・・」
司祭の声は遠ざかっていった。
ああ・・
私の希望が・・・
「おい、兄貴その子どうすんだよ・・・」
「こいつは家に連れて帰る。」
なにが連れて帰るよ!
誘拐もいいところじゃない!!
もし、私の自由が利くなら、すぐに警察に突き出してやるところよ!
この世界に警察というものがあるか分からないけどさ・・・
「・・・とりあえず、ここは衆目を浴びているからまずい・・・ずらかるぞ・・」
「あ、・・・うん」
そういって二人は足早に歩き出した。
私は相変わらず奴のポケットの上から押さえつけられたままだ。
逃がすつもりはないらしい。
もう、あったまきちゃう!
人が抵抗できないことを良いことにそんなことする!?普通?
いきなりこんな実力行使で来るとは思わなかったわよ!
どうやら、ここの人たちの倫理観について少し考えたほうが良さそうね・・・
まあ、この二人がとりわけ頭おかしんだろうとは思うけど・・・
すたすたすた・・・
2人が街の中を歩いていく足音がする。
はぁ・・・さて、どうするか・・・
なんとかここから脱出したいんだけど
こうも上から押さえつけられちゃどうしようもないわね・・・
力で叶うはずもないし・・・
私は、仕方なく大人しくしていることにした。
・
・
・
あれから1時間は経っただろうか?
私は相変わらず押さえつけられたままだ。
いい加減暑苦しくてかなわない。しかも、暗闇の中埃っぽくて最悪だった。
外界の視覚情報は全くと言っていいほど入ってこない。
ただ、そんな中でも街の生活音や声は聴こえてくる。
馬車が横切っていく音、ハンマーでなにかを叩いている音、機械の駆動音、
露店のお店が商売をしている声、通行人が雑談している声など、様々な音が聴こえてきた。
かなり繁栄した街のようね・・・
今歩いているのはどこかの商店街なのかな?
人々にはとても活気があった。
とても大魔王に侵攻されている世界だとは思えないわ・・・
そういえばさっきも疑問に思っていたんだけど、今私を押さえつけている男は”大魔王”というワードにまるで反応しなかった。
大魔王の軍勢が攻めてきている世界だったら、多少なりとも反応するもんだろう。
ところが、実際はそんなもんおとぎ話か空想の世界の話みたいな扱いで、まるっきり相手にされなかった・・・
どういうことよこれ・・・
私、またあの”自称”神に騙された・・・?
大魔王なんて実は存在しなかったとか・・・?
・・・
考えても答えは出なかった。
そういえばあのバカの名前聞くの忘れてたわ・・・
そう、考えていた矢先、外の世界に変化があった。
先ほどと同じく、上昇するGを私は感じた。
カンカンカン・・・
足音から察するにどうやら階段を昇っているようだ。
奴らの自宅に着いたのだろうか?
「ギィ」という扉が開く音がしたと思ったら、二人の男が中に入り扉を閉めたようだ。
そして、着いたと思ったらすぐに巨人の兄が弟に向かって言葉を発した。
「おい、鳥かごあっただろ、持ってこい」
「わかった」
鳥かご・・・
もしかしたら、インコのピーコちゃんでも愛でる趣味とかあるのかしら?
そんな妄想を一瞬抱いたが、もちろん違うのは分かっている・・・
「持ってきたよ」
「よし!テーブルの上に置け」
兄の巨人がそういうや否や、私を押さえつける力がふっと消える。
そして、ポケットの中に再度手のひらが侵入し、私の身体を締め付けた。
私はそのままなすがまま運び去られる。
直ぐに締め付ける力からは解放されたが私は地面に投げ出された。
・・いたいっ!
なんとか受け身は取れたが、痛いことには変わりはない。
ガシャン!
なにかの扉が閉まった音がした。
急いで、起き上がるとあの二人の巨人が私を見ていた。
籠の外から・・・
そして、兄の巨人が私に話しかけてきた。
「よお、調子はどうだ?妖精さんよ?」
私は開口一番すかさず抗議をした。
「ちょっと痛いじゃない!?ケガしたらどうするのよ!」
「おう・・・元気そうだな?妖精さん。移動中はほとんど身動きしてなかったら、心配してたんだぜ? こっちもあんたに怪我されちゃ困るんでね」
その台詞に私は完全にブチ切れそうになったが、なんとか堪えられた。
「・・・そりゃ、どうも」
さすがにそう返すので精いっぱいだったが・・・。
もし、あいつらと同じサイズだったら私はとっくに奴らを殴り飛ばしているだろう。
私の顔は怒りの表情で満ちていた。
なんとか堪えられた理由はただ一つ。相手がこちらの身の安全を保障する台詞を言ったからに他ならない。
変な方向に話を持っていきたくなかった。
少なくとも相手は私になんらかの価値があると思っていることは確かなようだ。
・・・もしかしたら”あの能力”を使えばこの現状を打開出来るかもしれない・・・
上手くいけばこの体を大きくして、奴らをぶっ飛ばせるかもしれない・・・
しかし、”あの能力”はまだ一回も試したことがなくて未知数すぎた。
今ここで使うのは博打すぎる・・・
どうしようもなくなったら使うしかないが、今はその時ではない。
「・・おお、こわいこわい。そんな睨み付けないでくれよ。妖精ちゃん♪」
相手がおどけた感じで言ってきた。
私はそれに一切反応せず、質問を返した。
「私に用があってここまで連れてきたんでしょ?なに?」
相手はこちらが反応しないことを認めると、舌打ちをしてから本題に入ってきた。
「ふんっ・・・俺はな、おめえに聞きたいことがあるんだ。」
そう言って、ずいっと籠に顔を近づけてきた・・・
ちょっと・・・臭い息吹きかけないでくれる?
最初会った時から感じていたが、目の前にいる男は不潔としか思えなかった。
まともにお風呂とか入っているのかしら・・・
そんなこちらの思惑などお構いなく、男はそのまま話を続けてきた。
「・・・おめえ、金を得る能力は持っているか?」
「・・・は?」
私は思わずぽかーんと口を開けてしまった。
いきなりなにを言っているのよ?こいつは?
寄りによってお金?
そんなものの為に私を誘拐してきたというの?
なんかもっと違う事を聞いてくるものとばかり思っていた。
人間にとってはおそらく珍しい存在である妖精にせっかく会えたのだ。
それの知識や、秘密を知りたいからこそ誘拐してくるのだったら、まだ百歩譲って意味は分かる。
だいたい、お金儲けの能力なんて、それこそ商人にでも聞いた方がよっぽどいい回答を得られるだろう。
この世界の妖精が地球の世界の妖精像と同じなら、妖精なんてお金儲けにもっとも程遠い存在だ。
どっか頭のネジ外れてるんじゃないの・・・?
私は少しの間、そんな感じで呆れていたのだが・・・
奴にはそのちょっとの間でも我慢できなかったらしい。
「質問に答えろ!!!」
突然奴は、大声で叫ぶと同時に「どんっ!!」とテーブルを強く叩いてきた!!
「ひっ・・・!」
そのあまりの迫力に私は完全にすくみあがってしまった・・・
ただでさえ体格差があるのに、目の前であんなことをされたのだ。
私はなんとか返答しようとしたが、今のショックで体がぶるぶる震えてしまっている。
まともに会話が出来ない。涙も自然と溢れ出てきていた。
くっ・・・脅されて泣くなんて・・・なんて情けないのよ・・・私
しかし、力を入れようにも体は言うことを聞かなかった・・・
そんな、私の状態を見て奴は舌打ちをした。
「チッ・・・脅かせすぎたか・・・」
兄の巨人が、毒づいているところを見て弟の方が話しかけてきた。
「アニキ、妖精は確か運を上げる能力を持っているって聞いたことがある」
運を・・・上げる・・・?
兄が弟の方に向いて言った。
「本当か?だが、運の能力向上なんて、ありふれているしな・・・」
「妖精だったら、とてつもなく運が上がる能力とか持っているかもよ? 異種族は俺たち人間が知らない未知の能力を持っているっていうし。」
「・・・なるほどな・・」
兄の巨人が弟の言葉に頷いた。
そして、兄がこちらに向き直ろうとした瞬間・・・
ドンドンドン!!!
ドンドンドン!!!
この家の玄関を激しく叩く音が聴こえてきた。
「レイネス兄弟!いないのか!?いるんだろ?出てこい!」
門を叩く者の声も聴こえてきた・・・
明らかに声の調子が厳しい。
「・・・・ちっ!今日も来やがったか・・・」
「アニキ、どうしよう・・?」
「お前は妖精を見ていろ・・・」
そう言って、兄は玄関の方に向かっていった。
弟は黙ってうなずき、こちらを見ている。
兄の方は玄関の前に来ると、玄関を開けずにそのまま返事をした。
「・・・なんだ?今日はもう店じまいだぞ」
それを聞いた訪問者は明らかに不機嫌な声を出して言った。
「その声は・・・兄の方か・・・?ここを開けろ・・・」
「あいにくだが、こっちは今取り込み中でね。要件があるならドア越しに言ってくれ。」
「・・・ふざけるな!!」
ドンっ!とまた玄関の音が叩かれた。
相当荒ぶっているわね・・・
まあ、気持ちは分からなくもないけど・・・
幾分か私も気分が落ち着いてきた。
「貴様の借金の返済期日がとっくに過ぎているんだ!!!今すぐ返せ!!」
これに対し、兄も負けずに激昂して言い返した。
「だから今金を調達している最中だって何回も言っているだろう!!もうちょっと待てや!!」
「その言葉何回目だ!?もう信用せんぞ!!早くあけろ!!」
門を開けないで正解ね・・・
これは開けたら血を見るわ・・・
その後もドア越しに二人の罵倒はしばらく続いた。
ところが・・・
「・・・ここをどうしても開けたくないのか?」
ある時点で訪問者はさっきまでとは打って変わり急に低い声になった。
だが、その声は身も毛もよだつような恐ろしさを秘めていた。とても穏やかな感じで言っているとは思えない。
「今は取り込み中だって言っているだろう・・・。借金は近日中に返すから、もうちょっと待ってくれ。」
訪問者の声の異変に気付いたんだろう・・・兄の方も声のトーンを落として回答した。
訪問者はさらに同じ調子で続けた。
「貴様とのやり取りも、もうこりごりだ。これ以上貴様たちに付き合ってられん・・・」
そう言って訪問者は一瞬諦めたような声の素振りを見せたが・・・次の言葉でそれが誤解だと分かった。
「私はお前たちの借金回収を”ベレトギルド”に依頼させてもらった。」
そう訪問者は告げた。
ベレトギルド?なにそれ?
だが、この兄弟たちはその意味を分かっているようだ。
弟の顔はいつの間にか真っ青になっている。
兄は後ろ姿しか見えないが、ふるふると震えているようだ。
「ま・・・待ってくれ!お前まさか・・・あの”悪魔”のギルドに依頼したってーのか!?」
「そうだ。奴らは金さえ払えば依頼したことは必ず成し遂げる。例え相手がどうなろうがね。」
それを聞いて、兄は絶句した様だ。
訪問者はさらに続ける。
「ギルドが動くのは1週間後だ。後、3日だけ待つよ。それまでに耳を揃えてお金を返したまえ。さもないと・・・」
そう言って、訪問者は一旦言葉を切った。
兄はその沈黙に堪えきれなかったんだろう・・・たまらず訪問者に訊き返した。
「さもないと・・・どうなるってんだ!!」
それに対し訪問者は静かに続けた。
「ここの家と、1階にある君たちが両親から受け継いだお店は競売に掛けられるだろうね。」
「もし、それでも足りなった場合は君たち自身の体で贖われることになるよ?フフッ…最悪死ぬかもしれないね」
「そ・・・そんな・・・」
兄の方はショックを隠せなかったようだ・・・弟の方もぶるぶると震えている・・・
「それでは、私はこれで失礼するよ。3日後までに是非お金を返してくれたまえ。こっちだってギルドに高い金を払うのは嫌なんだ」
そう言って玄関の外の訪問者は去っていった・・・
玄関から戻ってきた兄の巨人は顔面蒼白な顔をしていた。
弟の方もそれは同じだ。
「あ・・・アニキ、どうするんだよ・・・」
「ああ、くそっ・・あのクソジジイめぇぇ・・・」
ひそひそと話が聴こえてくる。
兄が戻ってくると、彼らは向こうの部屋に引っ込んで話を始めた。
ここがダイニングルームで向こうがベッドルームだろうか?
ようやくこの家を見渡せる余裕が出来たので辺りを確認してみた。
ここはダイニングルームのテーブルの上だった。
もちろん籠の中だけどね・・・
近くには街の風景がうかがえる窓がある。
外はもう暗闇が下りて、月の光が辺りを照らしていた。
どうやらこの世界にも月は存在するようだ。
先ほど噴水広場にいた時は夕方だったから、あれから2時間以上は過ぎただろうか?
意外にも、彼らはぼろぼろの姿をしているのに、住んでいる住居は随分と広くて立派だった。
部屋も5カ所以上ありそうだ。
もっとも、家の広さに比べ家具が極端に少ない気がするが・・・
まあ、そんな事は正直どうでもいいわね・・・
ようやく彼らから私の注意が逸れたんだから今が逃げるチャンスよ。
・・・
ただし、逃げる前にどうしても確認しておかなければならないものがあった。
本当はこの世界に来てからすぐにでも確認したかったが、状況が状況だったゆえに確認できていなかったものだ。
私は自分の衣服に隠していた例の”巻物”を取り出した。
そして、巻物を広げ一番下を見にいった・・・・
・
・
・
・
・
・
◇転生者基本情報
名前:遠坂 玲奈(とうさか れいな)
年齢:18歳(寿命:未設定)
身長:17.5cm
体重:52.5g
BWH:8.7 5.6 9.0
Lv:1
HP:5
MP:5
STR:3.1
DEF:1.6
INT:1.2
VIT:2.0
CRI:0.5
DEX:1.7
AGI:4.8
LUK:1.0
プライマリースキル:グロース、ミニマム
タレントスキル:大器晩成、酒乱、逃げ脚、テンプテーション
バッドステータス:1/10縮小化(永続)
所持アイテム:転生者の巻物
所持クレジット:0
現在位置:クレスの町 シルバー通り254番地 レイネス商会2F
---------------------------------------------------------------
やっぱり、そういうことか・・・・
私はある程度予想していたとはいえ、結果に愕然とした。
嫌な方に予想が当たってしまったのだ。
【バッドステータス】は巻物を見たらわかるというのは例の”自称”神が言っていたことだ。
だから、巻物を広げて見てみたのだが、そこにはこう書かれていた。
”1/10縮小化(永続)”
・・・・そう、別にこの世界の人間が巨大なのではない・・・
私が縮小してしまったんだ・・・・・
しかも、永続的に・・・・!
To Be Continued・・・
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